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オペレーターの人手不足は現場より深刻?現職オペレーターからみた現状とは

入院時、誰もがお世話になるナースコール。
看護師さんの「どうしました?」という声に安心した経験のある方も多いはずです。
そのコールシステムを在宅で実現したのが「随時訪問」です。
随時訪問では、「どうしました?」と応えるのは「オペレーター」です。
オペレーターの仕事や、問題点を見ていくことにしましょう。

オペレーターという仕事をご存じですか?

オペレーターは2012年4月に開始された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(以下、定期巡回型)という訪問介護のサービスに登場します。
定期巡回型では24時間対応のホームヘルプサービスが特徴です。
さらに定期の訪問以外に、利用者さんが必要なときに訪問を要請できる「随時訪問」という仕組みも設定されています。
救急車を呼ぶほどではないけれど、家族だけでは対応が難しい場面で随時訪問は力を発揮します。
たとえば次のような場面でコールされることが多くあります。
「転んでしまって起き上がれなくなってしまった」
「大量の排泄で、家族だけではどうしたら良いのか分からない」
利用者さんはご自宅に設置されたコールシステムを通じて支援要請を行います。
支援要請は、オペレーションセンターという部署が受け付けます。
オペレーションセンターで、支援要請を受け付ける担当者が「オペレーター」なのです。
支援要請を受けたオペレーターは、現場のヘルパーに訪問を要請したり、緊急を要すると判断すれば救急隊へ連絡を行います。
転倒などのトラブルに随時対応することで、骨折など重大な事故を早期発見し適切な対応を行うことが可能となるのです。
こうした利用者さんと現場をつなぐ役割を担っているオペレーターですが、その存在があまり知られていません。
介護職の間でも「なにをする人?」と質問されることが少なくありません。
そのせいか、オペレーターを募集しても思うように人が集まらないといいます。
そこにはどんな理由が考えられるのでしょうか。

オペレーターという仕事の特殊性

オペレーターは介護保険制度で設置が義務付けられています。
誰でも担当できるわけではなく、資格が定められています。
オペレーターを担当するのは、以下の資格を取得していることが条件となります。

  • ●医師
  • ●保健師
  • ●看護師
  • ●准看護師
  • ●社会福祉士
  • ●介護福祉士
  • ●介護支援専門員

勤務形態は、随時訪問が24時間対応ですから、オペレーターも24時間体制で勤務しなければなりません。
そのため夜勤が必須となります。
また随時訪問は定期巡回型の訪問介護以外にも、「夜間対応型訪問介護」というサービスでも提供されています。
各サービスごとの違いをオペレーターは知っていなければなりません。
実際のコール場面で利用者さんから制度についてのご質問を受ける場合もあるからです。
そのため、オペレーターを担当するスタッフはこれらのサービスに携わっていたか、研修を受けて勉強した人が担当することを求められます。
現状で、こうした所持資格の問題や、サービスへの知識を持つことがハードルとなってオペレーターが増えにくい状況が生まれてしまっています。

ヘルパーがオペレーターを兼務する場合も

介護保険では、午後6時から翌8時までの夜間帯はヘルパーがオペレーターを兼務できることになっています。
コールの件数や、そもそも随時訪問の利用契約をされている利用者さんが少ない事業所ではオペレーターを独立しておく必要性があまりありません。
オペレーターとヘルパーを兼務させることで、現場の人員を減らすことがないため効率的な方法といえます。
しかし、オペレーターとの兼務は当然デメリットもあります。
利用者さんのお宅での活動中にコールが入る場合です。
コールをされても、きちんと自分の今の状態を伝えられる人ばかりではありません。
スタッフの呼び掛けに無言の場合も少なくありません。
そんな場合は、折り返しご自宅に連絡を取り直すなどの対応が必要となってきます。
それらの対応を訪問中に行うとなると、当然ケアは中断せざるをえません。
逆に訪問を優先させるため、コールされた利用者さんにお待ちいただき連絡を取り直すことになる場合もあるでしょう。
もしコールが緊急を要するものであった場合、とても危険です。
オペレーターとの兼務は効率的である一方、訪問もコール対応も中途半端になってしまう恐れがあります。
さらにコールが頻回に入ると、兼務しているヘルパーはその都度、動きを止めなければなりません。
そのため訪問スケジュールそのものに狂いが生じてしまいます。
利用者さんのなかにはコールされた短い時間だけでもスタッフが傾聴することで気持ちが落ち着き、不安にならずに済む方もいます。
そんなちょっとした気遣いも難しくなってしまうでしょう。
事業所の状況にもよりますが、コールの数が多くなり現場のケアに影響が出始めたのなら、兼任ではなく専任でオペレーターを置くべきといえるでしょう。

縁の下の力持ちオペレーターへの理解を広げるには

オペレーターは資格要件や、専門的な知識が必要といったことがハードルになり、なかなかなり手が少ないといえます。
対策として、午後6時から翌朝8時までの夜間帯は一つのオペレーションセンターが複数の事業所のコールをまとめて対応するということがなされています。
個々の事業所ごとに1ないし2人のオペレーターを置いて対応するよりも人員を効率的に運用できます。
随時訪問を実施している事業所の管理者から「現場スタッフの人手不足も深刻。
オペレーターの不足も分かっているが、現場優先の人員補充となってしまう」という声を聞きます。
筆者の周りにいるヘルパーにオペレーターという仕事のイメージを尋ねると、「電話で一人で対応するので責任が重い」「自分の知識や経験では対応できない」という意見が聞かれました。
夜間、コールの内容に自分一人の判断で対応をしなければならないプレッシャーはかなりのものです。
現場経験のあるスタッフほど、緊急時の判断の遅れが大きな問題になることを経験しているので、二の足を踏んでしまうのでしょう。
しかし利用者さんにとって心強いサービスである随時訪問の利用者を増やしていくためには、オペレーターの存在は不可欠です。
随時訪問を充実させていくためには、要となるオペレーターを支えていくことが大事になります。
オペレーターを孤独にしないような支援体制をつくっていくことが必要でしょう。
その一つは「コールの対応に迷ったときに相談できる相手をつくる」ことです。
管理者など上司でもよいでしょうし、現場のヘルパーに相談してみるのも心強いものです。
定期巡回型なら訪問看護との連携が強化されているので、看護師に相談することもよいでしょう。
利用者さんからコールを受けたオペレーターがその場でなにもかも判断しないという決まりをつくることも有効です。
判断に迷ったら、まずはヘルパーに利用者さん宅を訪問してもらい現状を確認してもらいます。
現場を確認した上で、必要に応じて訪問看護や、訪問医、救急隊につないでいくことを業務の流れとして決めてしまうのです。
そうすることでオペレーター一人に掛かるプレッシャーを軽減し、さらに多くの専門職が迅速に関われるようにしていきます。
新たにオペレーターとなる人を育てることも重要です。
たとえば介護福祉士を持っているヘルパーにオペレーター業務の研修を行い、オペレーター同席で実際の業務を繰り返し体験してもらうのです。
そのことでオペレーターとしてコールを処理するという仕事への不安を少なくすることも可能になるでしょう。
こうした研修を繰り返すうちに、オペレーターという仕事への理解が進み「挑戦してみよう」というヘルパーが増えることにつながっていくのです。

まとめ

新しい体験への不安は大きいものです。
一度体験すれば「自分もできる」と思えても、その体験に尻込みしてしまうことが少なくありません。
管理者側の人間は、初めてのチャレンジをしやすいように研修の機会を多くしたり、独り立ちを急がないなど配慮が必要でしょう。
人手不足で、忙しい中でも「初めのうちはうまくできなくて当たり前」という安心感を持たせてあげることが大事なのではないでしょうか。

参考:
定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び 夜間対応型訪問介護(厚生労働省)(2018年3月15日引用)
夜間対応型訪問看護(WAM NET 独立行政法人 福祉医療機構)(2018年3月15日引用)

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