介護施設で座ったままできる!すぐに実践したいオススメのレクリエーション5選
介護施設では利用者さんの身体機能にばらつきがあるものです。
そのため、「全員が参加できるレクリエーション」というとアイディアが思い浮かばないこともあるでしょう。
今回は、レクリエーションの考え方や、座ったままできる5つのプログラムをご紹介していきます。
介護施設でのレクリエーションを考えるときのポイント
介護施設では利用者さんとスタッフでレクリエーションを実施します。
レクリエーションを計画する際の基本事項について、改めて次のような観点で考えてみましょう。
- ●参加者の人数・配置
- ●必要な物品
- ●事前準備
- ●進行手順
- ●心身の機能に応じた段階づけ
- ●レクリエーションで期待できる効果
- ●安全面への配慮
特に最後の3つに関しては重点的に考えていきたいところです。
介護施設の利用者さんにはさまざまな状態の方がいるので、その方に合った活動を提供していくことが必要になります。
たとえば、腕の関節可動域に制限がある方であれば、棒やつえなどの道具を活用することで、参加しやすくなるでしょう。
また、レクリエーションでは「楽しみ」や「余暇」という点を意識する方が多いかもしれませんが、身体機能や認知機能にどのような効果をもたらすのかを考えながら計画することをおすすめします。
レクリエーションを安全に実施するために、あらかじめどんな点に注意しておけば良いか予想し、対策を考えておくことも大切です。
車いす・椅子に座ったままできるレクリエーション5選
介護施設では、歩行が可能な方もいれば、常に車いすを利用している方など、身体機能によって活動できる範囲は異なります。
そこで今回は、車いすや椅子に座ったままでも実践できるレクリエーションに着目し、いくつかご紹介していきます。
報告後、承認されれば助成金を受け取ることができます。
●手を使ってテーブルサッカー
◯人数:6〜10名程度 |
◯必要物品:ビーチボール、カラーテープ、タイマー、得点ボード |
◯期待できる効果:上肢の関節可動域訓練、注意機能訓練 |
◯おすすめポイント:片麻痺があっても片手で実施できる、易しいレクリエーション |
利用者さんにテーブルを囲んで座ってもらい、2つのチームに分け、卓上で手を使ったサッカーゲームを行います。
テーブルの中央には色つきのビニールテープなどで線をひき、コートを作ります。
制限時間を決めたらタイマーをセットし、開始の合図とともに手でやわらかいビーチボールを転がし合い、相手の陣地からボールを床に落とすことができたら得点が入ります。
ボールを押す運動で上肢の関節可動域、ボールに注意を持続的に向けることで注意機能訓練の一環にもなるでしょう。
上肢の関節可動域に制限がある利用者さんが参加する場合は、短い棒を持って取り組んでいただくと参加を促せます。
●動くカゴを狙え!みんなで玉入れ競争
◯人数:8名〜15名程度 |
◯必要物品:ひも付きのカゴ、お手玉、タイマー |
◯期待できる効果:目と手の協調運動、力のコントロール |
◯おすすめポイント:スタッフが難易度を調整しながら、全員の参加を促せる |
利用者さんには2列になって向かい合うように座ってもらいます。
椅子・車いすのどちらでも参加可能ですが、車いすの場合はフットレストから足がおりていることを確認しましょう。
開始の合図とともに、スタッフがひもを付けたカゴを引っ張ながら、列の間を移動していきます。
利用者さんはお手玉をカゴに向かって投げ入れますが、カゴが近くにきたタイミングで投げていくので、目と手の協調運動が求められます。
また、力が強すぎても弱すぎてもお手玉はカゴに入らないため、力加減のコントロールをする練習にもなります。
この活動には、スタッフがカゴを動かすので、利用者さんの状態に応じてカゴの位置を調整できるという利点があります。
●定番だけど盛り上がる!輪投げビンゴ
◯人数:8名〜15名程度 |
◯必要物品:輪投げセット、カラーテープ |
◯期待できる効果:上肢のエクササイズ、力のコントロール |
◯おすすめポイント:身体機能の高低にかかわらず、平等に楽しめる |
スタート地点にはビニールテープなどで印をつけておきます。
ペットボトルに砂を入れて重りにするのも良いですが、的にナンバーがついた輪投げセットも販売されているのでおすすめです。
縦・横・斜めに並んで輪が入ればビンゴというルールも面白いでしょう。
輪投げは「運」という要素もあるため、身体機能が高い人だけが圧勝してしまうといった事態になりにくい点がメリットです。
遠くに飛ばすことが難しい利用者さんには、的を少し近づけるなど、段階づけを行いましょう。
輪投げは定番のレクリエーションですが、輪を握るための握力、輪を投げるための筋力、力のコントロールなど、さまざまな機能を高める一助になります。
●座ったままでOK!風船バレー
◯人数:6名〜10名程度 |
◯必要物品:風船、得点ボード、スズランテープ |
◯期待できる効果:上肢のエクササイズ、目と手の協調運動 |
◯おすすめポイント:活動性が低い方でも参加してくれやすい |
まずは2つのコートを作り、チーム分けを行います。
コートはスズランテープなどで簡単に区切るのも良いですし、低めのついたてを利用するのも良いでしょう。
風船バレーでラリーを続けていき、相手チームのコートに落ちたら1点の得点になります。
風船は柔らかいため安全性が高く、活動性が低い方でも、自分のところに飛んでくると反射的に手を出してくれるという側面があります。
また、風船バレーには上肢を挙上する動きが入ってきますし、ターゲットに合わせて協調的に上肢を操作する必要もあるため、良いエクササイズになります。
上肢の関節可動域に制限がある場合は、周囲の人に当たらないスペースを確保して、バドミントンのラケットなどを使うこともおすすめです。
車いすの場合はフットレストから足をおろし、転落などがないように見守りましょう。
●足で引っ張るタオル綱引き
◯人数:6名〜10名程度 |
◯必要物品:長めのタオル、タイマー |
◯期待できる効果:足・足指のエクササイズ |
◯おすすめポイント:普段鍛えにくい足指の筋肉を使える |
事前準備として、両者が座る位置の中央と、タオルの中央には印をつけておきましょう。
2名ずつペアになって向かい合うように座り、床に置いたタオルを足で引っ張り合います。
制限時間を決め、終わりの合図の時点で、「タオルの中央がどちらの参加者に近いか」で勝敗を決めます。
タオルを足で引っ張る・たぐり寄せる運動は、足指を含めた足全体の筋肉を使うことになるので、良いエクササイズになると思います。
特に足指の筋力は、普段はなかなか発揮しにくいため、こうしたレクリエーションを通して鍛えることも良いでしょう。
また、利用者さんには裸足で取り組んでいただくので、足裏への感覚刺激になるというメリットもあります。
車いすや椅子からの転落に注意しながら、レクリエーションを進行させてみてください。
利用者さんに「役割」を担ってもらうことも意識したい
介護施設でのレクリエーションで、もう一つ意識したいポイントは、利用者さんに「役割を担っていただくこと」が挙げられます。
かつては仕事や家事、子育てなどを担っていた方が、病気や障害をきっかけにそれができなくなり、自身の「役割」を見失ってしまうことがあるのです。
役割の喪失による心理面・身体機能面への影響は決して少なくありません。
普段の生活のなかで、植物の水やりなどをお願いすることも有効ですが、レクリエーションは「ちょっとした役割」をお任せできる絶好の機会といえます。
たとえば、テーブルバレーなら得点係、タオル綱引きならタイムキーパーなど、レクリエーションを進行するために必要な役割をお願いするのも良いでしょう。
もちろん強制的にやっていただくことは避けたいですが、打診してみると快く引き受けてくれる方は多いです。
ぜひレクリエーションを活用して、利用者さんの心と体の活性化を図りましょう。
まとめ
レクリエーションのネタに困っている介護職員・リハビリスタッフは、今回ご紹介した活動を視野に入れて計画を立ててみてください。
また、活動を通してどんな効果を期待するのか、利用者さんにはどんな役割を担ってもらえるか、といった視点はとても大切になります。
その方の心身機能や生活にどんな影響を与えるのか意識することで、ワンランク上のレクリエーションを提供できるのではないでしょうか。