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疥癬(かいせん)は必ず隔離すべき?介護職員なら知っておきたい、最新の対処方法をお伝えします!

疥癬(かいせん)は発生したら必ず隔離しなくてはいけない。
そう思っていませんか?
疥癬は、施設や病院であっても対処方法に苦慮しているケースが多い病気です。
そこで今回は、2018年現在に国や自治体が推奨している、最新の疥癬の対処法をご紹介します。

疥癬には、通常疥癬のほかに角化型疥癬(別名:ノルウェー疥癬)がある

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニというダニが原因で起こる、皮膚の病気を指す言葉です。
そして、疥癬にはヒゼンダニの数、感染力の強さなどによって「通常疥癬」と「角化型疥癬(別名:ノルウェー疥癬)」の2種類があります。
2つの疥癬について、それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

通常疥癬
(一般的によく見られる疥癬)
角化型疥癬
(別名:ノルウェー疥癬、痂皮型疥癬)
ヒゼンダニの数 数十匹以上 100万~200万
感染前の
病気に対する免疫力
正常 低下している
感染力
(他者へ移す力)
弱い 強い
感染から
症状が出るまでの期間
約4~6週間 4~5日
主な症状 赤いブツブツ、疥癬トンネル 厚い垢が増えたような状態
かゆみ 強い 個人差が大きく、一定していない
症状が出やすい位置 手指、胸、お腹、太もも 全身
隔離の必要性 なし あり

ヒゼンダニは皮膚の一番上の層である「角質層」に寄生し、毎日数個の卵を産み付けるため、日が経つごとに増殖し、症状を悪化させていきます。
角化型(ノルウェー)疥癬は通常疥癬にくらべるとヒゼンダニが桁違いに多く、症状も全身に出ることから、すぐに確定診断がつきます。
しかし、通常疥癬は皮膚科の専門医であっても、実際にヒゼンダニを検出できるのは6割ほどとされており、確定診断がつきにくいという特徴があります。
そのため、強いかゆみを伴うなど、上に挙げた特徴が見られた場合には、たとえ確定診断がでていなかったとしても、下に挙げるような対策を早期にとることが大切です。

種類によって、対処方法は大きく異なる!

疥癬の対処法として、2種類の疥癬にはどのような違いがあるのでしょうか。
対処方法の違いを、以下の表にまとめました。

対応 通常疥癬 角化型疥癬
ケア時 処置ごとの
手洗い
励行 流水と石けんでの手洗い励行
予防衣 基本は不要
ただし、長時間の肌と肌との
直接接触は避ける
ケア時は必ず予防着・手袋を使用する
隔離 必要なし 個室隔離が原則
治療開始後1~2週間が目安
入浴 タオルなど直接肌に触れる
物の共用は避ける
・入浴は一番最後とし、ほかの利用者と分ける
・頭や首、指の間や陰部など全身を丁寧に洗う
・厚い垢は浴槽内で柔らかいブラシなどを
使ってこすり落とす
浴室の管理 特別な管理は不要 ・浴槽や流しは水でよく流す
・脱衣所に掃除機をかける
環境整備 居室内の
殺虫剤
必要なし ピレスロイド系殺虫剤を噴霧する
掃除方法 特別な管理は不要 ・モップや粘着シートなどで角質を取り除く
・掃除機で落屑(古く自然に落ちた皮膚)が
たまりやすい部分を中心に、丁寧に清掃する
リネン類 シーツ・
寝具
ほかの利用者と共用しない ・ベッドマットは掃除機で表面を丁寧に掃除する
・使用後のシーツはビニール袋に入れて、別に扱う
洗濯物 ビニール袋に入れて運搬 ビニール袋に入れた後、
殺虫剤を噴霧し24時間密封
洗濯 通常の方法 50度のお湯に10分以上浸ける
または乾燥機を利用する

この表からおわかりいただけるように、利用者さんの中で1人でも角化型疥癬にかかった方がいれば、集団発生の危険が高くなります。
そして、東京都多摩立川保健所では、予防的な対応は疥癬を発症した方と濃厚な接触があり、疥癬に感染した可能性が高い場合に限られ、そうでなければ予防的対策は不要、としています。
では、それぞれの対処法のポイントを解説していきましょう。

●通常疥癬は、皮膚の直接接触を避ける

通常疥癬は、数時間並んで座った程度では感染する可能性はほとんどない、とされています。
そのため、通常疥癬にかかっている利用者さんが共用ベッドを利用しており、そのベッドをほかの利用者さんも利用していた、あるいは同じこたつの中で長時間一緒に過ごしていたなどがなければ、利用者間で感染する可能性は低いといえます。
一方で注意しなくてはいけないのが、介護者側です。
トイレ介助や入浴介助など、介助者と利用者は皮膚の触れ合う機会が多くなります。
だからこそ、通常疥癬の場合は入居者間の感染というよりも、介護者が感染しないように注意する必要があります。

●角化型疥癬は、利用者間での感染を拡大させないことが重要

角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、通常疥癬とくらべ桁違いのヒゼンダニに感染した、重症例です。
角化型疥癬の場合は、100万以上という多数のヒゼンダニに感染しています。
利用者さんから剥がれ落ちた皮膚などや爪にも多数のヒゼンダニがいるため、容易に周囲へ感染してしまいます。
特に高齢者は運動機能や免疫機能が低下しているため、感染が拡大しやすいと考えられています。
首都圏の介護施設、計506カ所に疥癬の集団発生に関するアンケートを行ったところ、41人以上の集団発生が5施設あったことがわかっています。
また、新たな疥癬発生が持続する期間でも、2年以上続いた施設があることもわかっており、国立感染症研究所では、このような状況は現在も変わらずに続いている、としています。
よって介護者は異常にいち早く気付き、すぐに皮膚科を受診して確定診断を受けるとともに、介護職員が一丸となって適切な対応を速やかにとることが求められます。

異常を早期に発見するためにも、普段の観察が重要

感染してから症状が出るまでに4~6週間かかる通常疥癬は、高齢者の場合は激しいかゆみを伴わないこともあるため、特に発見が難しい病気ともいえます。
そこで大切なのは、介護者が入浴や更衣など、日常のケアの中で入居者さんの皮膚状態をよく観察し、普段との違いを明確にしておくことです。
疥癬に対して、種類に応じた適切な対応をとること、そして皮膚状態の変化にいち早く気付ける介護者の観察力が大切といえます。

参照:
国立感染症研究所 疥癬とは.(2018年8月22日引用)
和歌山市感染症情報センター 疥癬(かいせん)を正しく知りましょう.(2018年8月22日引用)
東京都多摩立川保健所 疥癬(かいせん).(2018年8月22日引用)
東京都 地域ケアにおける疥癬対応マニュアル.(2018年8月22日引用)

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