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介護施設の理学療法士が伝える!デイケアで入浴介助を実施するために知っておきたい注意点

多くのデイケアで入浴介助を実施する機会があると思います。
しかし、デイケアで入浴介助を行うためには、算定要件や介助方法などの注意点があります。
今回は介護施設で働く理学療法士が、デイケアで入浴介助を実施するにあたって、知っておきたい注意点を紹介します。

入浴介助の注意点と福祉用具

入浴介助加算を算定するために知っておきたい注意点

入浴介助加算を算定するためには、人員配置や入浴介助を適切に実施する必要があります。
そのなかでも、入浴の介助方法には十分注意する必要があります。
入浴介助加算を実施するうえで必要な要件は、以下のようなものが挙げられます。

  • ●入浴介助加算が算定できるのは全身浴、全身シャワー浴
  • ●足浴や手浴といった部分浴や清拭では算定不可
  • ●入浴時に直接的な介助ではなく転倒予防や自立支援のための観察でも算定可能

また、急な体調不良など利用者さんの都合で、予定していた入浴が急きょできなくなった場合でも加算の算定はできません。
これらの注意点を理解しておかなければ、算定が漏れてしまったり、算定できないのにしていたなどの事態を招いてしまいます。
筆者の事業所では、そうしたことが起こらないように入浴予定表を作成して、だれがどのような入浴介助を実施するのかをチェックできるようにしています。
さらに、その表を入浴介助スタッフとほかのスタッフでダブルチェックをし、予定どおりに入浴ができているかを確実に把握できるようにしています。

入浴介助には多くの危険が潜んでいる!?!介助方法の注意点を疾患別に紹介

厚生労働省の第141回社会保障審議会(2017)によると、デイケア利用が必要となった原因の疾病は脳卒中、骨折(圧迫骨折)、関節症の順となっています。
つまり、デイケアで入浴をされる方はこれらの疾病の方が多いということです。
そこで、疾患別に介助方法の注意点を紹介します。

●脳卒中の利用者さんの場合

脳卒中で片まひがある方は、浴室へ入るときは非まひ側から入るようにしましょう。
これは安定した「またぎ動作」ができることや、お湯の温度を感じやすいといった利点があるために行うものです。
また、まひ側は滑りやすいだけでなく、急に膝の力が抜けるようにバランスを崩す場合があります。
そうした危険性を常に想定しておき、いざというときは自分の膝の上で支えるなど、とっさの対応ができるようにしておきましょう。

●人工関節置換術後の利用者さんの場合

人工関節の手術を受けられている場合は、関節を深く曲げてはいけない場合があります。
しっかりと情報収集をして、どの動作をしてはいけないのかを把握しておきましょう。
たとえば、人工股関節の手術をされている方では「脱臼」に注意しなければなりません。
手術方法によっては、股関節を深く曲げて内側にひねるような動作を行うと、脱臼のリスクが高まります。
そのため立位でまたぐ場合は、浴槽の縁を持って体をかがめ、股関節が深く曲がらないように介助します。
場合によっては、座ってまたげるような福祉用具を導入する必要があるでしょう。

●圧迫骨折後の利用者さんの場合

圧迫骨折後の利用者さんは、腰への強い衝撃を避ける必要があるため、椅子へ座るときに注意が必要です。
急に座ってしまうとお尻に受けた衝撃が背骨へと伝わり、痛みが生じるだけでなく、場合によっては骨折につながる危険性もあります。
ゆっくりと座れない方は、衝撃を避けられるように支えながら座面に誘導しましょう。

安全・安心な入浴介助を実施しよう!入浴介助に活用したい福祉用具5選!

適切な介助方法を知っていても、介護度が重度の方や動作の制限が多い方は介助が難しい場合もあります。
そこで活用したいのが福祉用具です。
今回は入浴介助におすすめの福祉用具を5つご紹介します。

●浴槽用手すり

浴槽の縁に設置して利用する手すりですが、取り外しができるため、必要な利用者さんのときにだけ設置して、不要になれば取り外すことができます。
利用者さんが立位でまたぐ場合でも、足と手で体を支えることができるため、安定したまたぎ動作を行うことができます。
また、股関節が深く曲げられない方は体を前に倒してまたぐことができるため、股関節に負担をかけずにまたぎ動作を行うことができます。

●シャワーチェアー

浴室で使用する椅子で、高さの変えられるものや肘置きがついたものなど、いろいろな種類がありますので、利用者さんの状態に合わせて使い分けると良いでしょう。
また、シャワーキャリーといって、浴室内を車椅子のように移動できるものもあります。
浴槽にくっつけるように置いて高さを合わせれば、座り直しのみで浴槽の縁に移乗することができます。

●バスボード

浴槽をまたぐように設置することで、座って浴槽に出入りすることができます。
立位でのまたぎが難しい方に適していますが、股関節を深く曲げられない方は、後方へ体を倒すスペースがなければ逆にまたぎにくくなるので注意しましょう。
また、ボードの厚さの分だけ、浴槽が高くなる点を考慮する必要があります。
小柄な利用者さんは、浴槽内に足がつかず不安定になる場合がありますので、浴槽内専用の「すのこ」などで浴槽内をかさ上げするといった工夫が必要です。

●リフト

入浴で使用するリフトには以下の二つのタイプがあります。

  1. 1)浴槽内に設置し、浴槽内での立ち座りを介助する
  2. 2)浴室内に設置し、浴槽への移乗から浴槽内の立ち座りまで介助する

浴槽に据え置くタイプは、バスボードと同じように、移乗の際は座ってまたぐ動作が必要になります。
そのため、またぎ動作が困難で浴槽への移乗が難しい方は、浴槽への移乗から浴槽内の出入りまでを介助できるつり下げ式のリフトを利用しましょう。

●介護浴槽

介護浴槽は、入浴用のストレッチャーに寝たまま入浴できるものや、専用の車椅子を使用して、座ったまま入浴できるものなどさまざまな種類があります。
移乗だけでなく、姿勢の保持が困難な利用者さんでも利用できる、便利な福祉機器ですが、すぐに導入するには高額な機器になります。
筆者の事業所では、高額な介護浴槽やリフトを購入するために、「介護福祉機器助成制度」を活用して導入しました。
施設で購入を検討する場合は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
介護浴槽についてはこちら(寝たまま・座ったまま使える機器がある!最新の入浴介助機器「セレーノ」「トゥッティ」を紹介します)でも紹介しています。

まとめ

デイケアで入浴介助を適切に行うことで、加算の算定だけでなく、利用者さんの生活の質や体の機能も高めることができます。
しかし注意不足から、算定漏れを招いたり、利用者さんに不快な思いをさせる可能性もあります。
また、入浴介助は介助量が多く、時間や人員が必要な介助でもあるため、しっかりと注意点を守り、適切な介助方法の実施や福祉用具の活用をする必要があります。
今回ご紹介した方法を参考に、効果的で効率的な入浴介助を実施しましょう。

参考:
厚生労働省 第141回 社会保障審議会(介護給付費分科会) 資料 平成29年度版(2018年2月3日引用)

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