手指用ゴニオメーターで手指の機能評価を詳細に!患者さんのリハビリへのモチベーションにつなげよう!
手指の骨折や腱損傷のリハビリでは手指の機能を詳細に評価する必要があります。
特にリハビリ前後での関節可動域の評価は患者さんにどのぐらい改善したのかを示す指標になり、患者さんのリハビリへのモチベーションを維持・向上させるきっかけにもなります。
今回は手指用ゴニオメーターの特長や、どのような疾患での評価に使うと効果的かを紹介します。
手指などの小さな関節の可動域を測定できる「手指用ゴニオメーター」
手指用ゴニオメーターは、手指などの小さな関節の可動域を計測するのに優れた製品です。
骨折や腱損傷などさまざまな疾患で、詳細な関節可動域の測定が必要なときは手指用ゴニオメーターを使う必要があります。
製品の特長とは?
手指用ゴニオメーターの特長は3つあります。
- 1)コンパクトであるため、手指の過伸展の関節可動域測定がしやすい
- 2)1°きざみで関節可動域測定が可能
- 3)低コスト
●コンパクトであるため、手指の過伸展の関節可動域測定が可能
従来の手指用ゴニオメーターはサイズが大きく、手指の過伸展の関節可動域の測定が困難でしたが、オージー技研の手指用ゴニオメーターは病院やクリニックの現場の声を踏まえて「コンパクトさ」と「使いやすさ」を両立した製品になっています。
サイズが非常にコンパクトで、約65×12×30(H)mmであるため、手指の評価には必須の製品です。
●1°きざみで関節可動域測定が可能
既存のアナログ式の手指用ゴニオメーターは2°または5°きざみの製品が多数であり、詳細な評価が必要なときにはセラピストの目視での判断となっていました。
新発売の手指用ゴニオメーターを使えば、1°きざみで測定が可能であるため、検査者での評価のばらつきが少なく、詳細な評価が可能です。
詳細な評価ができることで、患者さんにリハビリ前後で関節可動域がどのくらい良くなったのかを数値化・可視化して確認してもらえるため、リハビリへのモチベーションの向上にもつながる可能性があります。
●低コスト
関節可動域の評価時に必要ということで低価格化を実現しています。
従来の製品や他社商品は高価なものが多く、手外科などがある病院やクリニック以外では手指用ゴニオメーターがない病院も少なくありません。
低価格であることから個人での購入も抵抗なくでき、使い勝手も良いため、患者さんの詳細な手指の評価が必要な現場ではもってこいの製品です。
どのような疾患で使えるのか
手指用ゴニオメーターは手指の骨折や腱損傷、手指の変形、脳血管疾患や頸椎症、頸髄症の中枢系疾患など幅広い疾患で使用することができます。
●手指の骨折、腱損傷
手指の骨折や腱損傷であれば、受傷後や術後に運動制限がある場合があります。
手指用ゴニオメーターを使って評価することでそれぞれの関節の可動域が確認でき、運動療法を行う上での一つの基準になります。
また、手指のゴニオメーターの目盛が1°ごとに記載されており、詳細に関節可動域を評価できるため、患者さんにどれくらい良くなったかを示すことができます。
●手指の変形
手指の変形は外傷や関節リウマチが原因で起こります。
代表的な変形として、「マレット指」、「スワンネック変形」、「ボタンホール変形」が挙げられます。
スワンネック変形やボタンホール変形はDIP関節、PIP関節、MP関節が過伸展になる場所があるため、手指用ゴニオメーターを使えば、容易に関節可動域の評価ができます。
1)マレット指
マレット指とは、DIP関節が自動伸展できず、DIP関節が屈曲位に変形します。
突き指などの外傷で発現し、スポーツが原因で発症することの多い変形です。
徐々にPIP関節が過伸展し、スワンネック変形をきたす可能性もあります。
腱性、骨性の2パターンがあり、腱性では保存療法が原則で骨性はピンニング固定などの手術適応となる場合があります。
手指用ゴニオメーターで手指の各関節の可動域を定期的に測定しておき、適切に運動療法やスプリント療法を行うことで、スワンネック変形を予防することができます。
2)スワンネック変形
スワンネック変形とは、DIP関節屈曲位、PIP関節過伸展位、MP関節屈曲位の変形です。
変形が軽度であれば、スプリントによる保存療法が適応されますが、変形が重度である場合は原因に基づいた手術療法が選択されます。
手指用ゴニオメーターで定期的に各関節の可動域を評価、記録しておくことで、変形の進行度や手術適応かの判断ができます。
3)ボタンホール変形
ボタンホール変形とは、DIP関節過伸展位、PIP関節屈曲位、MP関節過伸展位の変形です。
ボタンホール変形の治療は、スプリント固定による保存療法か、外科的にPIP関節とDIP関節の伸展機構を再建する手術療法があります。
スワンネック変形と同様に、手指用ゴニオメーターで各関節の可動域を評価、記録しておくことで、変形の進行度を確認し、手術適応かどうかの判断ができます。
●脳血管疾患や頸部疾患などの中枢系疾患
脳血管疾患や頸部疾患などの中枢系疾患では運動麻痺が起こる可能性があります。
自動運動、他動運動での関節可動域を評価することで制限を起こしている原因がわかります。
また、リハビリの前後で手指をどの程度動かせるようになったのかを確認することができるため、患者さんのモチベーションの向上にもつながる可能性があります。
自助具や代償動作の獲得の基準にもなります。
手指用ゴニオメーターを使って詳細で正確な評価を!
手指用ゴニオメーターは手指の関節可動域測定には欠かせない製品です。
コンパクトさや目盛が1°ごとであることから容易に詳細な関節可動域評価ができます。
ハンドセラピーの分野だけでなく、さまざまな疾患の手指の評価に有用です。
詳細な評価は変形の進行度の確認や患者さんのリハビリへのモチベーション向上にもつながります。
手指用ゴニオメーターは低コストを実現しているため、手指の評価を行う方におすすめの製品です。
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執筆者
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大学を卒業後、作業療法士免許を取得。急性期病院やデイサービス、福祉用具・住宅改修業者での勤務を経て、現在は精神科病院にてリハビリ業務に従事。心身の健康や在宅で安全に安心して暮らせる方法をわかりやすく丁寧にお伝えします。医療従事者の方々の健康にも焦点を当てていきたいと思っています。
保有資格:作業療法士、重度訪問介護従業者、福祉住環境コーディネーター2級