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利用者さんの食事摂取量が減ってしまった場合、まず期間を確認してから原因を他職種と検討しよう!

食事は入居者さんにとって楽しみの一つです。
だからこそ、食欲がないということは、入居者さんの状態を測る一つのバロメーターとなります。
つまり、もし食事の摂取量が減ったとしたら、それはなにかが起こっているサインともいえるのです。
そこで今回は、食事量からの観察点や注意すべき症状について、看護師が解説します。

1回の食事量よりも、まずは食べられない期間に注目!

普段残さず食事をとっている方が突然食事を残していたら、心配になってしまいます。
そのため、「看護師に相談したほうが良いか」「家族へは…」と考えてしまいがちです。
一言で食欲がなく、食事量が減ったといっても、その理由はさまざまです。
原因となりえるものを、以下にあげます。

体調によるもの 発熱、下痢、便秘、胃炎、腸炎、脱水など
活動量によるもの 運動不足、睡眠不足or過度の睡眠による生活リズムの乱れなどど
意欲低下によるもの ストレス、うつ状態など
好みによるもの 食事内容、介助者、場所、雰囲気等
認知障害によるもの 食事を食事として認識できていない等

今回挙げた例はあくまで一例であり、これ以外にも個別にさまざまな理由が重なって食欲がなくなってしまうことがあります。
よって、熱や気分の悪さなど、普段にくらべ体調の変化が見られない状態で食事量が減ったのであれば、まずは少し様子を見ながら原因を探ることをおすすめします。
逆に、すぐに受診をすすめたほうがよいのは「3食連続で食事量が大幅に減っている場合」です。
昼食が食べられなかった場合は、前日の夕食、当日の朝食の摂取量を確認し、いずれも通常よりも食事量が少ない際は医療機関の受診をすすめます。
このとき重要となるのが、「通常よりも」という点です。
同じ食事量1/2であっても、いつもはほぼ完食の方と普段から3/2ほどの摂取だった方では、大きな差が生まれます。
よって、その日の食事摂取量だけではなく、日ごろから利用者さんの食事量をチェックし、普段はどれくらい召し上がっているかを把握しておくことが大切です。
また、連続して食事がとれないときに注意したいのが脱水です。
この記事でも触れているように、お年寄りは水分を必要と感じる機能が低下しているため、食事がとれないことにより脱水症状を起こしやすくなります。
よって、食事がとれない場合でも無理のない範囲で水分摂取をすすめ、脱水予防に努めていただけたらと思います。
なお、食事だけでなく水分も取れない場合には、3食連続であるかどうかという期間に関係なく、すぐに看護師等へ報告し、医療機関受診を検討することをおすすめします。

原因追及はなるべく多くの人&職種と一緒に

体調によるものならば、すぐに看護師を通して体調回復のためにできることを検討する必要があります。
一方で体調面での食欲不振が考えにくい場合は、なぜ食欲が落ちてしまったかを追求する必要があります。
実際に看護師である筆者は、施設内で食欲が落ちてしまった利用者さんについて、急きょミニカンファレンスを開いたことがあります。
筆者は看護師という職業柄まず今までにかかったことのある病気を見ながら、新たな体調不良を疑っていました。
しかしここで、ベテラン介護職員の方が「この方はふりかけが大好きで必ずかけているのに、今日は朝から見かけません。もしかしたらそれが原因かも」という見解を示してきたのです。
私自身はふりかけが大好きだという情報までは把握しておらず、他職種との情報交換の重要性を思い知った出来事でした。
このように、ほかの職員の意見を聞くことで意外な理由が見つかることもあるのです。
よって、原因追及はなるべく多くの人&職種の方と一緒に行うことをおすすめします。

意外と忘れがちな「薬」と「口の中」

食欲が落ちる原因として、先ほど挙げた理由のほかに忘れてしまいがちなものがあります。
それが、「薬によるもの」と「口の中の異常によるもの」です。
薬によるものとは、睡眠導入剤や精神安定剤といった日中の活動量が落ちる恐れがあるもののほかに、痛み止めに含まれる成分からくる胃腸の不調なども、食欲不振の原因となります。
新しい処方が出ているかどうかは薬の管理を行っている看護師、あるいは薬剤師が把握しているため、食欲不振の際には一度薬の変更があったかどうかもチェックすることをおすすめします。
また、薬と同様に注意しなくてはいけないのが口の中です。
お年を召してくると入れ歯を使う方も多くなりますが、歯がなくなった歯茎は年月とともに少しずつ変形するため、入れ歯が合わなくなり、かみ合わせが悪くなることで食欲が低下することもあります。
よって、食欲が落ちている場合には口の中に新たな異常がないか、入れ歯が合っているかどうかをチェックすることも大切です。

まとめ

食事は人生における楽しみの一つです。
その楽しみを楽しみと思えないどころか、食べたくないという苦痛に変わってしまうことは、とてもつらいことだと推測されます。
食欲がなくなったと感じたとき、すぐに食事形態変更などを考えず、まずはなぜ食べられなくなってしまったのかを職員全体で考えてみてください。
私がカンファレンスで気づいたように、意外な理由が隠されているかもしれません。

参考:
和田忠志:介護職・介護家族に役立つやさしい医学知識:技術評論社:東京:2017:pp15
宮原伸二:ホームヘルパーと介護者のための医療サイン:創元社:東京:2012:pp47-49、pp127-129

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