介護施設に筋力トレーニングマシンを導入しよう!施設の特性に合わせたおすすめの商品を解説
介護施設における機能訓練を実施する場合、筋力トレーニングマシンの導入を検討する場合は少なくありません。
しかし、マシンの種類が豊富で、どの器具を採用すれば良いか迷う場合も多いのではないでしょうか。
オージーウエルネスでは、負荷のかけ方が異なる、3種類のマシンを取り扱っています。
そこで、それぞれのマシンの特徴を紹介しながら施設の特性に合わせた選び方のポイントを紹介します。
目次
油圧式の「Fun Fit(ファンフィット)」は高齢者でも安全に運動が可能
「Fun Fit(ファンフィット)」の特徴は「油圧式」であることです。
油圧式であることのメリットと、どのような施設で活用できるかを解説します。
●動かす速さで負荷が変化するため力の弱い高齢者も使用可能
油圧式で抵抗をかけるタイプのマシンは、動かす速さによって、抵抗が変化します。
そのため、力が弱い高齢者がゆっくり力を加えると、それに合わせて無理のない負荷で運動ができます。
また、動作時のみ負荷がかかり、動作を止めると負荷はなくなるため、安全にトレーニングができます。
そのため、比較的虚弱な利用者さんの多い施設でも、マシントレーニングの導入をしやすいです。
●負荷の細かい設定がないため専門スタッフがいなくても簡単に使用可能
負荷の設定が利用者さんの動かし方で決まるため、運動前に細かく負荷の設定をすることが不要です。
そのため、通所介護などで理学療法士のようなリハビリスタッフが不在の施設でも、使いやすいです。
●1台で主動作筋と拮抗筋の2つを鍛えられる
油圧式のマシンは2方向の動作で負荷をかけられます。
たとえば、膝を伸ばす運動をする「レッグエクステンション」の器具を使用する場合、膝を伸ばすときに働く筋肉(主動作筋)である「大腿四頭筋」が鍛えられます。
しかし、油圧式では、伸ばした膝を曲げるときにも抵抗がかかるので、大腿四頭筋と反対の働きをする筋肉(拮抗筋)である、「ハムストリングス」も鍛えることができます。
以上のように、油圧式のマシンは1台で2種類のトレーニングができるため、省スペースが可能となり、小規模の施設でも導入しやすいです。
●重錘や電源が不要で省スペースを実現
重錘や電源の確保に必要なスペースがいらないため、器具がコンパクトな設計になっています。
レッグプレスのマシンを例に、ほかの器具との外形寸法の比較を以下に紹介します。
種類 | Fun Fit(油圧式) | Prefit(重錘式) | Touch Fit duo(電動式) |
---|---|---|---|
外形寸法 | 約650×1475 | 約1000×1785 | 約720×1770 |
重錘を使用するPrefitは器具自体が大型で、電源を必要とするTouch Fit duoは電源の確保やタッチパネルの配置にスペースが必要です。
そのため、ほかの器具にくらべFun Fitは小規模の施設でも活用しやすいメリットがあります。
「Prefit(プレフィット)」は幅広い負荷設定や姿勢の調整が可能
「Prefit(プレフィット)」は「重錘による負荷」と「細かいポジショニング設定」が特徴です。
これらの特徴を生かした活用方法を解説します。
●低負荷から高負荷まで幅広い設定が可能
重錘で負荷をかけるため、幅広い負荷を設定できます。
以下に、ほかのレッグプレスマシンと負荷量を比較してみます。
器具の種類 | Fun Fit | Prefit | Touch Fit duo |
---|---|---|---|
負荷量 | 油圧式のため動かす速さで負荷が増減 | 初期負荷5kg~ 最大負荷150kg |
3~80×9.8N (9.8Nは1kgの負荷に相当) |
油圧式では利用者さんの動かす速さで負荷が変わるため、筋力増強をするために必要な高い負荷を、スタッフが設定して運動することが難しいです。
その点、重錘式であれば、段階的に負荷を増減することができ、利用者さんの筋力に合わせて細かく負荷の設定ができます。
そのため、理学療法士や健康運動指導士などの専門家がいる施設で、より効果的に活用ができます。
●簡単に運動時の姿勢調整が可能
Prefitは以下の4つのマシンがありますが、それぞれに運動時の姿勢を調整する機能がついています。
種類 | ローイング | レッグプレス | レッグエクステンション | ヒップアブダクション |
---|---|---|---|---|
鍛えられる筋肉 | 広背筋 菱形筋 脊柱起立筋 |
大腿四頭筋 大殿筋 ハムストリングス 下腿三頭筋 |
大腿四頭筋 | 中殿筋 |
可能な姿勢調整 | 椅子の高さ | シート位置 背当て角度 フットプレート角度 |
背当て位置 | 背当て角度 アームの位置 |
このような角度調整が可能のため、利用者さんの体格や姿勢に合わせたポジショニングで運動ができます。
また、姿勢を変えることで、必要な筋を効率よく鍛えることも可能です。
たとえば、ヒップアブダクションで中殿筋を鍛える場合に、背当ての角度をフラットに近づけると、股関節伸展位での外転運動となり、中殿筋をしっかり収縮させることができます。
さらに、「ROMストッパー」で動かす関節の角度を調整できるため、関節可動域に考慮した運動ができます。
以上から、運動姿勢を調整できる、専門的なスタッフがいる施設での使用がオススメです。
●負荷や姿勢の調整は座ったままでも可能
ご紹介したような負荷や姿勢の調整は、座ったままでも調整することができます。
そのため、身体機能や認知機能が高い高齢者であれば、自分にあった負荷や姿勢に関して、指導を受けることで、自分で調整してトレーニングをすることができます。
そのような利用者さんの多い、介護予防サービスを積極的に実施している施設では、スタッフの手間もかからず、利用者さんの自主性を促すサービスの提供が可能です。
電動式の「Touch Fit duo(タッチフィットデュオ)」は細かい管理が可能
電動ならではの特徴を持つ「Touch Fit duo(タッチフィットデュオ)」はほかの器具にはない細かい管理が可能です。
メリットと活用方法を解説します。
●回数や時間をタッチパネルで管理
タッチパネルには以下のような機能がついています。
- ○負荷の調整
- ○回数や時間の管理
- ○終了時はブザーでお知らせ
- ○トレーニングのテンポや可動域を表示
タッチパネルで、負荷だけでなく回数や時間など細かい設定が可能です。
そのため、利用者さんに合わせた設定をしておけば、スタッフが付きっきりで回数や時間を確認しなくても、適切なトレーニングが可能です。
以上のことから、人員が限られる事業所でも活用しやすい器具です。
●車いすでも移乗しやすい座面の高さ
2種類ある器具の座面の高さは、それぞれ41cmと45cmなので、車いすからの移乗もしやすい設計になっています。
また、オプションで体幹や手足を固定するベルトを使用することができます。
以上のように、比較的重度の障害を持つ利用者さんでも、使用しやすい設計になっており、介護度の高い利用者さんがいる施設でも導入しやすくなっています。
●1台2役で省スペースでトレーニングが可能
2種類の器具の運動を以下に紹介します。
種類 | GX-151 | GX-152 |
---|---|---|
運動 | レッグプレス/ローイング | ヒップアダクション/トーソフレクション |
1つの器具で2種類の運動が可能なので、スペースの削減ができ、利用者さんのマシン間の移動も最小限にできます。
2つの器具があれば、上肢、下肢、体幹と幅広いトレーニングが可能ですので、小規模の事業所でも、効率良くマシントレーニングを実施できます。
施設に最適な筋力トレーニングマシンを選択してサービスの質を高めよう
せっかく高価なトレーニングマシンを導入しても、施設のニーズとマッチしていなければ、うまく活用することができません。
トレーニングマシンの種類ごとに、負荷のかけ方や器具の大きさ、調整の幅が異なります。
そのため、マシンの特色を知って、施設で最も活用しやすい種類を選択することが重要です。
今回ご紹介したマシンそれぞれの特徴を参考に、「専門スタッフの有無」、「施設の広さ」、「利用者さんの特性」に合わせたマシンの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆者
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整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級