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入居者さんのケア

液体石けんで手洗いすれば清潔になるとは限らない!?アルコールでの手指消毒や衛生的手洗いがなぜ奨励されているのか、その理由を解説します!

施設内感染を防ぐための心がけとして、職員による手洗いの徹底があります。
しかし、なかには「業務に押されて時間がとれない」などの理由から、十分な手洗いができていないケースがあります。
そこで今回は、手洗いが重要視される理由と、感染予防に有効な手洗いについてお伝えします。
ポイントはたったの2つだけです。
ぜひ参考にして、感染予防にお役立てください!

ポータブルな消毒液を

液体石けん=清潔とは限らない!

表面に雑菌が繁殖

筆者が看護師になりたてのころは、まだ医療現場においても固形石けんを使っているところが多くありました。
しかし現在では、医療機関だけではなく介護施設においても、手洗いの際に使われる石けんは、固形ではなく液体のものが使用されています。
なぜ固形石けんではなく液体石けんになったのでしょうか。
液体のほうが使いやすい、ということももちろんありますが、理由はそれだけではありません。
実は固形石けんと液体石けん、それぞれ表面に繁殖している雑菌数を比較したところ、固形石けんの方が圧倒的に多くの雑菌が繁殖していたのです。
その原因は、固形石けんは不特定多数の人間が直接触れるため、表面上で細菌が繁殖してしまうことでした。
こうして液体石けんが主流となったのですが、液体だから衛生的で安全だ、というわけではありません。
液体石けんにおいても、石けん液をボトルに継ぎ足すことで菌が繁殖してしまったケースや、ボトルの表面に菌が付着し手洗いした手指が再び汚染され、感染につながったケースも報告されています。
液体石けんをより衛生的に安全に使うには、極力石けん液の継ぎ足しは行わないこと、そしてボトルに直接触れることなく石けん液を出すことができる、センサー式のものを採用することが好ましいとされています。
しかし介護現場において、すぐにセンサー式のディスペンサー型へ変更するのはコスト面でも難しいのが現状です。
そこで心がけたいのが、

  • 〇ケースに石けんを入れ替えるタイプの場合は、ケースを複数用意し、使い終わったら次のケースに新たな石けんを入れることで、継ぎ足しを防ぐ
  • 〇ボトルを触って石けん液を出すタイプの場合、手を洗い終わった後はボトルに直接触らないように十分注意する

この2点となります。

アルコールでの手指消毒を導入しよう!

センサー式のディスペンサー型の液体石けんとともに、感染予防のためにぜひ検討したいのが、アルコールでの手指消毒の導入です。
医療機関で推奨されている手洗いは衛生的手洗いというものですが、これは以下のような順序で行うことになっています。

  1. 1) 流水によって手をしっかり洗う
  2. 2) 水分をよく拭きとる
  3. 3) アルコール洗浄を行う

この衛生的手洗いは医療機関以外に、介護施設でも推奨されている方法で、流水による手洗いだけでは落としきれなかった細菌も除去できることが、複数の研究から明らかになっています。

しかし、利用者さんのケアをする前後にその都度洗面台まで行き、衛生的手洗いを行うのは大変ですし、実用的ではありません。
そこで実施したいのが、アルコールで行う手指消毒です。
目に見えて汚れていないケアのあとや、逆にオムツ交換など利用者さんに直接触れるケアを行う際には、手袋などの防具を装着するまえにアルコールでの手指消毒を行うことで、感染予防効果をより高めることができます。
なお、アルコールでの手指消毒がすべての菌に対して有効というわけではありません。
目に見えて汚れている場合には、必ず衛生的手洗いを実施するようにしましょう。

アルコールの手指消毒を一人1個、持ち歩こう!

いくらアルコールでの手指消毒が良いといっても、手洗い場に設置しただけでは意味がありません。
そこで、場所を問わずいつでも消毒ができるように、持ち歩けるサイズのものを職員一人ひとりに配布することも有効です。
持ち歩くことによって、「手を清潔に保つ」という職員の意識も高くなり、自然と手指消毒が習慣化してくるという相乗効果も生まれます。
筆者が以前勤務していたところでは、消毒液が職員一人につき1本配布され、常に専用ケースに入れたアルコール消毒液をたすき掛けにして持ち歩きながら仕事を行いました。
その結果、自然と「1行為1手洗い」の習慣が身につくようになり、職員全体の清潔に対する意欲も向上していきました。
「1行為1手洗い」は、ポスターなどで啓発しても、多忙な現場ではなかなか浸透していきません。
純粋に手洗いに行く時間がないということもありますが、利用者さんの見守りがあるため、その場を離れられないといった、利用者さんの安全を守るために手洗いを励行できないことも数多くあるのです。
しかし、常にアルコールでの手指消毒を持ち歩くことができれば、こうした事情にも配慮することができ、結果として職員全体で「1行為1手洗い」を実行することが可能になるのです。

まとめ

手洗いは、感染予防を考えるうえで最も基本的で重要な対策です。
しかし、その基本を押さえていない方が多いこともまた事実です。
つい軽く済ませてしまいがちな手洗いですが、洗って、拭いて、消毒する過程をすべて行うことで、手に付着していた菌がほぼ検出不可能になるというデータもあります。
手洗いを行う際は、「手洗い」「ふき取り」「消毒」の3セットをきちんとこなすことを、ぜひ心がけてみてください。

参考:
森下幸子:超入門 在宅で生かせる感染対策「なぜ?いつやるの?」-手洗いのタイミングー:医療と介護Next:メディック社:2015年1巻2号:p54-55
サラヤ株式会社 出来ていますか?せいけつ手洗(2018年3月6日引用)
サラヤ株式会社 手洗いの科学(2018年3月6日引用)
サラヤ株式会社 手洗い剤(石けん)の細菌汚染について(2018年3月6日引用)

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