介護・高齢者施設が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

医療従事者向け 介護プラス

デイサービスで準備しておきたい杖と歩行器は!?使用上の注意からメンテナンスまでをご紹介します!

近年では、機能訓練特化型の小規模デイサービスも増えており、リハビリ専門職がいる事業所では歩行練習などの個別メニューも実施されます。
本記事では、理学療法士の目線から訓練時に使用する歩行器や杖について紹介し、その使用方法やメンテナンスの必要性を解説します。
これから準備しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

歩行補助用具ってどんなもの?

歩行補助用具とは、その名のとおり歩行を補助する役割をもっていますが、以下に具体的な定義について解説します。

●目的

介護保険法(2000年)において、福祉用具とは「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具(以下略)」とされます。
つまり、歩行補助用具とは歩行機能が低下した方の機能訓練に用いる、または自立を支援する福祉用具であるといえます。

●種類

一般的には、福祉用具メーカーから販売されている杖や歩行器を思い浮かべますが、前述した定義をもとに考えると、市販のシルバーカーやリハビリシューズなども含まれるでしょう。
以下の表は、代表的な杖や歩行器の種類とそれぞれの特徴です。

1)杖の種類と特徴

種類 特徴
T字型杖 ●グリップを握り、斜め前方に突くことによって体重を支える
●補助効果は杖のなかでも最も低い
多脚型杖 ●脚の数によって3点杖や4点杖に分けられる
●安定性は高いが歩く速度が遅くなる
ロフストランド杖 ●杖の上部に腕を通すカフ、下部にグリップが付いている
●カフとグリップで体重を支えるため安定する
●握力の弱い方でも使用できる
松葉杖 ●脇当てとグリップが付いており、より重い体重を支えられる
●脚にかかる荷重を調整しやすい

このほかに、サイドウォーカーと呼ばれる歩行器のような杖もあります。

2)歩行器の種類と特徴

種類 特徴
固定型歩行器 ●前輪やストッパーが付いていない
●持ち上げて進む必要がある
前輪付歩行器 ●前にキャスターが付いている
●押すだけで進むことができる
交互型歩行器 ●左右のフレームを交互に動かすことで進む
●前に出す手と脚が逆になるため、本来の歩き方に近い

また、そのほかにも前腕で支持する歩行器や、かごや椅子の付いたシルバーカーと呼ばれるものもあります。

これだけは準備しておきたい!代表的な歩行補助用具3選!

ここでは、T字型杖、多脚型杖、歩行器に関して、それぞれの適応と使用上の注意点について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

●T字型杖の適応と注意点

杖がなくてもなんとか1人で歩ける方から、脳卒中の後遺症で片麻痺になった方まで幅広いです。
注意点としては、使用する側もなじみの深いものですが、杖を持つことに抵抗感がある方もおられますので、安易に勧めることは避けましょう。
また、体重を支えてくれる効果はあまりなく、極端に腕や脚の筋力が低下している利用者さんには適していません。

●多脚型杖の適応と注意点

T字杖では安定した歩行ができない場合や、脳卒中の後遺症でゆっくりしか歩けない方などに適しています。
また、腕の力が弱く、T字型杖ではうまく体重を支えられない方にもおすすめです。
注意点として、多脚型杖は複数点で体重を支えるため、腕の力をできるだけ垂直に加える必要があります。
斜めに突いてしまうと、かえってバランスを崩して転倒する恐れが出てきますので、練習の際には注意してください。

●歩行器の適応と注意点

固定型歩行器と前輪付歩行器ではそれぞれ適応や注意点が異なります。

1)固定型歩行器の適応と注意点

歩行速度より安定性を重視したい利用者さんや、荷重時に痛みがあるため免荷(めんか)をしたい利用者さんなどに適しています。
注意点としては、1歩ごとに歩行器を持ち上げて移動するため、腕の筋力が十分でないとうまく操作ができません。
また、バランス能力が極端に低下している利用者さんでは、歩行器を持ち上げた際に転倒することも考えられるので注意してください。

2)前輪型歩行器の適応と注意点

腕の力が弱い方や、円背(えんぱい)のため前方にバランスを崩しやすい方でも安全に使用できます。
注意点は、押して進むタイプであるため、わずかな段差でも引っかかることがあります。
また、円背が強くて重心が前方に偏りすぎている場合は、歩行器の移動に脚がついてこれずに転倒する危険もあります。

メンテナンスってなにをするの!?押さえておきたいポイントをご紹介!

歩行補助用具を購入したあとも、管理者にとって重要な業務があることをご存知ですか?
ここでは歩行器と杖を例にとって、チェックしておきたいポイントについて解説します。

●メンテナンスが必要!?

歩行補助用具は、購入すれば一生使えるものではありません。
各制作メーカーによって保証年数は決められていますが、大型の医療機器ではないため、通常では保守点検は実施されません。
つまり、購入後は事業所側が管理することになり、安全に使用するためにも定期的なメンテナンスが必要なのです。
具体的には、以下のチェックポイントが挙げられます。

  1. 1)杖の先のゴムが劣化していないか
  2. 2)杖のグリップ部分が破損していないか
  3. 3)歩行器のグリップが緩んでいないか
  4. 4)歩行器の車輪やストッパーが破損していないか
  5. 5)杖や歩行器の調節つまみが破損していないか

●交換時期は?ゴムの切れ目が縁の切れ目!?

古くなってきたけど、まだ使えそうだからもったいないと思う方もおられるでしょう。
使用頻度にもよりますが、一つのポイントは、ゴムが劣化・破損してきたら交換のタイミングです。
杖の先のゴム、歩行器の車輪のゴム、歩行器のグリップなどは、亀裂や破損が転倒に直結しますので要注意です!
「持ち手が滑って転んでしまった…」
「車輪がうまく回らずにつまずいてしまった…」
これらは明らかに事業所側の管理ミスですので、絶対に起こらないようにしましょう。

●知ってて得するマル秘情報!

最後に、歩行補助用具の管理について知っておきたい豆知識をご紹介します。

1)杖のゴムと歩行器の脚はストックしておこう

前述したとおり、歩行補助用具においてゴムの劣化は避けて通れないトラブルです。気づいたときにすぐ交換できるように、あらかじめ2〜3個のストックは準備しておきましょう。
その都度注文するのは面倒なので、歩行補助用具を購入する際に一緒に頼んでおくことが望ましいです。

2)高さ調節はこまめに実施しよう

ここは盲点かもしれませんが、杖や歩行器の高さ調節は定期的に実施しておくべきです。
なぜなら、1つの高さで長期間使っていると、調節穴やボタンの滑りが悪くなり、調節がしづらくなります。
筆者もよくほかのスタッフに調節を頼まれることがあり、その都度無駄な握力を使う羽目になります。
無理に力ずくで調整すると破損の原因になるため、1カ月に1回程度は高さを変更して滑らかに動くか確認しておきましょう。

まとめ

本記事では、デイサービスに準備しておきたい杖や歩行器の種類と、そのメンテナンスの重要性についてご紹介しました。
歩行補助用具は、大型の福祉用具とは違い、安価で購入しやすいものですが、使用方法を間違えると事故につながる恐れがあります。
ヒトだけではなく、モノにも愛情を持って大切にする姿勢こそが、介護場面で求められる誠実さなのかもしれません。

参考:
財団法人テクノエイド協会 歩行補助用具の活用(2018年2月2日引用)
内閣府 平成11年度障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告について(2018年2月2日引用)
一般社団法人日本福祉用具供給協会ホームページ(2018年2月2日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)