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医療従事者向け 介護プラス

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年01月29日
  • 機器・施設の課題

単調なリハビリから脱却!楽しく訓練・エクササイズできるヒントや機器をご紹介

リハビリを提供する理学療法士や作業療法士は、関節可動域訓練やADL訓練など、その方の生活に必要なアプローチをしていきます。
しかし、リハビリに対してマイナスのイメージを持たれてしまうと、拒否につながる場合もあります。
今回は、利用者さんがリハビリに対して前向きに取り組めるよう、「楽しみ」の要素を重視したアプローチをご紹介します。

患者さんとセラピストの目標共通

リハビリが楽しい・価値があると感じてもらうための目標設定

利用者さんをリハビリにお誘いするときには、スムーズに来てくれる方と、そうでない方がいます。
何度声かけをしても、必要性を説いても、「行きたくない」と重い腰が上がらない利用者さんもいるものです。
なぜそのような気持ちになるのか、理由は人それぞれです。

  • ⚫︎何のためにリハビリをするのかわからない
  • ⚫︎リハビリはつらいものだから、やりたくない
  • ⚫︎単純な運動や動作の練習ばかり繰り返していて、楽しくない
  • ⚫︎なにをするにもおっくうで、意欲がわかない

このように、利用者さんがリハビリに対してマイナスのイメージを持つと、リハビリの拒否につながってしまいます
利用者さんご自身がなにを目標にすれば良いのか、何のためにリハビリを行うのかがイメージできていない場合もあります。
人は誰しも、なにか行動を起こすためには、動機付けを必要とします
ご本人とセラピストで目標を見いだし、合意形成を図るために、生活行為向上マネジメントを活用することも方法です。
利用者さんが「楽しい」「価値がある」と感じられるリハビリを提供するために、こちらの記事(「生活行為向上マネジメント」の使い方とは?現役作業療法士が実践方法を伝授!)も参考にしてみてください。

リハビリに楽しみをプラス!おすすめのアイテム5つ

「つまらない」「楽しくない」という気持ちで渋々リハビリをこなすのではなく、「楽しい」と感じながら、生き生きと体と脳を働かせてもらいたいものです。
心身の機能を向上させるためには、どうしても地味で繰り返しの多い訓練が必要になることもあります。
単調なプログラムだけでは飽きてしまうため、息抜きも兼ねて、楽しみを重視した活動をプラスしてみてはいかがでしょうか?

●ペグボードよりもゲーム性がある「丸とクロスのはめこみ盤」

ペグボードよりもゲーム性がある「丸とクロスのはめこみ盤」

上肢や手指の機能訓練のために使われる定番のアイテムに「ペグボード」があります。
ペグボードを用いたリハビリは単調になってしまいがちですが、絵柄に沿って並べるなど、工夫をプラスすれば楽しさが増します。
しかし、「丸とクロスのはめこみ盤」では、黄色の丸、赤色のクロスの2種類の型を使用することで、さらにゲーム性が強い活動にできます。
この2つの型を使い分けることで、五目並べやオセロのルールを導入できるため、ゲーム感覚で実施可能です。
リハビリで指先の巧緻性や視知覚に対してアプローチしたいときは、ぜひ活用してみてください。

●球が落ちにくい卓球台「おちづさん」

球が落ちにくい卓球台「おちづさん」

「おちづさん」は、落球防止ネットがついた卓球台であり、卓球の球が落ちにくい環境を設定することができます。
卓球台の寸法は1200×600mm、高さは350〜650mmであり、一般的な卓球台と比較するとコンパクトな設計になっています。
椅子に座ったままでも使用可能であり、卓球を本格的にやったことがない高齢者でも気軽に楽しめます
また、ネットを取り外したり、立位で使ったりすることで、利用者さんのレベルに合わせたリハビリを提供できます。
そして、リハビリの時間以外でも、利用者さん同士、あるいは、利用者さんと職員が楽しみながら使えることがメリットです。

●ロボット工学+遊びで楽しみながら使える「モトタイル」

ロボット工学+遊びで楽しみながら使える「モトタイル」

モトタイルはデンマークで開発された製品で、ロボット工学と遊びの要素を取り入れたトレーニング機器です。
10枚のタイルにはLEDライトが組み込まれており、それをタブレット端末で操作します。
タブレット端末にはさまざまなプログラムが組み込まれており、1台でバランス機能や敏しょう性などにアプローチできます。
タイルのLEDライトが点灯したら、タイルを踏んで光を消す、音を鳴らすなど、バリエーションは豊富であり、楽しめる要素が詰まっています。
タイルは必ずしも並べて設置する必要はなく、距離を離して置くと、運動量を増やすことにつながります。
単調な身体運動ではなく、認知的な側面にも負荷がかかることから、デュアルタスク(二重課題)としての側面も持ち合わせた機器です。

⚫︎もぐらたたきで上肢機能を訓練する「車椅子ボードトレーナー」

もぐらたたきで上肢機能を訓練する「車椅子ボードトレーナー」

ボードのランプが点灯したら、そこへ上肢をリーチさせ、もぐらたたきのルールに沿って得点を獲得していく機器です。
単調な上肢機能訓練から脱却し、楽しさをプラスできます。
ボードの傾斜は0〜75°の範囲で調整でき、ランプが点灯する周期も1〜10秒の間で設定できるため、利用者さんの機能に合わせて使用可能です。
車椅子を利用されている方の上肢機能訓練に重宝しますし、どのランプが光るか持続的に注意を向ける過程で、注意機能のトレーニングにもつながります。

⚫︎個別訓練・レクリエーションで楽しめる「ターゲットゲーム」

個別訓練・レクリエーションで楽しめる「ターゲットゲーム」

個別のリハビリはもちろん、集団で行うレクリエーションでも重宝する的当てです。
ターゲットには数字が書かれているため、当たった数字を足し算してもらうと、認知機能に働きかけることもできます。
また、当たった的が縦・横・斜めにそろうと「ビンゴ」というルールにして、ボーナスポイントを与えるなどの工夫をすると、より楽しめる要素を盛り込めます。
個別で行うときはセラピストと対戦という形でも楽しめますし、レクリエーションで行うときは優勝者に賞状などを発行しても良いでしょう。

利用者さんのやる気・意欲を引き出す働きかけも大切!

リハビリに対して前向きな気持ちになってもらうためには、明確な目標を共有したり、楽しく使える器具・機器を導入したり、できることはたくさんあります。
単調な関節可動域訓練や筋力トレーニングは地味であり、「楽しい」とは言い難いものですが、遊びの要素を含んだプログラムなら雰囲気はがらりと変わります。
ただ、目標を共有し、活動の内容を見直しても、セラピストの関わり方に課題があれば、楽しさも半減してしまいます
リハビリが楽しいと感じてもらうためには、セラピスト自身の関わり方を見直すことも大切です。

  • ⚫︎利用者さんが失敗しないよう、段階的な練習をする
  • ⚫︎できないことに焦点を当てるのではなく、できたことをほめる
  • ⚫︎相手の理解力に合わせて、文字・目印・鏡などを活用して指示する

このような手法を駆使して、リハビリに対して利用者さんが前向きな気持ちになれるように支援していきましょう。
なお、これらのテクニックについては、こちらの記事(リハビリのやる気を引き出すために PT・OT が気をつけたいポイント)で詳しく解説しています。

目標・プログラム・声かけを見直して楽しいリハビリを

リハビリを楽しいと思ってもらうために、まずは利用者さんが何らかの目的意識を持つことが大切です。
そして、単調なプログラムだけでなく、楽しみの要素が強い活動を取り入れてみましょう。
セラピストの指示や声かけのあり方も工夫して、利用者さんが進んで取り組みたくなるようなリハビリを提供していきましょう。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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