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入浴介助

高齢者に手浴や足浴で体もポカポカ!効果的なやり方でリラックス

身体保清には、一般入浴や清拭以外に手浴や足浴が含まれます。
一般入浴は全身浴と呼ばれ、手浴(しゅよく)と足浴(そくよく)は部分浴と呼ばれています。
全身浴のように脱衣の必要がなく、体に良い影響を及ぼすので、全身浴が難しい利用者にはおすすめの方法です。
この記事では、主に手浴、足浴が体に与える効果や、部分浴の方法を説明します。

手浴・足浴をするだけで体がポカポカになる

手浴(しゅよく)や足浴(そくよく)は、手や足をきれいにして温めるケア方法です。
さまざまな効果が期待できます。

小野光美氏らの研究グループは、介護老人福祉施設で下肢に浮腫がある入居者を対象にアロマオイルを加えた足浴の効果を調べました。
その結果、冷えやチアノーゼの改善、点状発赤の消失、皮膚の乾燥の改善、白癬菌の治癒、右膝下10cmの部位で下肢まわりの縮小が見られました。
お湯にアロマオイルを入れたことで、香りによるリラックス効果もあり、穏やかに足浴できたという結果もでています。
この研究ではむくみを改善し、抗菌や抗真菌効果、鎮静効果などがあり、皮膚の弱い高齢者でも使用できるラベンダー、グレープフルーツ、ティートリーオイル、ローズウッドの4種類のアロマオイルを使用し、乳化剤に重曹1杯を使用しています。

●手浴と足浴で期待できる効果

手浴と足浴で期待できる効果

上記の研究結果のように、抹消部位を温める手浴や足浴には次のような効果があります。

  1. 1)水虫などの感染症の予防や治癒
  2. 2)手足を温めることで、血行がよくなり体が温まり拘縮予防にもなる
  3. 3)アロマオイル入りのお湯につかることや保湿剤を塗ることで皮膚状態が改善する
  4. 4)リラックス効果や睡眠が改善する
  5. 5)手足のむくみが改善する

手浴や足浴の効果的な方法

手浴や足浴は端座位(座っている姿勢)で行うことが一般的ですが、仰臥位(仰向けに寝た状態)で行うこともできます。
体調が悪くて入浴ができない高齢者の方に、部分浴は負担をかけないのでおすすめです。

●必要なもの

手浴用洗面器、足浴用バケツや洗面器、差し湯用のやかん、石けんやボディソープ、洗い用タオル、拭き上げ用タオル、ビニール、温度計、介護手袋、爪切り、保湿剤

●手浴の方法

  1. 1)介護用手袋をはめ、端座位なら膝の上にビニ―ルを敷いて洗面器を置くか、洗面所にお湯を入れた洗面器を準備する(臥床したまま行う場合は、ベッドの上にビニールと洗面器を置く)
  2. 2)手浴用洗面器に38~42℃のお湯をはる
  3. 3)利用者の手を浸し指や指の間、手のひらを石けんで洗う
  4. 4)お湯を捨てて、きれいなお湯に入れ替え石けんを丁寧に落とす
  5. 5)そのまま手を5〜10分ほどつける
  6. 6)最後に掛け湯をし、乾いたタオルで水分を拭く
  7. 7)乾燥している皮膚状態なら保湿剤を塗る
  8. 8)爪が柔らかくなるので伸びていたら切る

●足浴の方法

足浴は座位が可能ならベッドや椅子に座るか、車椅子に座った状態で行います。
難しい場合はベッドに仰臥位のまま行います。

【座位で行う方法】

  1. 1)足下にビニールを敷く
  2. 2)足浴用バケツ(洗面器)を置き、38〜42℃のお湯を半分ほど入れる
  3. 3)洗い用タオルに石けんをつけて、足の裏、甲、指の間を丁寧に洗う
  4. 4)きれいなお湯に入れ替えて石けんを落とす
  5. 5)足を軽くマッサージしながら5〜10分ほどつける
  6. 6)最後に掛け湯をしてタオルで足の水分を拭き取る
  7. 7)皮膚の乾燥があれば保湿剤を塗る
  8. 8)爪が伸びているなら爪を切る

【仰臥位で行う方法】

  1. 1)衣類を膝上まであげて膝を曲げて膝下にクッションやバスタオルの丸めたものを入れる
  2. 2)足下にビニールシートを敷き、洗面器を置いて38~42℃のお湯を半分ほど入れて足をお湯につける
  3. 3)3~8は【座位で行う方法】と同様の手順で行う

高齢者に部分浴をするときの注意点

高齢者に部分浴をするときの注意点

高齢者に手浴、足浴を施すときは次の点に注意しましょう。

  1. 1)手浴や足浴中の居室の温度は22〜24℃ほどで、寒い時期は洗面器やバケツのお湯が冷めやすいので足し湯をする
  2. 2)手浴や足浴をするときは、空腹のときや食後すぐの時間帯を避ける
  3. 3)手浴や足浴をするときは、声掛けを行い、利用者がリラックスできるような環境づくりを行う
  4. 4)部分浴は入浴にくらべて負担が少ないですが、特に足浴前後の血圧の変動には注意する
  5. 5)血圧が高い利用者は、お湯につける時間を短めにして負担を少なくする
  6. 6)お湯につけた後は、皮膚が剥離しやすいので注意する
  7. 7)脱水にならないように手浴や足浴後は水分補給を行う
  8. 8)皮膚疾患があるなど、必要なら看護師による処置を行う
  9. 9)皮膚状態をよくチェックして、状態によっては看護師や主治医へ報告する
  10. 10)感染性疾患があるなら、手袋を二重にするなどして職員への感染に気を付ける

高齢者に手浴・足浴で爽快感とリラックス感を届けよう

お風呂嫌いな方でも手浴や足浴は気持ちがいいと積極的にされる方が多いです。
それは、手浴や足浴をすると適度に体が温まり、非常に快適だからです。
汚れやすい手や足がきれいになるのでさっぱりし、むくみの解消にもつながります。
高齢者で入浴できない方には、手浴や足浴でリラックスしていただきましょう。 

参考:
リハプラン 足浴の手順と注意点について解説!.(2020年5月12日引用)
小野光美,原祥子,他:下肢に浮腫がある介護老人福祉施設入所者に対するアロマオイルを加えた足浴の効果.島根大学医学部紀要33:41-48,2010.

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