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地域介護・福祉空間整備交付金の利用方法~浴室改修にも利用可能!

介護施設などの防災・減災を推進するために国が予算計上している「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(以下、地域介護福祉空間整備交付金)」があります。
スプリンクラーや耐震化改修のための交付金として知られていますが、認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業において浴室改修にも利用することができます。
その概要と利用方法、利用における注意点についてお伝えしていきます。

利用できる施設と基準を解説

『地域介護福祉空間整備交付金』とはどのような制度?

『地域介護福祉空間整備交付金』とはどのような制度?

「地域介護福祉空間整備交付金」とは、介護施設の防災や減災対策のために必要な修繕や整備に交付金を受けることができるものです。
スプリンクラーの整備、老朽化による大規模な修繕などが対象となっています。
地域介護福祉空間整備交付金の対象となる介護施設での取り組みは次の通りです。

●小規模施設などへのスプリンクラーの整備

スプリンクラーの設置義務がある介護施設は対象外となり、以下の施設種別が対象になると考えられています。

  • ○軽費老人ホーム
  • ○小規模多機能型居宅介護事業所
  • ○看護小規模多機能型居宅介護事業所
  • ○小規模有料老人ホーム
  • お泊りデイサービス

1,000平方メートル未満の施設が対象となり、スプリンクラー設備を設置する場合には1平方メートル当たりで補助を受けることができます。

●耐震化改修、老朽化による大規模な修繕など

耐震化改修や老朽化に伴う大規模な修繕などを行う、下記の種別の介護施設などにおいて交付金を受けることができます。

  • ○地域密着型介護老人福祉施設(小規模特別養護老人ホーム)など
  • ○認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  • ○小規模多機能型居宅介護
  • ○看護小規模多機能型居宅介護

地域密着型介護老人福祉施設などと、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)などにおいては、交付金の上限額が異なっています。
老朽化に伴う大規模修繕は浴室改修も対象となっており、一定年数を経過している場合であれば改修のために交付金を受けることが可能です。

●非常用自家発電・給水設備の整備

長期間にわたる停電や断水に対応できる、十分な容量のある非常用自家発電や給水設備の整備のために交付金を受けることができます。
非常用自家発電については以下の施設種別などが対象になります。

  • ○介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など
  • ○養護老人ホーム
  • ○認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  • ○軽費老人ホーム

給水設備の整備については以下の施設種別なども対象となっています。

  • ○小規模多機能型居宅介護
  • ○認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)

老朽化に伴う新規購入のための経費や修繕・補修・機能拡張などの経費が対象となっています。
上限額は定められていませんが、介護老人福祉施設などにおいては下限額が500万円となっています。

●安全対策のためのブロック塀の改修

安全性に問題のあるブロック塀などの改修整備に対して交付金を受けることができます。
以下の施設種別などが対象になります。

  • ○介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など
  • ○養護老人ホーム
  • ○認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  • ○小規模多機能型居宅介護

安全点検を実施し、その結果において、劣化や損傷が見られていたり、高さが高すぎるようなもの、基礎がしっかりしていないものなどについては、対象になると考えられています。

●新型コロナウイルス感染拡大防止のための多床室の個室化改修

多床室の介護施設において、新型コロナウイルス感染拡大防止のためにスペースを分離する個室化改修に対して交付金を受けることができます。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など、定員30人以上の大規模施設などが対象となっています。

浴室改修で地域介護・福祉空間整備交付金が利用できる施設は?基準はある?

浴室改修で地域介護・福祉空間整備交付金が利用できる施設は?基準はある?

地域介護福祉空間整備交付金において、浴室改修が対象となっているものは、「認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業」となっています。
老朽化に伴う大規模な修繕は、「浴室改修」も対象となっています。
地域密着型介護老人福祉施設などであれば上限額は1,540万円、認知症高齢者グループホームなどであれば上限額773万円まで交付金を受けることが可能です。

●施設種別は定員29人以下の施設が対象となっている

  • ○地域密着型介護老人福祉施設(小規模特別養護老人ホーム)など
  • ○認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  • ○小規模多機能型居宅介護
  • ○看護小規模多機能型居宅介護

施設種別は上記の通り、定員が29名以下の小規模施設が対象となっています。
特別養護老人ホームや老人保健施設の場合、地域密着型施設が対象となっていますので、ユニット型のように新型施設であっても対象とはならない場合があります。
また同様に介護付き有料老人やサービス付き高齢者向け住宅も対象外となっています。

●「老朽化に伴う大規模な修繕」が必要な基準は何年?

厚生労働省が示している老朽化に伴う大規模な修繕の基準については、「一定年数を経過して使用に堪えなくなり、改修が必要となった浴室」といったものとなっています。
「一定年数」がどの程度の年数なのか、「使用に堪えられない」「改修が必要」と考えられる基準がどのようなものなのかについては、一律の基準はありません。
交付金の申請に基づいて判断することとなりますが、「おおむね10年が目安」とされています。
ただしあくまで目安ですから、使用に堪えられなくなり改修が必要と判断されるのであれば、10年に満たないとしても交付を受けることが可能です。

●1法人で複数事業所で交付金を受けることや併用も可能

地域介護・福祉空間整備交付金は、1法人だけではなく施設や事業所単位で受けることができます。
それぞれの施設・事業所ごとで交付金を受けるには、対象となる浴室改修の経費の実支出額を申請することが必要となります。
仮に法人全体の実支出額しか出せない場合においても、施設・事業所の専有面積で案分して申請を提出すれば問題ありません。
また浴室改修だけではなく、耐震化改修や非常用発電機の整備などを併用することも可能となっています。
浴室改修だけではなくリフトキャリーの整備にも利用可能となっています。

地域介護・福祉空間整備交付金の3つの注意点

地域介護・福祉空間整備交付金の3つの注意点

  • ●交付金申請の期間がかなり短い
  • ●すべての自治体で交付金が受けられる訳ではない
  • ●各市町村から通知がない場合でも交付金を受けられる場合がある

地域介護・福祉空間整備交付金は、すべての市町村が十分な準備をしたのちに申請の受付をしている訳ではありません。
そのためかなりタイトなスケジュールで申請を行わねばならず、場合によっては市町村からの通知がまったくない場合もあります。

●交付金申請の期間がかなり短い

地域介護・福祉空間整備交付金は各自治体がホームページなどによって通知を行って告知していますが、受付期間は毎回かなり短いために注意が必要です。
今までの状況を見てみると、自治体での受付期間は約2週間程度となっています。
そのためホームページなどで通知されてから、業者へ見積りを依頼するようなスケジュールでは到底間に合わないことがわかります。
自治体が通知される時期は例年3月初旬と8月初旬ごろになっていますので、その時期に合わせて準備を整えておくことが必要です。

●すべての自治体で交付金が受けられる訳ではない

地域介護・福祉空間整備交付金は冒頭でもお伝えした通り、さまざまな種類の交付金があります。
しかし各市町村が通知するなかに、「認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業」が含まれていないことがあります。
またそもそも通知されないような市町村も存在します。
ただしこの交付金は国が行うものですから、市町村からの通知がなくても事業所からの働きかけによって申請が可能となる場合もあります。

●各市町村から通知がない場合でも交付金を受けられる可能性がある

市町村の担当者が、交付金についての知識がまったくない場合や実績がない場合においては、まったく通知しないということも見られています。
そのような場合には、各事業所から交付金についての問い合わせや相談をすることによって申請を受け付けてくれる可能性があります。
仮に今年度は無理であっても、要望があれば次年度から通知してもらえる可能性がありますから、働きかけをしてみる価値はあるでしょう。

地域介護・福祉空間整備交付金で老朽化に伴う浴室改修を

地域介護・福祉空間整備交付金は防災や減災対策のために活用できる交付金ですが、大規模修繕には老朽化に伴う浴室改修での利用も可能となっています。
定員29名以下の地域密着型特養などであれば上限1,540万円、認知症高齢者デイサービスなどであれば上限773万円まで交付金を受けることができます。
法人単位ではなく事業所単位で申請可能となっていますから、申請時期に注意しながらうまく活用するといいのではないでしょうか。

参考:
厚生労働省「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金交付要綱」(2020年6月26日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。

    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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