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血圧はなぜ1日の間でも変動しやすい?そのメカニズムを知って、介護に生かそう!

介護施設で働くなか、業務の流れで時間や状況を気にせずに、血圧測定をしてはいませんか?
今回は介護士が行えるバイタルサイン測定の中でも、特に測定時間や生活環境で変動する血圧について、根拠を交えて解説します

血圧は、心臓、血管、血液の3つが関係する数値

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の内側からかけている圧力のことをいいます。
そして血圧は、心臓の心拍数と1回の拍動によって拍出される血液の量、そして血管内での血液の流れにくさによって表されています。
血圧が高くなる、あるいは低くなる要因は、以下の通りです。

●血圧が高くなる要因

  • ・心拍数が上がる
  • ・1回の拍動によって拍出される血液の量が多い
  • ・高コレステロールや高血糖等によって、血液の粘り気が高い
  • ・血管の内部が狭くなっている

●血圧が低くなる要因

  • ・心拍数が下がる
  • ・1回の拍動によって拍出される血液の量が少ない
  • ・血液の粘り気が少ない
  • ・血管の内部が広くなっている

このように、血圧は心臓の動き方や血管内部の状況、さらに血液の状態によって変動します。

●上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)は、心臓の状態を表した言葉

バイタルサインを記載するとき、なぜ上の血圧を収縮期血圧、下の血圧を拡張期血圧というのか、不思議に思ったことはありませんか?
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の内側からかけている圧力のことをいいます。
そのため、血圧は心臓の動き方によって随時変動しています。
心臓はそれ自体が収縮と拡張を繰り返すことで拍動を起こしています。
心臓が収縮し、血液を全身に押し出すときがもっとも血圧は高くなります。
このときの血圧を「収縮期血圧」といいます。
逆に心臓が拡張したときは、もっとも血圧が低い状態になります。
このときの血圧を「拡張期血圧」といいます
このように、名称の根拠を知ることで、今後は「どっちが上の血圧だっけ?」と迷うこともなくなるでしょう。

血圧は随時、神経とホルモンの働きによって調整されている

血圧を表している心臓や血管は、私たち人間が意識してコントロールしていません。
生命維持のために必要な動きをコントロールするのは、人間の恒常性(こうじょうせい:環境を一定に保ち続けようとする傾向)を維持する働きを持つ、自律神経系やホルモンです。

自律神経とは、生きていくために必要な呼吸や排泄、体温などを、意識しなくても反射的にコントロールしている神経系のことをいいます。
自律神経には拮抗する交感神経系と副交感神経系の2種類があります。
血圧を維持するために、交換神経と副交感神経はそれぞれ下の表のようなコントロールを行っています。

交感神経系 副交感神経系
心拍数 上げる 下げる
心臓の収縮力 上げる 軽度に下げる
血管 収縮を促す
結果として血圧を 上げる 下げる

また、自律神経とともに血圧をコントロールしているのが、ホルモンです。
焼き肉屋でのホルモンは、主にもつと呼ばれる内臓系のお肉をいいますが、ここでのホルモンとは、体の中でさまざまな情報を伝達する物質のことをいいます。
血圧を維持するために、以下のホルモンがそれぞれ血管や腎臓に働きかけたり、ほかのホルモン分泌を促すことで、血圧の調整を行っています。

  • ・アンジオテンシン
  • ・アルドステロン
  • ・バソプレシン
  • ・アドレナリン、ノルアドレナリン
  • ・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

このように、血圧の数値にはさまざまな器官や物質が複雑に作用しあっているのです。

血圧は日常の生活内でも容易に変動する

これまでお伝えしてきた血圧に関する働きは、どれも人間が直接コントロールする働きではありません。

しかし、血圧はそれ以外に、周囲の環境でも容易に変動してしまう、という特徴があります。
そのため血圧を測定する際、介護職員は以下に挙げるような原因を避けるとともに、それぞれにあった対処法をとる必要があります。

変動の原因 血圧の変動 変動が起こる理由 対処法
室温が低い ↑上がる 寒さによって血管が収縮するため 室温を22度から26度に保つ
室温が高い ↓下がる 暑さによって血管が拡張するため 室温を22度から26度に保つ
食事をとる ↑上がる 食事を消化するために酸素の需要が
高くなるため
食後1時間の
血圧測定は避ける
入浴 ↓下げる 体が温まり、血管が拡張するため 入浴後1時間の
血圧測定は避ける
運動 ↑上げる 酸素の需要が高まるため 運動後の
血圧測定は避ける
昼間の測定 ↑上がる 昼間は血圧を上げる交感神経が
優位に働くため
決まった時間に
血圧を測定する
夜間の測定 ↓下がる 夜間は血圧を下げる副交感神経が
優位に働くため
決まった時間に
血圧を測定する

これまで挙げた理由をもとに、日本高血圧学会では、血圧測定は

  • ・朝と晩、2回の測定
     朝の測定は起床後1時間以内で、 朝食、服薬前に行う
     晩の測定は就寝直前にトイレを済ませ、1~2分椅子に座ってから測定する
  • ・週に5日以上測定する

ことを推奨しています。

しかし介護施設では、朝と晩に測定することは難しいかと思います。
そこで最低でも

  • ・室温を22度から26度に保つ
  • ・食事、入浴、運動後の血圧測定は避け、最低でも1時間以上空けてから測定する
  • ・できるだけ決まった時間に測定する

この3つを守るようにすると、周囲の環境による血圧の変動を抑えることができます。

血圧計を購入する場合は、腕に巻くタイプがおススメ

以前は病院で看護師が測定していた血圧ですが、現在は性能の良い電子血圧計が開発されたため、誰でも気軽に血圧を測定できるようになりました。
電子血圧計のなかには手首に巻くタイプもあるのですが、日本高血圧学会は解剖学から手首では正確な数値が測定できないケースがあるとしています。
血圧測定には、腕に巻くタイプの血圧計を使うことをおすすめします。

関連記事:
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参考:
熊谷たまき、徳田安春他.フィジカルアセスメントがみえる.メディックメディア社,2015年.pp48-51,pp.302
サントリー 血圧の測り方(2018年6月19日引用)
オムロン 血圧計の正しいつかい方(2018年6月19日引用)
日本高血圧学会 家庭で血圧を測定しましょう(2018年6月19日引用)
日本高血圧学会 日本高血圧学会 血圧計の試験結果に関する集計(2018年6月19日引用)

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