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  • 高木雪絵

    公開日: 2019年04月26日
  • 入居者さんのケア

ADLとQOLの違いとは?介護・看護・リハビリの職員が知っておきたい意味を解説

介護現場で働く上では、知っておくべき略語がいくつもあります。
今回は、介護の現場でよく耳にする用語として代表的な「ADL」と「QOL」の意味や違いについてご紹介します。
利用者さんのケアにおいても重要となる用語であるため、仕事で介護・看護・リハビリなどに携わる方は意味を覚えておきましょう。

ADLとQOLの違いとは?

ADLとはどんな意味の用語?

ADLとはどんな意味の用語?

ADLとは、「Activity of Daily Living」の略であり、日本語では日常生活動作または日常生活活動と訳されています。
ADLには食事や更衣、排泄、入浴、整容、移動などが含まれており、生活において必要となる基本的な動作や活動を指します。
利用者さんが「しているADL」と「できるADL」を評価して、どんなケアやリハビリが必要なのか考えていきます。
ADLの読み方は「エー・ディー・エル」であり、介護現場におけるやりとりでも、次のような使い方でよく登場します。

●ADLの使い方
ADLの低下に対するアプローチを検討する」
ADLを向上させることが目標です」
ADLの評価をして、できるADLとしているADLを把握します」
「週に2日、作業療法士がADLのリハビリをします」
「◯◯さんは独居での生活が必要なので、ADLの自立が不可欠です」

ADLの使い方

介護・看護・リハビリの記録でもよく使う用語なので、使いこなしていきましょう。
なお、似ている言葉にIADLがありますが、料理や買い物などが含まれており、基本的な生活動作よりも応用的なものとなります。
ADLとIADLについて理解を深めたい方は、こちらの記事(今さら聞けない…!医療従事者が知っておきたい「ADL」の知識と考え方)もご一読ください。

QOLとはどんな意味の用語?

QOLとはどんな意味の用語?

QOLは、「Quality of Life」の略であり、日本語では「生活の質」と訳します。
これは、その人が人間らしく満足した生活を送れているかどうかを示す概念です。
QOLの読み方は「キュー・オー・エル」であり、実際の会話では次のように使われます。

●QOLの使い方
「当施設では、すべての利用者さんのQOLを高めることを目指しています」
QOLが低下しているのなら、QOL向上を目標に加えます」
QOLの評価に使用するスケールが必要です」

QOLの使い方

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このように介護士・看護師・リハビリスタッフの会話の中で使われることも多いので、意味と表現について知っておきましょう。
生きがいや満足感があり、心身の苦痛がない状態ならば「QOLは高い」といえます。
それに対して、自分の意思でできることが制限され、身体的・精神的・社会的に苦痛があり、楽しみや自己実現の機会がないのなら「QOLは低い」と判断できるでしょう。

QOLとADLの違いや関係性とは

介護・看護・リハビリ職の関わりでは、利用者さんのADLを自立させることも、QOLを高めることも大切になります。
身の回りのことが自分でできるようになると、結果的に利用者さんの満足度が高まる可能性はあります。
ただ、ADLとQOLには違いがあり、必ずしも「ADLの自立=QOLの向上」という関係性が成立するわけではないため注意が必要です。
次に、Aさん、BさんのケースからADLとQOLの関係性について考えてみましょう。

●Aさん

ADLが自立しており、身の回りのことは一通りできるが、自分の役割がない。
生きがいや楽しみがなく、張り合いのない毎日を過ごしている。
いつも臥床しているか、食堂の椅子に座っていて、活動にお誘いしても「何をやっても楽しくない」「自分にはできない」と答える。

●Bさん

ほとんどのADLには介助が必要だが、ゆっくりと上肢を動かすことはできる。
孫に絵をプレゼントするという目標を立ててリハビリに励み、フィンガーペインティングで絵を完成させることができた。
孫に喜んでもらえたため、「自分にもまだまだできることがある」と満足感や達成感が得られ、リハビリ意欲も高まった。

上記の例からもわかるように、ADLが高いからといって、QOLも高いとは限りません
ADL向上は、QOLを高めるために必要な視点のひとつということになるため、両者には深い関係があるといえます。
しかし、病気や障害があるかどうか、ADLが自立しているかどうかだけでなく、身体的・精神的・社会的にご本人が満足のいく状態にあることが、生活の質につながっていきます。
仮に寝たきり、座りきりであっても、ご本人の意思が尊重されており、満足感や生きがいが得られているのなら、QOLは高くなるといえるでしょう。
「あの利用者さんは毎日楽しそうだな」「あの人は全介助だからQOLが低いに違いない」と決めつけるのではなく、ご本人の言葉で語ってもらうことが大切です。
そして、QOLが高ければADLをないがしろにしてよいというわけではないため、バランスを考えて対応していく必要があります。

ADL向上=QOL向上ではないことを念頭に!

介護・看護・リハビリに従事する人は、ADLとQOLという言葉の意味はもちろんのこと、その違いや関係性についても理解しておく必要があります。
ケアやリハビリのテクニックではありませんが、考え方としてはとても大切なものとなります。
ADLが自立していることと、QOLが高いことは必ずしもイコールにならないという事実を念頭におきながら、利用者さんと関わっていきましょう。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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