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他職種との連携

介護士と看護師の連携を強めるために オンコール時にバイタルよりも提供してほしい情報はこの4つ!

オンコールは、なにを伝えるのか明確なルールがないうえ、慌てて頭が真っ白になってしまうことから、苦手だという介護士は多いです。
しかし、ポイントに沿って報告すれば、入居者さんの状態を的確に伝えることができるのです。
そこで今回は、筆者が看護師目線でオンコールのポイントをご紹介します!

オンコール慌てずに

オンコールでなにを伝える?看護師がバイタルサインよりも知りたい4つの情報

入居者さんになにかあったとき。
最初に接する介護士の不安は計り知れません。
早く何とかしたい、急いで看護師へオンコールしたいと思うでしょう。
オンコールに重要なのは「必要な情報を伝える」ことですが、慌ててしまうがゆえに、必要な情報が伝えられていないケースが多くみられます。
実際に筆者が新人看護師だったころ、急変した患者さんの報告で「こわい」「不安」「どうしよう」という自分の感情ばかりが先に立ち、先輩看護師に「肝心の患者さんの状態が分からない」と言われてしまったことがあります。
患者さんのための報告ではなく、自分の感情の報告になっていたのです。
これはオンコールにもいえることで、自分の感情を含めた主観的な情報は、入居者さんの状態を把握しづらくしてしまいます。
主観的ではなく、客観的な情報を先に伝えることが大切であり、それによって看護師は入居者さんの状態を的確に把握できるのです。
オンコールがあったとき、看護師がまず聞いておきたいポイントは以下の4つです。

  • 「時間」いつ起きたのか、気づいたのか
  • 「変化」なにがあったのか
  • 「対応」その変化に対し、どんな対応をしたのか
  • 「現状」現在はどんな状況か

電話の向こうの看護師は、客観的情報をもとになにが起きたのか?という予測を立てます。
そのため、まずはこの4つのポイントを情報として提供してもらい、看護師側である程度予測が立ったところで、さらに主観的情報を付加してもらえると、予測を確信に近づけることができます。

オンコールをするまえに!ひと呼吸おいて情報整理

オンコールをするまえに

「高熱がある!」
なにはさておき、まずはオンコール。
看護師に状況を伝えようとしたものの、体温以外の情報がなかったという経験はありませんか?
慌てるのは当然ですが、急変(呼吸が止まっているなど)でないなら、いったん落ち着いて情報を整理しましょう。
たとえば「発熱」ですが、ご高齢の方は体温調節機能が低下しているので、布団などの掛ける物が少し多いだけでも容易に体温が上昇します。
脱水気味という可能性もあるでしょう。
これらが原因ならば、掛ける物の枚数を調整したり、水分補給したりすれば体温は落ち着いてきます。
もちろん、発熱が一刻を争う兆候のこともありますが、その場合も様子を見ていいのか、緊急事態なのかを判断するために、体温以外の情報は必要です。
以下では、上述したポイントに当てはめながら、「慌てずに急いで情報を集める方法」をお伝えしていきます。
発熱を例に、客観的情報を整理してみます。

  • 「時間」20時の体温測定で発熱を確認、そのまえに体温測定をしたのは15時で平熱。
  • 「変化」38℃の高熱がある。
  • 「対応」クーリングを開始し、その他のバイタルサインを測定。
  • 「摂取」食事、水分摂取量や排尿回数などを確認。
  • 「現状」再測定すると38.5℃に上昇している、たんも絡んでいる。

この情報で看護師は「肺炎かも」「誤えんしたかな」などと予測しています。
ここで「食事中にむせて苦しそうにしていた」などの主観的情報を付加してもらえると、看護師の「誤えんかもしれない」という予測は真実味を帯びてくるのです。

●情報整理シートや勉強会でレベルを同一に

経験豊富な介護士のなかには、期待する以上の情報を提供してくださる方も少なくありません。
特に、するどい主観的情報には驚くことも多いです。
するどい主観的情報を新人の介護士に求めるのは酷ですが、客観的情報なら同じレベルに近づけることが可能です。
そこでお勧めなのが、先ほどお伝えした「ポイントを書き込める情報整理シートを作っておく」ということです。
情報整理シートへ、その項目ごとに入居者さんの状態をチェックして書き込んでいけば、あとはシートを見ながら看護師へオンコールするだけです。
客観的情報さえ伝えることができれば、ほかに知りたい情報は看護師の方から質問してくるので大丈夫です。
勉強会でシートの使い方を説明、統一すれば、経験の少ない介護士もオンコールに対する不安が軽減するのではないでしょうか。
あとは数をこなすこと、つまり慣れです!

事前確認しておこう!「どんなときにオンコールをすればいい?」は看護師とのコミュニケーションが鍵

事前確認しておこう

微熱がある、食欲がない、機嫌が悪いなどの変化が日中からあれば、看護師がいるうちに夜間の対策を相談しておきましょう。
どんなときにオンコールをすればいいかを確認しておくと、実際にオンコールが必要になったときに伝える情報が最低限ですみ、迅速な対応が可能になります。
ただしこれは両者の関係性が良好でなければ難しいかもしれません。
介護士と看護師は立場も考え方も違います。
業務内容や専門性が違うのですから当然なのですが、その違いが両者の間に壁をつくることがあります。
日本医師会が作成したワークブックによれば、他職種理解には思考、行為、感情、価値観の理解が必要です。
どちらが上でも下でもなく、お互いを認めなければ良好な関係を築くことはできません。
そのためにも積極的なコミュニケーションは欠かせないのです。

まとめ

オンコールは単に入居者さんの状態を伝える手段ではなく、介護士と看護師が情報を共有し、連携する場面でもあります。
円滑な連携のためには、お互いが自身の役割を全うして協力し合わなければなりません。
オンコールでの役割分担は、介護士が「入居者さんの状態を報告する」、看護師が「報告された情報をもとに判断する」ということになります。
介護士が役割を果たすには看護師の判断が必要であり、看護師が役割を果たすには介護士からの情報が必須なのです。
今回ご紹介したオンコールのポイントが、介護士の苦手意識を克服するヒントになれば幸いです。

参考:
日本医師会 地域包括ケアと他職種連携 2016年

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