アメリカでの老人ホームの選び方!高評価を得るための要素と日本との違い
日本は少子高齢化社会で高齢者は増加し、終の住みかとして老人ホームなどを選択する方も増えてきています。
今回はアメリカの有力紙が提唱している老人ホームを選ぶ際の指標となる評価がどのようにされているか、日本との違いや共通点などについてお話ししていくことにしましょう。
ちなみに、アメリカでは老人ホームをナーシングホームと呼びます。
目次
アメリカの老人ホームは大きく分けて2タイプ!オンラインでも探せる
まず初めに、アメリカと日本の老人ホームの違いについてお話しすることにしましょう。
●アメリカ老人ホームの入居条件タイプは短期と長期の2タイプ
日本の老人ホームは長期入居者がほとんどの終身タイプですが、アメリカではもう一つ別の入居条件タイプがあります。
アメリカの老人ホームには、日本の介護保険施設のように回復期のリハビリを目的とした短期入所の施設があります。
老人ホームの入居タイプはショートタームと呼ばれる短期滞在型と、ロングタームの長期滞在型の2つのタイプが存在します。
●アメリカの老人ホーム探しはオンラインでも!全米ランキングが指標に
アメリカの老人ホームは大きなビジネスであり、病院や医師のランキングを毎年公表している雑誌などで、老人ホームもランキングがつけられます。
ほかにもメディケアと呼ばれる政府の公的保険のウェブサイトで、自分や入居する方の近くにある老人ホームを州名や郵便番号で検索することができます。
有力紙やほかのランキングも同時に反映しているので、多くの人が利用しています。
質の良さや価格、評価などを参考にして選ばれることが多く、ランキング上位の老人ホームはコストも高いため、入居も簡単ではありません。
アメリカの老人ホームの評価は5段階
では老人ホームは一体どのように評価されるのでしょうか。
その評価方法についてお話ししましょう。
●アメリカの老人ホームは3つの要素により5段階に格付けされる
アメリカの老人ホームは連邦政府が指定した検査内容を12~15カ月に一度、各州が国に代わって検査することが義務付けられています。
検査内容には、健康検査・看護師の配置・医療の質の3つの要素からなっており、州が取り決めています。
健康検査 | 看護師の配置数 | 医療の質 |
---|---|---|
・食事の用意 ・感染予防 ・投薬の管理 ・入居者の権利 ・生活の質 ・スキンケアなど |
・各入居者の1日あたりの看護師によるケア時間。 例)5つ星の老人ホーム: 看護師によるケア→0.884時間/日 看護スタッフによるケア→4.238時間/日 |
連邦機関が定めたMinimum Data Set と呼ばれる臨床データの提出を義務付けている。 例)個人情報、身体機能、言語聴覚、視覚、嚥下機能、健康状態など |
これらの内容は、高いクオリティ(5)、平均より優れている(4)、平均(3)、平均より悪い(2)、悪い(1)、の5段階で評価されます。
ほかにもインフルエンザの予防接種率なども評価の対象となります。
●近年はリハビリテーションも老人ホームの評価の対象に加えている
2016年春以前には、連邦機関の調査内容にはリハビリテーションを受ける時間などは含まれていませんでした。
しかしその後、老人ホームの入居者がリハビリテーションを受ける時間がどのくらいかも加味され、現在ではこの有力紙の格付けにも反映されています。
日本とアメリカの老人ホームの選び方は異なる
アメリカの有力紙が行うランキングは、どのように情報を収集し、どのように評価しているのでしょうか。
また日本の老人ホームはどのように選べば良いのでしょうか。
●連邦機関などに報告される情報をもとに格付けされるアメリカ
アメリカでは、老人ホームの基準を設定する国の機関があります。
その機関が持つ評価プログラムで統計結果を分析し、格付けされています。
この連邦機関の情報などにより、アメリカの有力紙は5段階に老人ホームを分け、短期入所の際のリハビリテーションやケアなどの評価も加え、格付けをして利用者やその家族などにもアクセスしやすいよう、紙面やホームページで公開しています。
●日本はそもそも老人ホームを格付けしない
日本の老人ホームは公的機関である特別養護老人ホームや民間企業が経営している施設などさまざまな形態がありますが、国が運営する格付けランキングなどは目にしません。
介護支援員などの関係者の話を聞いたり、実際に目で見て決めるという意見が多いようです。
また日本の老人ホームは長期入所希望者が多いので、飽和状態になっています。
「入居可能」なことが一番の条件となることも多いようです。
サービスやケアなどが価格に比例していることは日米共通であり、良いケアを受けるためには老人ホームの入居費は高くなる傾向にあります。
アメリカの老人ホームは医療の質など公的機関からの情報も選ぶときの決め手となる
アメリカにおいては公的機関から公開された各老人ホームの情報をもとに、オンラインでも選ぶことができ、遠く離れた場所からでもホームのケアや質について推測が可能です。
老人ホームはそのサービスの質などにより価格に差が生じており、コストがサービスに大いに関係しているのは日米同じです。
大切な家族が生活する場所である老人ホーム選びは、さまざまな情報を踏まえて選ぶことが大切であるといえるでしょう。
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執筆者
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1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士