介護・高齢者施設が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

医療従事者向け 介護プラス

この記事に関するタグ

新型コロナウイルス

高齢者施設で新型コロナウイルスの感染者がでたら?施設での緊急対策はこうする

新型コロナウイルスが猛威を振るっている現在、感染予防策が全国の高齢者施設で行われています。
高齢者は基礎疾患を持っている方が多いため、感染した場合の死亡率は高くなります。
感染の疑いがある人がでた場合、感染者を増やさないために緊急の対策が必要です。

感染の疑いがある人がでた場合、感染者を増やさないために緊急の対策が必要

新型コロナウイルスの感染疑いのある入居者がでたときの緊急対応

入居者に新型コロナウイルスと似た症状がでた場合、施設としてはほかの入居者や職員に感染しないように緊急に対応しなくてはなりません。

●新型コロナウイルスの感染疑いを見分ける症状

新型コロナウイルスに感染している場合の症状として次の症状が挙げられます。

  • ○咳や非常に強い倦怠感(体のだるさ)がある
  • ○37.5度以上の熱が2日以上続く
  • ○呼吸が苦しいという訴えがある
  • ○意識レベルの喪失(緊急の場合)
  • ○急に水分や食事の摂取が困難になっている

それ以外に新型コロナウイルスに感染した人のなかには、味覚や嗅覚がなくなったという症状を訴える人がいます。

●感染の疑いがある入居者や濃厚接触者は個室対応

感染の疑いがある人がでた場合、すぐに最寄りの保健所に連絡し、PCR検査の実施などの指示を受けます。
感染の疑いがある人と密に接していた人も同じように報告し、14日間の症状観察を行います。

  1. 1)感染の疑いがある人や密に接していた人を原則、個室へ移す。
  2. (個室が足りない場合は、入居者にマスクを着用してベッド間を2m開けて間をカーテンで仕切る)

  3. 2)医療機関受診などの場合はマスクをして外出し、手洗いや消毒をまめにする
  4. 3)使い捨てエプロン、使い捨て手袋、使い捨てマスク、消毒用アルコールを個室外に置き、ゴミ袋を個室内の入口付近に設置する
  5. 4)入室前にエプロンと手袋、マスクをして、入居者の介助をして個室からでる前に、エプロン、手袋、マスクを外してゴミ袋に入れる
  6. 5)職員は個室外で手指のアルコール消毒を入念に行う
  7. 6)たまったゴミは、感染者のオムツとともに1日の終わりに回収し、袋を二重にしてしっかりと縛り、感染性廃棄物として捨てる

●食事、トイレ、入浴介助をするときの注意点

基本的に食事やトイレ、入浴介助は個室で対応します。

1)食事に関する注意点

食事のトレイは使い捨てが望ましいですが、そうでない場合はほかの入居者のトレイと分けて使い、トレイは熱湯消毒します。
まな板や布巾、タオル等は石けんで洗浄後、熱水処理するか次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)につけます。
食事前は入居者の手を石けんで洗浄し、水で流して手についたウイルスを除去します。
または消毒用アルコールや手に優しい次亜塩素酸水などで手指消毒を行います。
次亜塩素酸水は、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムとは異なり、弱酸性で塩化ナトリウムなどを電気分解して生成したものです。
新型コロナウイルスの広がりで、殺菌効果が0.1%次亜塩素酸ナトリウム液と同じくらい高い消毒液として注目されています。

2)トイレ介助やオムツ交換するときの注意点

感染者は共有のトイレは使用不可。
個室にトイレがない場合、ポータブルトイレの利用などでほかの入居者と別にします。

交換したオムツは、個室に設置したゴミ袋に入れます。
ポータブルトイレを使用する場合は、使用した後、毎回ポータブルトイレを洗浄し、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液で消毒します。
挿し込み便器を使用している場合は、90度の熱水で1分間洗浄して、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液で消毒します。

3)入浴介助や清拭をするときの注意点

感染者や濃厚接触者で感染の疑いがある人は、ほかの入居者と同じ場所での入浴は行いません。
熱がない接触者は、介助なしで入居できる人なら個室の入浴設備で入浴できます。
介助が必要な感染の疑いがある入居者は、基本的に清拭で対応します。

清拭したタオルは、色物でなければ0.05~0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の塩素系漂白剤)につけてから洗濯します。
色が落ちると困るものは、80℃のお湯で10分間洗濯します。
リネン類やラバー、衣類はほかの入居者と分けなくてもいいですが、清拭したタオルと同様の処理を行います。

職員が新型コロナウイルスに感染の疑いがある場合の対応

職員は出勤前に体温測定を行い、マスク着用や手洗い、手指消毒を徹底します。
体温測定で、37.5度以上の熱がある場合は、発熱から24時間以上が経過してから発熱や咳などの症状がおさまるまで自宅で待機します。
発熱が4日間続いた場合は保健所に連絡して指定の医療機関でPCR検査を受けることが勧められています。
感染が判明した場合は、職員と接触した入居者の個室対応や接触している職員を自宅待機にします。

施設での消毒の徹底と空気の入れ替え

手袋を着用して手すりやドアノブ、トイレの取っ手などは消毒用エタノールか次亜塩素酸ナトリウム液で拭いてから再度濡れた布で拭きます。
見落としやすいのは、職員が使っているタブレットやPHSです。
プラスチックは飛沫がついた後、しばらくはウイルスが生きているので、端末もアルコールのついた布などできれいにします。
感染者の居室のトイレや陰部洗浄ボトルも次亜塩素酸ナトリウム液で消毒します。
濃度は0.05%なので、2ℓのペットボトルの水に対して次亜塩素酸ナトリウム液を0.1mlです。

面会者やボランティアの受け入れ中止や業者への対応

家族の面会は入居者にとって楽しみのひとときですが、新型コロナウイルスの感染を防ぐためにやむを得ない場合をのぞいて、面会を中止あるいは玄関先などに制限します。
面会者にも体温測定をしてもらい、熱があれば面会を断ります。
ボランティアの受け入れは中止し、密になる状態を防ぎます。
クリーニング業者や食材を仕入れる業者も検温をし、発熱があれば施設への立ち入りを断わります。
また、クリーニング衣類や食材などは入口近くで受け取るか、決められた場所での受け渡しを行うほうが安心です。

徹底した対策で感染拡大を防止しよう

高齢者は、疾患を持っている人が多く、新型コロナウイルスに感染すると、呼吸器官が急激に悪化します。
新型コロナウイルスの感染者が高齢者施設内で拡大しないように、入居者同士が集まるレクリエーションや行事の中止、面会制限などを行い、人との接触の機会を減らします。
感染拡大を防ぐために、マスク、手袋などの着用や手指消毒、施設内の手すりやノブをアルコールで消毒するなど、徹底した対処を行いましょう。

参考:
日本環境感染学会 高齢者介護施設における感染対策.
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/koreisyakaigoshisetsu_kansentaisaku.pdf(2020年4月19日引用)
WAM NET 介護保険最新情報Vol.817.
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2020/0414091649277/ksvol.817.pdf(2020年4月19日引用)
日本環境感染学会 Q&A.
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5170423.pdf(2020年4月19日引用)
滋賀県 高齢者施設・事業所の利用者・職員等に新型コロナウイルス感染症の 疑いがある者(感染者、濃厚接触者)が発生した時の対応について.
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5170420.pdf(2020年4月19日引用)
一般財団法人 機能水研究振興財団 新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の有効性について.
http://www.fwf.or.jp/data_files/view/1707/(2020年4月25日引用)

コメントをどうぞ

ご入力いただいた名前・コメント内容は弊社がコメント返信する際に公開されます。
また、個別の治療方針や転院に関するご相談にはお答えいたしかねます。ご了承ください。
メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)