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  • 蔵重雄基

    公開日: 2020年03月30日
  • 入居者さんのケア

高齢者施設で利⽤者さんとお花⾒に⾏くための⼯夫を紹介!実際に体験してわかったメリットや⾷事の⼯夫、注意したいポイントも解説

日本人であれば、4月に満開の桜の花を見ると、誰もがお花見にいきたくなります。
それは、高齢になり病気や障害があったりする高齢者施設の利用者さんも同じです。
桜の花を見ながら美味しいお弁当を食べると、自然と笑顔が生まれ、気持ちが明るくなります。
そこで、高齢者施設で利用者さんとお花見に行くために知っておきたいポイントを紹介します。

お花見は工夫次第で楽しさも大きく

お花見をするメリットとは?実施してわかった意義を紹介

お花見をするメリットとは?実施してわかった意義を紹介

実際に利用者さんとお花見をしてみると、普段施設内では感じられないメリットがあることを実感します。
そこで、筆者の経験を交えて、高齢者施設でお花見をする意義について紹介します。

●季節を感じられる

施設内で節分やクリスマス会など季節ごとの催しをすることで、利用者さんに季節感を感じてもらうことができます。
しかし、日本人が季節を感じるのに、お花見に勝るものはないでしょう。
重度の認知症があり、見当識障害のため、普段は季節も全く答えられないような利用者さんでも、桜を目の前にすると、春としっかり答えられるといった経験を何度もしたことがあります。

●五感を刺激する

春の気持ちの良いそよ風の下、満開の桜を眺めながら、美味しいお花見弁当を食べる。
お花見は施設内では決して感じることのできない、五感を刺激する体験です。
普段、あまり反応のない利用者さんや不穏なことが多い利用者さんでも、お花見で五感を刺激され、穏やかな表情や笑顔を見せられることも少なくありません。

●屋外にでる機会を作れる

施設内でのレクやリハビリの機会はあっても、屋外にでる機会はそれほど多くありません。
そのため、お花見を施設の行事にすれば、大勢の利用者さんを屋外に連れていくことができます。
屋外での活動は、施設内で長い時間を過ごす利用者さんにとっては、大変良い気分転換になります。

●コミュニケーションの場になる

施設内でも利用者さん同士やスタッフとコミュニケーションを取る機会は多くあります。
しかし、お花見となると普段とは違ったコミュニケーションの場になります。
施設内ではあまり話をしない人や集団にはあまりなじまない人などでも、自然と昔話に花を咲かせたり、得意の歌を披露したりという光景が見られます。
家族などに参加してもらえば、コミュニケーションの輪はより大きくなり、とても楽しい、にぎやかな場となります。

お花見をする場合に気をつけたい注意点

お花見をする場合に気をつけたい注意点

お花見は屋外での活動だけあって、気をつけたい注意点がいくつかあります。

●利用者さんの体調管理

4月といってもまだまだ肌寒い気温の場合も少なくありません。
そのため、利用者さんの体調には十分配慮して、参加の可否を判断することが大切です。
せっかくの花見だからといって、無理をさせて体調が悪くなってしまったら、元も子もありません。
医師や看護師がいる事業所はしっかりと連携を取るようにしましょう。

●移動時や送迎時のリスク管理

花見は屋外での移動になるため、施設内とは勝手が異なります。
スタッフは事前に花見会場周辺の道のりをしっかり把握して、利用者さんの移動手段を検討する必要があります。
「少しでもリハビリのために歩いてもらおう」
という考え方はもちろん重要ですが、せっかくお花見にきたのに、移動が大変で楽しめないなんてことになったら残念です。
そのため、いつでも休めるように車椅子を用意したり、普段より支持がしっかりできる歩行補助具(普段杖であれば歩行器など)を使用したりといった工夫も必要です。
また、送迎車を利用して少し遠出する場合は、車の乗り降り、運転に気をつけるようにしましょう。
普段あまり車に乗らない利用者さんは、車に酔いやすかったり、振動が不快だったりする場合もあります。
送迎にはできるだけ添乗者をつけて、常に利用者さんの状態を把握しながら送迎しましょう。

●天候不良の場合を想定しておく

せっかく予定しても、悪天候であればお花見をすることができません。
また、開花の時期はそれほど長くないため、一度タイミングを逃してしまうと、次の計画を立てている間に花が散ってしまうなんてこともありえます。
そのため、あらかじめ予備日を設定しておくことがおすすめです。
もし、ほかの日に日程を組むことが難しければ、桜やお花見にちなんだレクリエーションを考えておき、施設内で実施したり、お弁当だけ用意して施設の中で行事としてお花見弁当を食べたりして、少しでもお花見の気分を味わえるような工夫をしましょう。

食事の工夫や家族の参加でお花見を盛り上げよう

桜を利用者さんとスタッフで見るだけでも良いですが、より盛り上げるためには、「食事の工夫をする」ことと「家族に参加してもらう」ことがおすすめです。
それぞれ詳しく紹介します。

●食事は「お花見弁当」を用意!食形態に合わせた工夫も可能

お花見といえば、満開の桜の下で食べる「お花見弁当」を思い浮かべる人も多いでしょう。
お花見に参加される利用者さんも、お花見弁当はとても喜ばれます。
普段はあまり食欲のない利用者さんが、美味しそうに完食されたというエピソードも少なくありません。
施設によって、施設内の厨房で食事を作っている場合とほかの業者から注文している場合があるでしょう。
どちらの場合でも、せっかくなのでお花見のときは、「お花見弁当」の作成を検討してみましょう。
筆者の働く法人では、ペースト食など食事形態に制限がある利用者さんでも、飾り付けや器などを工夫して、季節感を出してお弁当を用意しています。
高齢者弁当の業者でも「行事食」として、さまざまなパターンを用意している場合もあるので検討してみましょう。
もし、そのようなお弁当が難しい場合でも、普段とは違う容器を準備したり、お花見用の「おやつ」を準備したりするだけでも、雰囲気がでるのでおすすめです。

●家族の参加で利用者さんも笑顔に!写真撮影も忘れずに

家族の参加で利用者さんも笑顔に!写真撮影も忘れずに

利用者さんは家族で行ったお花見の思い出もとても大切にされています。
ぜひ、家族にお花見をすることをアナウンスしておき、一緒に参加してもらうように案内状を送付しましょう。
家族の都合があるので、予定がたち次第早めに連絡をするようにしましょう。
場合によっては、自費が必要になることもあるかもしれないため、そこのことも漏らさず連絡するようにしましょう。
楽しいお花見の思い出はしっかり写真に納めて、終了後に現像して購入してもらうようにすると、利用者さん、ご家族ともにとても喜ばれます。

桜を見て利用者さんの笑顔も満開に!お花見を毎年の恒例行事にしよう

桜が満開になるのは一年のうちでもわずかですので、毎年とても楽しみにされている利用者さんは大勢います。
せっかく楽しい行事をするならば、事前に計画を立て、しっかり準備をして、事故などが無いようにしたいものです。
特に開花予想より1カ月程度前から計画を立てていけば、家族への連絡や雨天だった場合の代替案の準備なども余裕を持って行えます。
今回ご紹介した内容を参考にしていただき、施設の目玉行事として、毎年お花見を実施してみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。

    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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