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医療従事者向け 介護プラス

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年05月31日
  • 入居者さんのケア

アニマルセラピーの海外事例6つ!アメリカやイギリスの事例・論文をご紹介

日本と比較して、海外では積極的にアニマルセラピーを取り入れている国もあります。
今回は、アニマルセラピーを導入している、6つの海外事例をご紹介します。
世界的にも広く用いられているアプローチであり、幅広い対象者に応用されているため、ヒントを探ってみてください。

アニマルセラピーの海外事例

事例1:週1回の介入で、介護施設入居者の不安感が軽減(アメリカ)

週1回の介入で、介護施設入居者の不安感が軽減(アメリカ)

ミシシッピ州南部にある3つの介護施設で、アニマルセラピーの効果を調査した研究論文があります。
この研究では、合計45名の高齢者に対し、介入なし、週1回の介入、週3回の介入を行うグループに分け、アニマルセラピーの効果を検証しています。
この研究では、犬が好きではない入居者は調査に参加しないことを選択しました。
アニマルセラピーは1回30分で、犬をリードでつないだまま、入居者は抱っこする、なでる、手入れする、歩く、話す、遊ぶという活動に従事しました。
調査の結果、1週間に30分のセッションであっても、統計学的に有意なレベルまで孤独感が減少することがわかりました。

参考:The Effects of Animal-Assisted Therapy on Loneliness in an Elderly Population in Long-Term Care Facilities

事例2:認知症の方や介護者を対象としたセッション(アメリカ)

認知症の方や介護者を対象としたセッション(アメリカ)

ニューヨークのアルツハイマー病アメリカ財団では、認知症の方や家族、介護者を対象としたアニマルセラピーを開催しています。
認知症に関する実践や研究では、ご本人だけでなく、「caregiver(介護者)」の存在も含めたアプローチが盛んに行われています。
この事例でも、認知症の方だけでなく、周囲の人々も対象として、無料のセラピードッグセッションを提供しています。
このセッションでは訓練を受けた2頭のセラピードッグと、犬をハンドルする人が参加しており、犬と1対1の時間を過ごせるようにしています
動物の愛情を受け取ったり、逆にかわいがったりすることで表情が明るくなるなど、良い反応がみられるケースも多いようです。

参考:Free Therapy Dog Sessions Help Those Affected By Alzheimer’s Smile, Engage and Transform

事例3:馬がケアホームを訪問して社会的活動を促す(イギリス)

馬がケアホームを訪問して社会的活動を促す(イギリス)

イギリスにあるMeallmoreというケアホームを、2頭の馬(ポニー)が訪問しました。
ケアホームの入居者に動物と会い、ふれあう機会を提供すること目的としています。
この施設のマネジャーは、「アニマルセラピーは楽しく、興味を持てるというだけでなく、入居者のリラックスや社会的活動につながる点でも重要」と述べています。
動物とふれあうなかで、ほかの入居者やスタッフと会話が増えたり、アイコンタクトをとることができたり、社会的な相互作用が期待できるでしょう。

参考:Ponies pay a visit to care home

事例4:脳損傷患者の社会的行動にアプローチ(ドイツ)

脳損傷患者の社会的行動にアプローチ(ドイツ)

脳損傷患者では、感情が乏しくなったり、コミュニケーションをとりにくくなったり、社会相互作用の面において課題を抱えることが少なくありません。
ドイツのバーゼル大学の心理学者は、医療機関などと協力しながら、脳損傷の入院患者を対象に研究を行いました。
その結果、モルモット、ミニブタ、ウサギ、ヒツジを含んだ環境において、患者の社会的行動にポジティブな変化があったとしています。
肯定的な感情を表現するようになる、セッション中に「自分に満足している」ととらえるなどの反応があり、セラピストの評価とも一致していました。

参考:Animal-assisted therapy improves social behavior in patients with brain injuries

事例5:患者の苦痛軽減とスタッフの気分改善(アメリカ)

アメリカのケンタッキー州では、ヘルスケアにおいて動物を用いることに焦点を当てており、多くの病院でアニマルセラピーが実施されています。
このように、州のヘルスケアシステムでアニマルセラピーが重要なものと位置づけているケースもあるのです。
ケンタッキー州の場合、犬だけではなく、猫や馬などが選ばれることもあります。
セラピードッグは、「施設療法」や「訪問」など、目的に応じていくつかのタイプに分類されています。
ケンタッキー州の病院では、患者さんの苦痛を軽減するための非薬物的介入のひとつとして、セラピードッグの有用性を見いだしています。
また、患者さんだけでなく、スタッフの気分や自己効力感を改善するという効果も期待しています。

参考:Pet Therapy, Patient Benefit

事例6:小児病院で犬が検査やリハビリに貢献(イギリス)

イギリスのある小児病院では、3名のボランティアと5頭のゴールデンレトリバーがアニマルセラピーを行っています。
この病院では、犬と「会って挨拶する」というところから、理学療法や作業療法の支援をするまで、幅広い場面で動物の力を生かしています。
そして、採血や放射線の検査をするときに、子供の注意をそらしたり、不安を軽減したりすることも目的としています。
200の調査を行った結果、このサービスに対してポジティブな反応が得られたと報告しています。
そして、犬の存在や清潔さ、行動に関する懸念事項は何もなかったと記録しています。

参考:The benefits of an animal-assisted intervention service to patients and staff at a children’s hospital

海外事例を参考に、日本の介護施設でも導入を検討してみよう!

今回ご紹介した海外事例のように、アニマルセラピーは医療・介護現場で広く用いられています。
動物には、子供から高齢者まで、多くの人を笑顔にしてくれる力があり、介護施設でも週1回の介入で孤独感が減少したという報告があるほどです。
日本の施設でもアニマルセラピーを導入してみると、入居者さんから良い反応が得られる可能性があります。
動物が苦手な人への対応など、検討すべき課題もありますが、施設の魅力を高める施策として視野に入れてみてはいかがでしょうか

なお、アニマルセラピーとは何か、どんな効果が期待できるのか、こちらの記事(アニマルセラピーとは?定義や内容、期待できる効果、問題点を解説)でも解説しています。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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