省スペースで効率のよいトレーニングマシン、オムニローダーの特長をご紹介します
後期高齢者が増加するなか、医療機関だけでなく介護施設でのリハビリも重要視されています。
筋力トレーニングはリハビリの代名詞ともいえますが、多くのトレーニング方法や機器があるため、どれを使えばいいかわからないと悩む方もいるでしょう。
本記事では、OG Wellnessのオムニローダーというトレーニング機器について、その特長と魅力をご紹介します。
目次
なぜ介護事業所での筋力トレーニングが難しいのか
筋力トレーニングはただ闇雲に行えばよいというわけではありません。
小規模のデイサービスを例に挙げて、その問題点について考えてみましょう。
●筋トレは目標設定と専門職の評価が大切
一概に筋トレとはいっても、どこの筋力をどの程度鍛えるのかは人それぞれであり、その対象者さんの身体能力生活スタイルによっても左右されます。
ただ漫然と「膝を伸ばす運動をしましょう」と始めても、期待している効果がでない、ADLアップにつながらないという結果になります。
重要なのは、トレーニングプランを考える際に対象者さんの評価を行うことであり、その結果に基づいて実施方法や強度を設定します。
理学療法士や作業療法士は評価やトレーニングを行うスペシャリストであり、彼らが機能訓練指導員として配置されている場合は特に問題ありません。
ただ、看護師さんやあんまマッサージ師さんが機能訓練を担当する場合、そこまでの専門知識がないことが多いです。
「見様見真似でしているけど合っているのかな」、「無理してけがしたらどうしよう」と不安になるかもしれません。
運動方法の選択や強度を統一できない、これが1つの問題点として挙げられるでしょう。
●マンツーマンで指導できる時間やスペースが確保できない
医療機関におけるリハビリでは、基本はマンツーマンでの指導になるため、1人の患者さんに時間をかけることができます。
しかし、デイの場合は1対10〜15人という状況であり、安全管理という観点からも多くの対象者さんに目を配る必要があります。
また、食事や集団体操、レクリエーションなどは広いスペースを必要とするため、トレーニング機器を設置する場所がないという悩みがあるかもしれません。
1台で複数のトレーニングができる、強度の設定がどのスタッフでも行える、運動方法がわかりやすいなど、三拍子そろったトレーニング機器があれば理想的です。
省スペースで効率的なトレーニングマシン、オムニローダーの魅力
OG Wellness製のトレーニングマシン、オムニローダーについてご紹介します。
●本製品における3つの特長
本製品は、肋木取付型、壁面取付型、ステー取付型の3種類ありますが、ここでは利用頻度が高いと思われる壁面取付型についてご紹介します。
◯省スペース
オムニローダーは、電子制御負荷でさまざまな部位のトレーニングができる機器であり、その一番の特長は省スペース設計であることです。
壁面取付型の外径は240×657×2100(H)mmであり、イメージとしては床から天井までちょっと太めの突っ張り棒が設置されている感じです。
ベッド臥床でトレーニングを行う際も、ベッドと壁の間に30cmほどのスペースがあれば設置可能です。
◯対象筋が多い
本製品は、滑車を利用した関節運動が特徴的であり、牽引方向によってさまざまな筋肉をターゲットにできます。
座位での肘屈筋群、臥位での大腿四頭筋や大殿筋など、姿勢によって対象となる筋肉はさまざまです。
また、身体機能的にある姿勢が取れない方でも、牽引方向やベッドの位置を変えることによって対応ができるのが特長です。
◯負荷量が設定しやすい
徒手抵抗やセラバンドは簡便に負荷量として使用できますが、介助者やバンドの長さなどで負荷量が変化しやすいです。
また、ほかのスタッフが担当する場合、上記負荷では客観的な指標として伝えにくいために困ることがあります。
オムニローダーの場合は、負荷量は数値化でき、設定もボタン操作なので、誰が設定しても同じ負荷量で行うことができます。
●適応疾患や使用上の注意点
本製品は、基本的に疾患を問わず多くの方で適応になります。
骨折後の筋力低下、廃用症候群による筋力低下など、その対象者さんの状態に合わせて使用していただくとよいでしょう。
しかし、安全に使用するために以下のような注意点があります。
◯壁(ステー)にしっかりと固定する
本製品は、滑車を通して牽引力が働くため、壁やベッドのステーにしっかり固定する必要があります。
固定が甘い場合、本体の落下などでけがをする可能性があるため、設置後の定期点検をかかさないようにしましょう。
◯認知機能低下のある方は注意
負荷の設定と運動方法の指導が終われば、自主練習として1人で行うことができます。
しかし、バンドを急に離してけがをする、勢い余って転倒するなども考えられるため、理解力の低下している方の場合、スタッフ見守りのもと実施することが望ましいです。
オムニローダーが活躍する施設や使用例をご紹介します
さいごに、オムニローダーが活躍する場面について考えてみたいと思います。
●リハ特化型や小規模のデイサービスにおすすめ
オムニローダーの一番の特長は、省スペースかつ複数の運動が行えることでしょう。
そのため、敷地面積の狭いデイサービス事業所や、複数のトレーニングマシンが設置してあるリハ特化型デイなどにおすすめです。
また、理学療法士などのリハビリ専門職が常勤でいない施設の場合、またマンパワー的に個別指導が難しい場合などのケースでも有効活用できるでしょう。
ただし、誰でもとりあえずやってみようと安易に考えると、既往歴や合併症の影響でけがや病状が悪化する可能性もあります。
機能訓練メニューを考える際、ほかのスタッフともよく協議して安全性を確認すること、定期的に運動方法や強度を見直すことを心がけましょう。
●医療機関でも活用できる?整形疾患のベッド上トレーニング
介護施設の機能訓練だけでなく、デイケアや外来リハビリなど医療機関でもオムニローダーは活躍できます。
ステー取付型の場合、ベッド上安静の患者さんでも自主トレーニングが行えます。
たとえば、骨盤骨折や術前の安静期間においては、健康な側の手足の筋力も低下するため、床上でのトレーニングが重要になります。
オムニローダーを導入することで、上肢下肢のトレーニングを安全に行うことができ、セラピストの負担も減らすことができるでしょう。
また、整形クリニックでは、上肢の腱板損傷や膝の靭帯損傷の患者さんなど比較的若い患者さんの場合、治療前のウォーミングアップとして活用することもできます。
介護施設から医療機関まで、オムニローダーでトレーニングを効率化
オムニローダーは、治療ベッドを含めても1畳の省スペースであり、設置方法や使用方法も簡単です。
また、この1台で複数のトレーニングができるため、使用対象者も多くなるでしょう。
マンツーマンで指導をするかたわら、オムニローダーで自主練習を行うなど、時間効率的にもプラスになります。
機能訓練を強化したいけど十分なスペースが確保できない、常勤のリハビリ専門職がいないと悩んでいるのであれば、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆者
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皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士