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他職種との連携でヘルパーが得られるメリットは?多角的な視点を持って介護を行う重要性

訪問介護はヘルパー以外にも、看護師、理学療法士など実に多くのスタッフが関わっています。
ヘルパーはこれら他職種と積極的に関わることで、自分の技術を向上させることができ、その結果、利用者さんにより良いケアを提供することにもつながっていきます。
ここでは、リハビリテーションチームを例に、ヘルパーが他職種との連携によって得られるメリットと、その重要性についてお伝えします。

ヘルパーと他職種は現場で会うことがない?

訪問介護には介護、医療、行政など多くの職種が関わっています。
各職種はケアマネジャーを中心に開催される「担当者会議」で、それぞれの立場から意見交換をし、情報を共有しながら連携しています。
こうした机上での連携は当然ながらありますが、実際の現場ではどうなのでしょうか。

介護スケジュールは、各サービスが重複しないように組み立てられます。
これは介護保険では同時に複数のサービスを利用できないという原則があるからです。
利用者さんの状況によって必要と判断される場合は別として、基本的に各サービスは別々の時間に提供されます。
そのためヘルパーは通常、他職種の仕事の様子を直接目にする機会が少ないといえます。
ヘルパーに限らず、他職種のスタッフが現場で直接意見交換をすることはまれなため、
「他職種がどんな仕事をしているか具体的にはわからない」
という方も少なくありません。
しかしこれでは、せっかくのチームアプローチも、その効果を十分に発揮できません。

特別養護老人ホームや老人介護施設といった入所施設であれば、介護職は他職種の仕事の様子を直接見ることができます。
また、スタッフ同士がその場でコミュニケーションを取ることも可能なため、ヘルパーは「他職種がなにをしようとしているのか」を理解することができます。
訪問介護では業務の特性上そうした機会がもてないため、ヘルパーは自分から積極的に他職種に関わっていく姿勢が必要になってきます。
関わりが増えることで互いの業務を理解して連携も進み、その影響は利用者さんのみならず、ヘルパー自身のメリットにもなるのです。

ヘルパーが他職種から得られるメリットとは

では具体的に、ヘルパーが「他職種との関り」によって得られるメリットとは何なのでしょうか。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリスタッフは、国家資格を持った医療者として、利用者さんの身体の状態を把握しています。
歩き方、話し方、手の使い方に問題はないか、食器や手すりなどの道具は利用者さんの状態に合っているかなど、ヘルパーだけでは判断が難しい生活自立度の評価を行い、これに基づいてリハビリテーションプログラムを立てているのです。
実はこのリハビリテーションプログラムの内容を具体的に知ることが、ヘルパーにとっては大きなメリットとなります。
なぜならこのプログラムには「利用者さんが今どんな状態なのか」「どんな困難を抱えているのか」などがきちんと整理されているからです。
これにより、ヘルパーが「介護」という視点で得た情報だけでなく、医療者が「リハビリ」の視点で得た情報も得ることが可能になるのです。
このように、介護とはまた違った視点から利用者さんをみることはとても重要になるため、サービス提供責任者は率先してリハビリスタッフと情報交換を行い、プログラムのなかにある情報をヘルパーに伝える必要があるといえるでしょう。
さらに、ヘルパーからみた「今の利用者さんの状況」を聞き取り、リハビリスタッフに伝えることで、介護と医療のスムーズな連携を図ることが期待できます。

リハビリスタッフとヘルパーからみた利用者さんの「今の状態」は、必ずしも一致するものではありません。
しかし、お互いが評価を伝え合うことで、共通認識に変えることができるのです。
そして共有できた情報は、その後の業務にも大いに生かすことができます。
たとえば、
「これまでヘルパーが当たりまえに行っていた歩行介助の仕方が、実は利用者さんの残存能力を生かせていなかった=より有効な歩行介助に変えよう」
「食事や水分補給で、利用者さんの嚥下能力に適したものにするためには、もっと身体を起こしたり、水分にとろみをつけることが必要=食事介助を見直そう」
など、別の視点から利用者さんをみることによって、これまで課題となっていたことの解決策がみつかったり、よりよいケアの実施につなげることができるのです。
ヘルパーにとって、それぞれの現場にある課題の解決方法を知ることは、このうえないメリットだといえるでしょう。

ケアを「点から線」に

リハビリテーションプログラムを知ることで、把握していない利用者さんの状態を知ることができると上述しました。
ではどうすれば、それらの情報をもとにケア内容の改善へとつなげていけるのでしょうか。
筆者がサービス提供責任者のときに実際に行った例をご紹介します。
当時筆者は、サービス提供責任者としてリハビリスタッフにプログラムの内容について説明を受けました。
その際に「利用者さん本人や、ご家族にはどう指導しているか」も合わせて質問したのです。
ヘルパーの専門はあくまでも「介護」ですが、利用者さんやご家族でも実施可能なレベルのプログラムであれば、日々のケアのなかにも取り入れることができるからです。
「歩行では、ヘルパーは利用者さんのどんな動きに着目すれば良いか」
「更衣では、関節をどこまで動かして良いのか、逆に動かさない方が良いのか」
「食事の提供では、刻み食を指示どおりに出しているが「刻みの大きさ」は適切であったか」
などその内容はさまざまですが、なかでも重要になるのが、
「なぜこのプログラムが必要なのか」
「このプログラムが目指す目標はなにか」
を聞いておくことです。
この「理由」と「目標」をヘルパーが把握しておくことで、利用者さんに必要な介助や、逆に見守りに徹しなければならない動作などが明確になり、日々の小さな変化もつかみやすくなるのです。
一方的に「こうしてください」と指示を出すだけでは、多角的な視点は育ちません。
ヘルパーとリハビリスタッフがお互いに問題点を共有する意識をもつことで、介護とリハビリテーション両方の側面から、利用者さんのQOL(生活の質)を考えることができるのです。
こうした動きを重ねて行くことで、ヘルパーは自分が行うケアを「点から線へ(個人からチームへ)」とつなげていくことができるようになります。
「今、自分が提供しているケアは適切なのか」
「目標を達成するために必要なことはなにか、その妨げになっていないか」
そんな疑問が、また他職種との連携を深め、さらにはヘルパー自身の新しい知識や技術を学ぶ意欲を向上させていくのです。
筆者がサービス提供責任者をしていた際にも、「もっと食事介助のことを勉強したい」といったヘルパーからの要望が多く挙がってくるようになりました。
これは連携によって専門職の仕事に触れ、「自分を高めたい」という意欲が出てきたからだといえるでしょう。

まとめ

慌ただしい日々の業務のなかでは、他職種の仕事は「自分とはあまり関係のないもの」と捉えてしまいがちです。
特にリハビリテーションはその専門性ゆえ、知らないことが余計な壁になっていることも多いです。
そんな壁を打ち砕くためには、ヘルパー側の意識改革が必要です。
まずは利用者さんやご家族のためだけでなく、連携はヘルパーにとってもメリットが大きいことを理解しておきましょう。
意欲の向上もさることながら、リハビリテーションで利用者さんのADL(日常生活動作)が向上すれば、ヘルパーの負担も軽減されるのです。

「他職種との壁」は待っていても崩れません。
しかし自分から積極的に関わっていくことで、驚くほど簡単にその壁は消えていくのです。
ぜひ他職種へのアプローチを意識して、利用者さんにチームアプローチという最高のケアを提供してください。

関連記事:
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参照:
WAM NET(独立行政法人 福祉医療機構)(2018年3月14日引用)
訪問リハビリテーション(厚生労働省)(2018年3月15日引用)

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