外国人スタッフのためのスキルアップ介護!その1 服薬介助のコツ
近年、介護現場では外国人スタッフが増加しています。
外国人スタッフがスキルアップするには、日本人スタッフのサポートも重要です。
今回は外国人スタッフ向けに服薬介助のコツをご紹介します。
ぜひ皆さんの職場でも、実践してみてください。
服薬介助の基本の方法
服薬介助の基本の方法をご紹介します。
●入居者さんの姿勢
服薬介助の前に入居者さんの姿勢を確かめます。
椅子や車いすに座っている入居者さんは、あごをひいて前傾姿勢をとってもらうと良いでしょう。
上を向かせすぎると、気管に物が入り誤嚥の危険性がありますので注意しましょう。
寝たきりの入居者さんは、リクライニングで上体を起こします。
●薬チェックからの服薬
薬の包数や種類に間違いがないか、チェックします。
入居者さんに声かけを行い、本人にも間違いがないかどうか確認してもらいましょう。
自立されているひとの場合は服用を見守りましょう。
介助が必要なひとは、薬を口に入れて対応します。
服薬時に使用するものは水が基本です。
飲み込みがむずかしい入居者さんはゼリーやとろみをつけて、安全に飲んでもらいましょう。
高齢者施設では、入居者さん一人ひとりの服薬の注意点が異なります。
一歩間違えればいのちに関わる責任のある業務です。
外国人スタッフに服薬介助をしてもらうときには、日本人スタッフも近くでフォローできる体制を整えておき、わからないことがあれば何度でも質問してもらうようにしましょう。
●服薬後のチェック
口のなかに薬が残っていないか確認します。
舌の裏や入れ歯の間に溶けかかった薬がある場合があるので、しっかり確認しましょう。
服薬ミスの防ぎ方!入居者さんから目を離さない
服薬時には以下のミスに注意します。
●飲みこぼし
薬を落としやすい入居者さんには、薬をひとつずつ飲んでもらうように声かけをします。
飲み込みがうまくいかない入居者さんは、スタッフが口のなかに薬を入れます。
入居者さんが薬を飲んでいる間は、絶対に目を離さないでください。
スタッフが見ていない間に床や食事のお盆、コップのなかに薬が落ちる可能があります。
しっかり入居者さんの周囲を確認し、薬が落ちていないか確認しましょう。
●誤薬
間違った方法で入居者さんに薬を飲ませてしまうことです。
別の入居者さんに薬を飲ませてしまったり、決まった量や種類、時間を間違えてしまったりすることも誤薬に含まれます。
誤薬のほとんどが、確認不足によるものです。
仕事に慣れていない外国人スタッフは、どうしてもとまどいや焦りでミスが出やすいです。
服薬介助の前には一度深呼吸をしてもらい、落ち着いた状態になってから薬に間違いがないかチェックしてもらいましょう。
さらに入居者さんのところで名前を呼び、「〇月〇日、朝食後のお薬3錠です」と入居者さんと一緒に確認することで、誤薬が防止できます。
飲ませる薬の管理体制も強化しましょう。
筆者の勤めている施設の場合は薬局に協力してもらい、入居者さんの薬を一包化しています。
袋には入居者さんの名前と飲ませる日付や飲ませる時間、薬の数を印字してあり、誰でも一目でわかるようにしています。
薬の袋は、飲ませる時間ごとに仕切りのついた専用ケースで分類しています。
決まった時間に、朝食=赤、昼食=黄、夕食=青、眠前=黒の4色で色分けされたポーチにセットし、セットしたスタッフではない2人のスタッフでダブルチェックを行います。
服薬介助後もダブルチェックを行い、飲ませ忘れを防ぎます。
ひとりは薬のポーチに入っている空の袋を開いて専用のゴミ箱に捨てていきます。
その際、大きな声で入居者さんの名前を読み上げます。
もうひとりは服薬チェックリストにチェックを入れます。
最後に空になった薬のポーチとチェックの数を照らし合わせ、誤差がないかを確認します。
わからない漢字にはふりがなやローマ字をふろう
外国人スタッフのなかには、漢字が苦手なひともいます。
入居者さんの名前でわからない漢字があるときは、そのスタッフがわかる言語で、薬の袋にふりがなをつけましょう。
薬のポーチに顔写真を貼るのも効果的です。
とはいえ、同じ名字や似ている漢字の入居者さんがいたり、背格好が似ている入居者さんもいます。
筆者の職場では、同姓同名の入居者さんがいて、毎回注意を促しています。
場合によっては、まぎらわしい入居者さんたちの食事の席を離し、誤薬のリスクを軽減しましょう。
「わからない」を解決できる環境をつくろう
外国人スタッフがスキルアップするには、わからないことがあったら気軽に声をかけられる環境をつくっておくことが重要です。
日本人スタッフもこまめにコミュニケーションをとり、外国人スタッフの不安に寄り添いましょう。
服薬介助は責任のかかる仕事です。
わからないことをそのままにさせず、一つひとつの手順をしっかり納得するまで教え、安全な介護業務を目指しましょう。
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執筆者
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俳句や文章を書く、現役介護福祉士。
サービス付き高齢者向け住宅で、訪問介護をしています。
入居者様ひとりひとりの人生に寄り添い、個性を失わせないような介護を目指して、日々邁進中です。
日々の実体験を踏まえ、現場に特化した目線で、皆様のお役に立てるような身近な介護情報をお届けしていきます!