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練習用腰掛は立ち上がりやADL練習が可能!高さの違う台を積極活用しよう

高さの違う4種類の台がセットになった練習用腰掛は立ち上がり練習用のリハビリ器具です。
施設に1つあれば立ち上がり練習以外にADL練習や評価などにも使用できます。
練習用腰掛の特徴やメリット、介護現場での具体的な活用方法を紹介します。

練習用腰掛ってどんな器具?特徴やメリット、注意点を紹介

練習用腰掛を一言でいうと「4つの高さの違う台が1セットとなったリハビリ器具」です。
まずは、練習用腰掛の特徴やメリット、使用する上での注意点を紹介します。

●練習用腰掛の特徴やメリット

練習用腰掛の特徴とメリットを以下の表にまとめます。

特徴 メリット
高さが10cm、20cm、30cm、40cmの4段階ある 利用者さんの状態や練習する目的に合わせて多様な使い方が可能
幅は50cm以上(高い台ほど幅広)、奥行きは約40cm 座っても、立っても安定する十分な広さがある
1つずつ幅が異なるため、1番大きな台の下にほかの台をすべて収納可能 狭い場所でも保管しやすい

●使用上の注意点

練習用腰掛で勢いよく運動すると、練習用腰掛が動いてしまう場合があります。
そのため、下に100円均一などにある滑り止めを敷くようにすると安全です。
また、座る際にお尻が痛いという利用者さんもいますので、タオルやクッションを敷いて衝撃を緩和させましょう。

高さの違う台は立ち上がりやADLの練習に使える

高さの違うメリットを生かして、リハビリで多様な使い方ができます。
実際に筆者が実践している使用例を交えて、練習用腰掛を使ったリハビリを紹介します。

●基本の立ち上がり練習

練習用腰掛の基本的な使い方は、台に座って行う立ち上がり練習です。
「普通の椅子ですればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、練習用腰掛で行うメリットがありますので紹介します。

1)利用者さんの状態に合わせて簡単に負荷を調整できる

普通の椅子の高さでの立ち上がり練習に物足りなくなれば、台の高さを低くすることで、運動の負荷を強くすることができます。
椅子の高さはだいたい40cmですが、練習用腰掛では10cmきざみで高さを調整できるため、簡単に負荷の調整ができます。

2)生活環境に合わせた立ち上がり練習が可能

生活環境によって立ち上がりに必要な高さが異なります。
筆者が担当する利用者さんでは、「お気に入りの座椅子は20cm」「入浴用の椅子は30cmくらい」「畑での作業で低い台を使う」などといった方がいます。
そのため、一人ひとりの生活ニーズに合った高さの台を使用して、立ち上がり練習を実施しています。

3)座面が広く安心、安定して練習ができる

奥行きや幅が広いため、手で座面をしっかり支えることができ、安定して座ることができます。
座位が不安定でも、壁に近づけて配置すれば、壁を背もたれの代わりとして使用できます。

●階段や段差の練習ができる

立ち上がり練習のほかにも階段や段差の上り下りをする練習ができます。
そこで、筆者も実際に行っている具体的な練習方法を紹介します。

1)階段を上り下りする練習

練習用腰掛をずらして設置することで、簡易的な階段を作ることができます。
最も高い台の上は広いため、方向転換をしっかりできるスペースもあります。
平行棒や肋木、廊下の手すりなどの隣に設置すれば、階段に手すりが必要な利用者さんでも、階段昇降の練習に活用できます。
階段の練習をする専用のリハビリ器具は、練習用腰掛よりも高額ですので、コスト面でもメリットがあります。

2)段差を上り下りする練習

自宅や屋外の環境などを考慮した段差昇降の練習を行うことができます。
筆者は利用者さんが生活の中で、実際に上り下りすることがある段差の高さを見聞きして、一人ひとりに合った段差の高さを設定して練習しています。
そうすることで、みんな同じ高さの段差で練習するよりも、より生活に即した実践的なリハビリを行うことができます。

運動だけじゃない!練習用腰掛を使って評価ができる

練習用腰掛を使って、下肢の筋力を簡単に測定する方法があります。
評価を定期的に行うことで運動の効果を判定することもできますので、ぜひ活用しましょう。

●高さの違う台から立つことで下肢筋力を評価できる

より低い台から立つことができるということは、それだけ下肢の筋力が強いという目安になります。
そのため、筋力測定機器などの高価な器具を使用しなくても、利用者さんの筋力を評価し、リハビリの効果を判定することができます。

●移動能力を評価できる

高さの違う台から、両脚または片脚で立つことで、移動能力を評価することができます。
以下に基準となる台の高さや立ち上がり方法の目安を紹介します。

1)20cmの高さから両脚で立つことができない場合

移動能力が低下しており、自力での移動が困難になるリスクが高い状態です。

2)40cmの高さから片脚で立てない場合

移動能力の低下が始まっている目安になります。
筋力やバランスといった、移動に関わる機能の低下が始まっている可能性があるので、早めに運動を行う必要があります。

練習用腰掛を使って施設で行うリハビリの質を向上させよう

練習用腰掛を使えば、立つ歩くなどのADL動作だけではなく、畑作業や外出などといったIADLの動作に必要な、低い台からの立ち上がりや段差、階段の練習も行えます。
また、利用者さんや家族へリハビリの効果を伝えるためにも有効活用できます。
ぜひ、利用者さん一人ひとりの生活に必要なリハビリを実施して、施設で行うリハビリの質を向上させましょう。

関連記事:
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参考:
村永信吾:立ち上がり動作を用いた下肢筋力評価とその臨床応用.昭和医会誌61(3):362-367,2001.

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