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定期巡回の売り上げは訪問回数次第?利用者の希望とどう折り合わせる?

2012年開始の『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』は介護保険による訪問介護の新サービスです。
このサービスは従来よりの「滞在型」とは異なる点がいくつかあります。
その特徴が事業所の運営を難しくしている点でもあります。
サービスと利用者さんのニーズ、そして経営をどうすり合せていくかを考えていきます。

複数回の訪問が事業所にもたらす影響

定期巡回型のサービスでは、利用者さんの必要に応じて1日の訪問回数を24時間、複数回設定することができます。
負担する利用料は、要介護度別に定額となっています。
そしてさらに、転倒、排泄介助など急に介護が必要となったときに、ヘルパー訪問を依頼できる「随時訪問」が基本メニューとして提供されます。
この随時訪問も利用料に含まれており、何回依頼したとしても料金は変わりません。
そのため、随時訪問を含め、訪問回数が多くなっても対応できるよう事業所側は体制を整える必要があります。
多い方では1日5回ほどの訪問回数になります。
朝、昼、夕、就寝前の時間帯は訪問をご希望される方が多く、スケジュールは混雑します。
訪問するヘルパーはこうした利用者さんごとに決められた定期の訪問のほかに、随時での訪問要請にも応じています。
そのため、定期での訪問スケジュールをヘルパーの勤務時間内、目いっぱいに組んでしまうと大変なことになってしまうのです。
時間的に余裕のない訪問スケジュールに随時訪問の時間が加わり、訪問予定全体が大混乱となってしまいます。
いくら定期巡回型には随時訪問がセットになっているとはいえ、定期の訪問時間に大幅な遅れが生じてしまうことは避けねばなりません。
それを防ぐためには、ヘルパーの訪問スケジュールには余裕を持たせる必要があります。
余裕を持ったスケジュールの中で決められた訪問件数をこなすためには、それに対応できるだけの人数のヘルパーが必要となります。
利用料は定額のため、その収入の範囲内で人件費をやりくりすることになるのです。
事業所側は介護計画を立てる際、利用者さんのニーズのほかに「赤字にならない」訪問回数も検討しなければなりません。
その検討内容とはどんなものでしょうか。

要介護度と訪問回数はイコールではないこと

利用者さんの利用料は要介護度別に定額になっています。
介護度が高くなるほど利用料も高く設定されています。
一般に要介護度が高くなるにつれて、介護の必要度は増していきます。
しかし、要介護度が低いからといって、訪問回数が少なくて済むわけではありません
要介護1や2の方であっても、認知症などのため頻回の訪問が必要なケースは少なくありません。
利用者さんやご家族は、複数回訪問してくれる、なにかあったときに随時訪問してくれるという定期巡回型ならではのサービスに魅力を感じて契約をしてくださっているのです。
日々の暮らしの中でそのメリットを感じることが少なければ、「なんのために契約しているのか」という不信感にもつながりかねません。
利用者さんと事業所の信頼関係が崩れてしまえば、どんなに良いケアプランも「絵に描いた餅」となってしまいます。
定期巡回型は随時訪問に対応するため1回の訪問時間が短く設定されています。
実際のサービス場面ではこの「滞在時間の短さ」に戸惑われる利用者さんも多くいらっしゃいます。
「1回の滞在時間は最大30分程度を目安」と契約時にお話しするようにしています。
しかし、契約時に事業所の話を聞いたときには今ひとつ想像がつかないという利用者さんも多いのです。
これが実際にサービスが始まったときに「すぐ帰ってしまう」という不満につながりやすくなります。
特に1回の訪問時間が長めの滞在型訪問介護からサービスを変更された方にとっては、その違いが大きく感じられてしまうようです。
事業所側としては「限られた時間内でもできるだけのことを」とケア内容にいろいろ工夫をするようにしていますが、利用者さんのニーズとのすり合せに時間を要することが多いのです。
定期巡回型でも滞在型でも「訪問1回分」としてのカウントは変わりませんので、契約時にはケアマネジャーを交えて丁寧に利用者さんやご家族に説明する必要があるのです。
そんな定期巡回型における「訪問回数」の設定はどの利用者さんの場合でも悩ましい問題です。

利用者さんのニーズにどこまで応えるか。事業所の苦悩

定期巡回型のヘルパーをしていると「あともう1回、訪問に入れば利用者さんは助かるだろうな」と感じる場面が少なくありません。
1日3回、朝・昼・夕の訪問の方の場合、夕の訪問から翌日朝までの時間がかなり開いてしまうことになります。
この時間に介助が必要な場合は、随時訪問でヘルパーを呼んでいただくことになります。
しかし、利用者さんによっては「同じ時間に訪問してくれる」ということに安心感を持ってくださる方も少なくありません。
夜中にヘルパーを呼び出すことに遠慮して、随時訪問の要請を我慢してしまう方もいらっしゃいます。
そんなときは「夜中に定期訪問を1回でも実施したら良いのでは」と感じてしまいます。
しかし、ヘルパーの人員は限られています。
特に夜間帯は1~2人のスタッフで対応せざるを得ません。
限られたヘルパーの人数ではすべての方に「あと1回」訪問することは困難です。
そのため、利用者さんの健康や疾患の状態、家族の疲労度、随時訪問の頻度などを考慮して回数を個別に設定していました。
定期巡回型では訪問の回数を必要に応じてケアマネジャーや看護師などと相談して変更することができます。
健康状態が悪化している、ご家族が体調を崩しているときなどは訪問回数を増やし、こうした状態が改善されれば元に戻すなどの対応を行います。
もし回数を増やしたままの状態の方が良いと判断されれば、そのままの訪問回数が継続されます。
そのため経営を度外視して訪問回数を増やすこともままあります。
それが続くと経営が圧迫されてしまうため、管理者は全体のバランスを考える必要があるのです。

まとめ

定期巡回は訪問回数や、時間の設定が比較的柔軟に行えます。
「小回りがきく」定期巡回型のケアプランへの組み込みも増えてきました。
たとえば体調が不安定な方には、ケアマネジャーから「随時訪問で1回追加訪問を」と言いやすいからです。
利用者さん側にも細やかに対応してもらえるメリットがあります。
使いやすい良いサービスだからこそ、継続的に提供できるよう事業所側も「適切な」使い方を常に意識する必要があるといえるでしょう。

参照:
ワムネット (独立行政法人福祉医療機構)(2018年2月14日引用)

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