既存の浴槽を利用したスライドリフター。受けられる介護福祉機器の助成金
介護度が高い利用者の入浴介助は介助者の体に重い負担がかかります。
入浴リフト「スライドリフター」は、現在使っている浴槽の横に取り付けるだけで浴槽の外から中への移動を自動で行います。
条件にある介護福祉機器を導入した場合や職場定着目標を達成した場合は、職場定着支援助成金の対象になり助成を受けられます。
目次
既存の浴槽を利用したスライドリフターのメリット
座位が不安定な利用者の入浴は介助者の身体的負担が大きいですが、スライドリフターは身体的負担を軽減するだけでなく、事故リスクも減らします。
介助される側も介助する側も楽なスライドリフターは5つのメリットを備えています。
1)自動で浴槽へスライド
入浴と退浴ボタンを押すだけでスライド。
右へのスライドと左へのスライドの2種類あり、設計された浴槽のレイアウトによってどちらでも対応可能。
2)安心と安全設計
足と腰に装着するベルトで利用者の安定を図るだけでなく、背部にはスポンジマット(脱着可)、頭部には枕が装着されているので安心感を抱ける。
スポンジマットは取り外して洗えるので清潔を保てる。
3)ハーフリクライニング
背もたれが60度と78度にリクライニングできるので、浅い浴槽でも対応可能。
適度なリクライニングがあることで、座位が不安定な方でも安定した座位を保てる。
4)洗髪、洗身も簡単
搬送車に乗ったまま洗髪、洗身ができるので、乗り換える手間がいらない。
座ったまま陰部が洗えるシート設計。
コンパクトな設計のため、リフトを使用しないときは浴槽を一般浴として利用できる。
5)操作が簡単
リモコンは、入浴、停止、退浴の3つのボタンのみで誰でも簡単に操作できる。
ゆっくりとスタートして移動するので利用者が安心できる。
スライドリフターを用いた入浴方法や注意点
スライドリフターを使うと、座位が安定していない利用者でも安定して入浴できます。
ここでは、入浴の順序や入浴する際の注意点について説明します。
●スライドリフターを用いた入浴方法
スライドリフターは、搬送車の可動部分と椅子部分が分離します。
移動するときは搬送車で、入浴するときは椅子部分のみを利用します。
1)入浴準備
バスタオル、タオル(顔や頭を拭くタオルと体を洗うタオル)、衣類、おむつや紙パンツ、パット等の準備。
利用者のバイタルを測り、体調に異常がなければ脱衣室で脱衣介助する。
2)浴室で洗髪、洗身(体を洗うこと)
搬送車に移乗し、浴室に移動する。
搬送車に座ったまま、洗髪、洗顔し、タオルで拭く。
背中、手、足等を洗い、シャワーで流す(基本は末梢から体幹に向かって洗う)。
3)スライドリフターで入浴
湯の温度をチェックする。
利用者の腰と足のベルトを締めて搬送車をスライドリフターの本体に付けてロックする。
入浴ボタンを押すと、ゆっくりとリフトが上がり、利用者が座ったシート部分のみが自動で浴槽へスライドする。
湯船の中へ自動で下がるので、利用者の胸までつかったら停止ボタンを押す。
しばらく入浴する。
4)退浴する
退浴ボタンを押すと、自動で浴槽からシート部分が上がり横へスライドして浴槽の外へ出ると自動で下がる。
可動部分の上にシート部分をとめて本体から搬送車を外す。
上がり湯を利用者にかける。
5)更衣介助
体を拭いて車椅子に乗り換える。
脱衣室で更衣する。
髪にドライヤーをかける。
施設では多くの利用者が入浴するので、シャワー椅子でも安定して座位がとれる利用者は、ほかの利用者がスライドリフターを利用している間にシャワー椅子で洗髪と洗身をして、入浴のみをスライドリフターを使用すると、利用者を待たせる時間を減らせます。
●スライドリフターでの入浴時の注意点
スライドリフターを利用するときは、いくつか注意する点があります。
1)ベルトを体に合わせて調節する
入浴するときにベルトがゆるいと、利用者が湯の中で浮き上がり、体がずれて顔が沈み、湯につかってしまう可能性がある。
必ず、利用者の体形に合わせて体が安定するようにベルトを調整する。
2)湯の温度を確認
利用者が湯船に入る前に湯の温度を確認する。
ぬるめのお湯が好きな方には、入浴と停止ボタンを使いながら少しずつ下げる。
3)肘はアームの中に入れる
リフトが上下するときに、肘がアームより外に出ていると浴槽ですってしまい、けがをする可能性があるため、浴槽が狭い場合は移動時に持っているアームから肘がでないように気を付ける必要がある。
介護福祉機器助成コースの利用対象になる入浴リフト
入浴リフトは、職場定着支援助成金の介護福祉機器助成コースの助成対象です。
介護福祉機器助成コースでは、介護事業主が介護福祉機器を導入することで介護職員の労働環境が改善された場合や離職率が下がった場合に助成されます。
計画期間は3カ月以上3年以内で導入開始日が計画開始日(新規事業所は計画開始日から3カ月以上の期間を設ける)です。
詳しくは、下記の厚生労働省「職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース・介護福祉機器助成コース・保育労働者雇用管理制度助成コース・介護労働者雇用管理制度助成コース)のご案内」のサイトをご覧ください。
●助成金額
介護福祉機器の導入で労働環境の改善が見られた場合は、上限150万円まで介護福祉機器導入費用の25%が助成されます。
介護福祉機器の運用で介護職員の離職率が低下した場合は介護福祉機器導入費用の20%が助成されます。さらに、生産性要件を満たした場合は介護福祉機器導入費用の35%で、上限150万円まで助成されます。
●助成申請の手順
1)導入、運用計画書を作成し労働局へ提出
介護機器を導入する月の初日から3カ月以上1年以内の計画を作成して、事業所所在地管轄の都道府県労働局(ハローワーク)へ提出する。
2)入浴リフトの導入、運用
機器導入・運用に関しては、介護福祉機器を導入して計画に基づいて運用し、介護職員の負担を軽減することで労働環境を改善する(80%以上の回収率があったアンケートに基づく導入効果の把握によって70%以上の改善率が必要)。
3)機器導入助成の支給申請
機器導入による支給申請を、事業所の所在地にある労働局へ計画期間が終了してから2カ月以内に行う。
4)離職率低下の目標を達成
2)の機器導入助成を達成して、離職率を30%以下、かつ離職率を目標値以上に低下するという目標を達成する(支給申請までに解雇などの離職者がいる場合は、評価離職率算定期間の初日の被保険者数の6%を越えないこと)。
5)目標達成助成の支給申請
計画期間が終了して12カ月の算定期間後、2カ月以内に事業所の所在地にある労働局へ目標達成の助成申請を行う。
6)助成金が支給される
機器導入、目標達成の両方を達成した場合は、最大300万円まで支給される。
●助成対象となる入浴に関係する介護福祉機器(介護負担が軽減され1品10万円以上のもの)
- 1)移動・昇降用リフト
- 2)特殊浴槽(リフトと共に稼働するもの、側面が開閉するもの)
- 3)ストレッチャー(入浴用に使用する以外は昇降機能がついているもの)
●助成金の事業主
雇用保険を適用している介護事業主が対象です(福祉用具貸与、特定福祉用具販売、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具貸与、救護施設の介護サービスなどは除く)。
ただし、機器の譲渡、転用、売却、解約などの場合や機器が使用不可になった場合、事業主以外の名義、要介護者が購入・賃借した機器などは対象になりません。
雇用管理責任者を専任していることが条件です。
浴槽に自動で入浴できるスライドリフターを導入して職場環境を改善
OGウエルネスの入浴機器「スライドリフター」は、既存の浴槽の横に設置するだけで自動で浴槽に移動するので入浴介助がとても楽になります。
介護される側も安定した体勢で入浴できるため、安心できるでしょう。
入浴リフト「スライドリフター」は助成対象なので導入しやすく、また介護従事者の身体的負担も軽減できます。
ぜひ一度導入することを検討してみてください。
参考:
OGウエルネス スライドリフター RA-590-S1/S2(2019年12月3日引用)
厚生労働省 職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース・介護福祉機器助成コース・保育労働者雇用管理制度助成コース・介護労働者雇用管理制度助成コース)のご案内.(2019年5月22日引用)
ホームページケア 介護施設のための補助金・助成金(介護福祉機器助成コース).(2019年5月22日引用)