介護施設での新型コロナウイルス感染対策!利用できる補助金・貸付事業まとめ
新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
介護施設において適切な感染予防対策に取り組まれているなかで、売上が減少し事業経営の悪化によって雇用が守れなくなることが懸念されています。
ここでは基本的な感染対策や発生した場合の取り組みとして、事業経営のために活用できる補助金、福祉貸付事業などを紹介します。
目次
介護施設での新型コロナウイルス感染対策として補助金・福祉貸付事業を活用するために
- ●福祉医療機構『福祉貸付事業』
- ●福祉医療機構『医療貸付事業』
- ●厚生労働省『雇用調整助成金の特例措置』
- ●厚生労働省『小学校休業等対応助成金』
新型コロナウイルス感染の影響によって事業経営が悪化したような場合には、国が行っている4つの支援策を受けることができます。
多くの介護施設においては「感染症委員会」を中心にして新型コロナウイルスの感染対策に取り組まれていることでしょう。
その取り組みの中で、介護サービスの停止を余儀なくされたり、感染予防などの観点からサービス利用者が減少している事業者が増えています。
また政府や自治体からの自粛要請や小中学校の休校などによって、介護職員が休暇して対応しなければならないこともあるのではないでしょうか。
さらに収入が減少することによって、事業活動が縮小されることが余儀なくされ、どうしても雇用維持できないこともでてきます。
入所者に対する感染予防を徹底するためにも、うまく補助金・福祉貸付事業を活用し、事業継続させることが臨まれます。
福祉医療機構『福祉貸付事業』~経営資金の融資
融資条件 | |
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利率 | ・当初5年間は3,000万円まで無利子 ※3,000万円を超える部分については0.2% ・6年目以降は0.2% |
貸付の限度額 | 有担保貸付:なし 無担保貸付:6,000万円 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、機能停止になってしまうような場合などに対応するために、経営資金の融資を受けることができる制度です。
現在、すでに事業停止などとなり、事業継続に支障がある事業者に対して、事業の一部を改正して対応しています。
無担保で、介護施設の経営資金・長期にわたる運営資金の融資を受けることができ、6,000万円まで融資が可能となっています。
ただし担保がある場合には、貸付限度額の上限は設定されていません。
当初5年間は3,000万円まで無利子で融資が可能となっており(3,000万円を超える部分については0.2%)、6年目以降は0.2%となっています。
また新型コロナウイルス感染症の影響によるものであれば、追加で融資を受けることも可能で、返済が不安な場合においても償還猶予など相談することができます。
融資を受ける対象としては次の通りです。
- 1)介護施設の機能が一部、またはすべてにおいて停止している場合
- 2)介護施設のサービス利用者、収入が減少している場合
- 3)今後、介護施設のサービス利用者、収入の減少が見込まれる場合
あくまで経営資金が必要な場合であって、新たな施設整備など「建築資金」や「設置整備資金」としては活用できない部分には注意が必要です。
福祉医療機構『医療貸付事業』~医療法人等が長期運転資金として
融資条件 | |||
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病院 | 老人保健施設・介護医療院 | 診療所・訪問看護など | |
利率 | ・当初5年間は1億円まで無利子 ※1億円を超える部分については0.2% ・6年目以降は0.2% |
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貸付の限度額 | 有担保貸付:7.2億円 無担保貸付:3億円 |
有担保貸付:1億円 無担保貸付:1億円 |
有担保貸付:4,000万円 無担保貸付:4,000万円 |
『医療貸付事業』は、新型コロナウイルス感染症の影響による経営面の安定のために、医療法人等が長期運転資金として融資を受けることができる制度です。
融資を受けることができるのは「病院」「老人保健施設・介護医療院」「診療所・訪問看護など」となっており、それぞれに条件が異なります。
新型コロナウイルス感染症の影響によるものであれば、追加で融資を受けることも可能で、返済が不安な場合においても償還猶予など相談することができます。
厚生労働省『雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症特例措置』~事業活動の縮小で雇用が維持できない
雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症特例措置の内容 | |
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要件 | ・新型コロナウイルス感染症の経済的な影響を受ける事業所 |
対象 | ・被保険者・雇用被保険者でない労働者の休業も対象 ※特例措置として被保険者期間要件も撤廃されている |
助成率 | ・中小企業:10分の9 ・大企業:4分の3 |
届出 | ・2020年1月24日~6月30日 ※事後提出も可能 |
休業要件 | ・短時間休業の要件が緩和されており一斉休業である必要はない ・休業規模要件も中小企業:40分の1、大企業:30分の1となっている |
教育訓練 | ・中小企業:5分の4(解雇を行わない場合10分の9) ・大企業:3分の2(解雇を行わない場合4分の3) ※加算額:中小企業2,400円、大企業1,800円 |
新型コロナウイルス感染症の経済的な影響によって、事業活動が縮小され、雇用が維持できないような場合に活用することができる助成金です。
たとえば、雇用維持を図るために必要な休業手当などの費用や、売上が大幅に減少していることによって従業員を雇用し続けることが難しい場合の費用に活用することが可能です。
助成額は賃金相当額の中小企業であれば5分の4、大企業であれば3分の2までとなっています。
2020年6月30日までは解雇等をしていないなど条件を満たしているのであれば中小企業であれば10分の9、大企業であれば4分の3まで助成を受けることができます。
さらに教育訓練を実施した場合には加算額が引き上げられており、インターネットを活用した教育訓練も可能です。
しかも2020年1月24日以降のものにさかのぼって適用されますから、すでに該当している介護施設であれば活用するといいでしょう。
ただし2020年4月25日に政府より発表があり、雇用調整助成金の特例措置のさらなる拡大が行われる予定となっています。
そのため現時点で活用できない部分についても適用される可能性があります。
2020年4月末日現在においては、拡大される内容については発表されていませんが、5月上旬をめどに公表される予定となっています。
厚生労働省『小学校休業等対応助成金』~小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
小学校休業等対応助成金の内容 | |
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要件 | ・子どもの世話をするために保護者が有給休暇を取得する場合に取得できる |
対象 | ・新型コロナウイルス感染症の対応で臨時休校などをした小学校などに通う子ども ・新型コロナウイルス感染症の感染によって小学校を休む必要がある子ども |
助成内容 | ・有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額 |
対象期間 | ・2020年2月27日~6月30日 ※事後提出も可能 |
申請期間 | ・2020年9月30日まで |
休業要件 | ・土日・祝日:学校の休日以外の日なら可能 ・半日単位の休暇、時間単位の休暇も対象となる ・就業規則が整備されていない場合でも対象となる ・有給休暇や欠勤を事後的に特別休暇に振り替えることも可能 |
支給上限 | 8,330円 |
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために小学校等が臨時休校となって、その保護者が休暇を取らねばならないような場合に対応する助成金です。
正職員・アルバイト・パートといった非正規雇用に限らず、有給休暇を取得させた介護施設は助成金を受けることができます。
期間は2020年2月27日から6月30日までで、有給休暇の取得が対象となっており、賃金全額の支給を受けることが可能です。
申請期間は9月30日までとなっており、期間が過ぎた後はさかのぼって請求することができます。
「小学校等」の対象としては、小学校・義務教育学校・幼稚園などの各種学校・特別支援学校などとなっています。
新型コロナウイルスによる介護施設の事業継続のために
新型コロナウイルスが猛威を振るっているなかで、感染予防対策を講じることはとても重要です。
ただし感染を予防する取り組みの中で、売上が著しく減少し、事業経営が厳しくなることも予想できます。
そのため活用できる補助金、福祉貸付事業などによって、事業活動を守ることはとても大事なことになります。
入所者だけではなく、労働者の雇用を守るためにも、事業経営のためにうまく活用することが必要です。
参考:
福祉医療機構 福祉貸付における新型コロナウイルス感染症対応のための経営資金のお手続きのごあんない.(2020年4月28日引用)
福祉医療機構 新型コロナウイルスの感染により事業停止等となった事業者に対する福祉医療貸付事業の対応について(一部改正).(2020年4月28日引用)
厚生労働省 雇用調整助成金.(2020年4月28日引用)
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大について.(2020年4月28日引用)
厚生労働省 小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました.(2020年4月28日引用)