新型コロナウイルスで高齢者施設では面会が自粛!オンライン面会で入居者のストレスを軽減
新型コロナウイルスの感染防止のために、ほとんどの高齢者施設では面会を制限しています。
厚生労働省はテレビ電話システムや、ウェブアプリを利用するオンライン面会を推奨しています。
コロナ感染が収まりつつある一方、第2波が懸念されているため、オンライン面会を導入する施設が増えています。
オンライン面会とは
オンライン面会によって感染リスクなしで家族との面会が可能です。
現在行われているオンライン面会は、通話料がかからないLINE、Zoom、Skypeなどによるインターネット回線を利用したものです。
●オンライン面会をするための環境整備やプライバシー配慮が必要
施設にWi-Fi環境とパソコン、タブレット、スマートフォンなどの端末があればオンライン面会が可能です。
よく用いられている端末は、居室に持ち運びできて画面が大きいタブレットです。
オンライン面会では、会話の内容がほかの入居者に聞こえないようにする配慮が必要です。
たとえば、居室や別室、ほかの入居者と離れた場所などプライバシーを保護する必要があるでしょう。
●LINEアプリを利用するオンライン面会
一般にLINE利用者は多いので、オンライン面会でよく利用されています。
- 1)LINEアプリをインストールする
- 2)オンライン面会で使用するマイアカウントのマイQRコードをダウンロードする
- 3)面会を希望する家族にQRコードを送信する
- 4)あらかじめ予約した面会希望時間にLINEの家族のビデオマークをタップする
- 5)家族の端末にLINEの呼び出し音が鳴る
- 6)LINEでビデオ通話をする
LINEやZoomの詳しいビデオ通話の方法は、下記の全国有料老人ホーム協会のオンライン面会マニュアルをご覧ください。
オンライン面会のメリットとデメリット
オンライン面会は、新型コロナウイルスの感染防止として初めて試みる施設が多いです。
オンライン面会は直接会わなくても、家族との大切な時間を持つことができる有効な方法です。
以下のようなメリット、デメリットがあります。
●オンライン面会のメリット
高齢の入居者は、ウイルスに感染すると肺炎になる可能性が高く、施設内感染で広がるリスクが高いです。
人と接触しないオンライン面会は、感染リスクがなく家族との面会ができます。
ご家族の顔を見るだけで、入居者の気持ちが安定し前向きになることがあります。
さらに遠い場所にいる家族は、施設まで足を運ばなくても自宅から面会ができます。
その上、ご家族はオンライン面会で入居者の様子を知ることができます。
今後、コロナ以外の感染症が流行しても、オンライン面会ができる環境を整備しておくとすぐに対応できます。
●オンライン面会のデメリット
入居者は視力や聴力が衰えている方が多く、見えにくいとか通話が聞き取りにくいというデメリットがあります。
聴力の衰えがある方には、ビデオ通話をイヤホンで聞くと、まわりを気にせずに音量を上げて聞くことができます。
また、高齢の配偶者や兄弟が面会を希望する場合、パソコンやスマートフォンを持っていない方もいるので、オンライン面会を利用できないケースもでてきます。
たとえ端末を持っていても、操作方法がわかりにくく使えないこともあります。
オンライン面会実施による入居者の様子や現在の面会状況
家族との面会を楽しみにされている入居者にとって、面会できないことで精神的に不安定になる方やストレスがたまる方、帰宅願望がでてくる方、認知症が進む方、ADLが低下する方などがでてきました。
しかし、オンライン面会で家族の顔を見ることで入居者に笑顔が見られるようになりました。
●オンライン面会を実施している高齢者施設の事例
1)特別養護老人ホーム「おだかの郷」
神奈川県川崎市の特養「おだかの郷」では、4月中旬よりオンラインでの面会を始めています。
入居者はタブレットに映った家族の姿に顔がほころんでいました。
元気な姿を確認することができた家族も、オンライン面会ができたことで喜びを表されました。
2)みその福祉会 ケアタウン成増
京都市板橋区のケアタウン成増では、2月下旬から面会禁止にしていましたが4月下旬よりLINEによるオンライン面会を始めました。
入居者はビデオ通話で家族と5分ほど話をして笑顔を見せました。
毎週面会に行っていた家族は、2カ月ぶりの元気な姿を見て安心感を表しています。
3)社会福祉法人 聖心会特別養護老人ホーム 明尽苑
千葉県松戸市の明尽苑では、ご家族からの要望もあり3月よりオンライン面会を実施しました。
面会はLINEやBizMeeで、いずれも無料通話ができるアプリです。
オンライン面会は、家族にもインターネット環境があり、アプリを使いこなせる5割近くの入居者が利用しています。
家族の顔を見て、入居者は自然に笑顔になっています。
●現在の高齢者施設での面会状況
新型コロナウイルス感染が収束に向かうにつれて、徐々に面会が緩和されてきました。
入居者の認知症進行の抑制や、安心感を与える家族との面会はとても大切です。
第2波の心配はありますが、ほかの入居者と接触しないロビーや相談室などで面会ができるようになったり、今まで通りの面会ができるようになったりしています。
ただ、現在も面会前には面会者の検温、入居者と距離をとるなどの制限を図っている施設は多いです。
家族の顔が見えるように、窓越しに内線電話でやりとりをする面会を行っている施設もあります。
また家族の手紙や写真を入居者に渡したり、家族と電話できるように配慮したりと家族とのつながりをそれぞれの施設が工夫して行っています。
オンライン面会で入居者のストレスを軽減しよう
毎年、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症がはやります。
オンライン面会を導入すると、今後どんな感染症が流行しても面会を続けることができます。
施設内にいる入居者は家族の顔を見て話をすることで、とても安心した気持ちになるだけでなく、昔の思い出がよみがえりストレスが軽減します。
積極的にオンライン面会を取り入れてみませんか。