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リハビリ職の新人教育には必須!介護施設でも症例検討会を有効活用しよう

2018年度は総勢16000人以上のリハビリ職が誕生しており、卒後すぐに介護施設での勤務となる新人もいます。
しかし、介護施設は配置されているリハビリ職が少ない傾向にあり、教育方法に悩むこともあります。
本記事では、新人教育に症例検討会を活用する際のポイントについて解説します。

新人セラピストにおける3つの特徴

ここではまず、新人セラピストに多い3つの特徴について解説します。

●医学的な知識や治療テクニック以外の知識が乏しい

ほかの知識が無いというと語弊がありますが、学生時代は基礎医学や基本的な運動療法、動作分析などの専門知識・技術の習得に時間を費やします。
また、学生時代の臨床実習においても、自分が評価したことを説明するために医学的なレポートを書く場合が多いです。
しかし介護保険分野では、対象者の身体機能や動作能力をはじめ、生活環境や利用できる資源などの要因が複雑に絡み合います
リハビリ=治療という概念で学んできたセラピストにとっては、これらの要因をうまくつなげることが難しいため、最初のうちは苦労することになるでしょう。

●生活のなかでのゴール設定が難しい

たとえば、骨折後のリハビリにおいて「脚の筋力を強くして歩行を獲得する」という目標設定は間違っていません。
しかし、歩行を獲得することがゴールではなく、その対象者が自分らしい生活を送ることが最終目標になります。
福祉用具を使用するのか、どの程度の距離を歩くのか、本人や家族が望んでいる目標であるのかなど、現実はもっと複雑です。
骨折=歩行の再獲得という短絡的な目標ではなく、その方の生活に沿った目標設定ができるように指導しなければいけません。

●多職種での会話に慣れていない

職種や経験によって、使用する専門用語やリハビリに対する考え方などは異なります。
たとえば、看護師さんや介護士さんとの会話中に、専門用語を用いて動作パターンの説明を行っても、こちらの意図は伝わらないでしょう。
また、カンファレンスなど多職種が集まる場面においては、自分になにが求められているかを理解して発言することが大切です。
医療・介護現場では、ほかの職種にわかりやすく伝えること、場面に応じた情報を提供できることを学ぶ必要があります。

これら3つの問題点を解決する手段として、症例検討会は非常に有効であるといえるでしょう。

症例検討会が新人教育に有効な理由とは?

ここでは、なぜ新人教育に症例検討会が有効なのかについて解説します。

●対象者の全体像を考えるために有効

症例検討会では、普段よりも客観的に対象者を見ることが重要になります。
発表前には、以下のチェックポイントを押さえて指導するとよいでしょう。

  • ◯身体機能・動作能力の評価だけになっていないか
  • ◯個人因子や環境因子が考えられているか
  • ◯目標設定が現実的であるか
  • ◯目標設定に必要な情報は得られているか
  • ◯本人や家族が望むサービスが提供できているか

新人セラピストは、症例検討会を通じて、一つひとつの知識をどうつなげていくかを学ぶことができます。

●かかわる職種や情報について考える機会になる

学生時代は医療的なリハビリに対する学習が中心であり、関係する職種は医師・看護師・ほかのリハビリ職が多いです。
介護保険分野においては、介護職員・同施設の看護師や訪問看護師・ケアマネジャー・医療機関スタッフ・かかりつけ医など、多くのスタッフがかかわります。
誰からどんな情報を得ることができるかなど、新人のうちはわからないことが多いでしょう。
必要な情報を収集することは介護保険分野においても必須のスキルであり、多職種での症例検討会を通じてそのノウハウを指導することは有用です。

●医療と介護におけるリハビリの違いを知ることができる

治療と機能改善を主目的として目標やプログラムを考えることは大切ですが、介護現場では環境面も含めて広い視野で対象者を捉える必要があります
多職種カンファレンスの際に、以下のような会話例を耳にしたことがないでしょうか。

  • セラピスト「◯◯の機能が弱いから、△△のリハビリを毎日継続しましょう」
  • ケアマネジャー「サービス限度額を超えるので毎日は無理です。介護スタッフや家族でもできるリハビリはありませんか?」

医療機関を基準に考えると、毎日のリハビリが当たり前で、リハビリ=セラピストという固定観念があると上記のような会話になります。
症例検討会を通じて、誰が・いつ・どれだけ実施できるのかなど資源に関する問題や、セラピスト=他職への指導者としてのあり方などを学ぶことが大切です。

これらの理由から、症例検討会は新人教育において有効であるといえますが、開催に当たりいくつかのポイントをおさえておくことが重要です。

関連記事:リハビリの違い。病院とデイサービスのリハビリは目的や内容がこんなに違う。

症例検討会を行う上でのポイント

症例検討会を行う際に押さえておきたいポイントを以下に紹介します。

●必ず多職種参加で行う

介護施設での症例検討会は、多職種の参加が可能なことが大きなメリットです。
リハビリ職からは身体機能やADLについて、介護職からは普段実施できるリハビリや家族
指導の内容についてなど、多種多様な質問があるでしょう。
そのなかで、自分が気づけていなかったことや、ほかの職種が望んでいることなどを理解できます。
介護施設での症例検討会は、新人にとって身体機能やADLの評価がすべてではないということに気づく機会であるといえます。

●司会進行役はベテランが行う

各施設ごとに研修会を担当しているスタッフがいるかもしれませんが、司会進行は必ず上席のスタッフが行うようにしましょう。
同じリハビリ職である必要はありませんが、サービス担当者会議やほかのカンファレンスなどに参加した経験のあるスタッフが望ましいです。
その理由は、発表内容をうまくディスカッションできるように、会をファシリテートする必要があるからです。
発表後の流れについて、以下に例を挙げてみます。

  1. 1)発表内容から検討課題を確認する
  2. 2)質疑応答を行う
  3. 3)他職の意見を聞く
  4. 4)検討内容を総括する
  5. 5)取り組むべき課題を明示する

発表している新人は緊張しているため、フロアからの質問内容を理解できていない場合や、適切な回答になっていないことがあります。
その際は、質問者の意見を要約して端的に伝えることや、回答内容を補足して質問者に伝えるなどの調整が重要です。
そして、検討した内容と今後の課題を整理し、明日から具体的になにをするべきかを明確にすることが大切です。

症例検討会は新人セラピストの登竜門

介護施設におけるリハビリでは、機能障害の改善やADLの獲得だけではなく、環境要因や個人要因などを含めた広い視野が必要です。
また、リハビリには多くの職種が関与しているため、直接的な治療をはじめ他職種への指導も重要になります。
症例検討会をうまく活用することで、新人セラピストは情報収集や目標設定など必要なスキルを学ぶことができるでしょう。
介護施設での新人教育にお悩みの方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

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