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  • yukie

    公開日: 2018年12月26日

介護現場の深刻な人手不足の実態とは?経営に役立つ対策を解説!

介護現場では、深刻な人手不足に直面している施設も少なくありません。
少子高齢化によって、今後はますます労働者人口が減少していくため、厳しい状況に拍車がかかることが予想されます。
今回は、介護業界における人手不足の実態や人材の確保に役立つヒントについてお伝えしていきます。

介護業界における人手不足の実態や人材の確保に役立つヒント

介護業界で人手不足が加速… その実態とは?

介護業界で人手不足が加速… その実態とは?

ひと昔前は「日本は高齢化しているため、介護の資格を取れば職に困らない」と考える方も多かったですが、状況は大きく変わっています。
介護の現場においては人手不足が急速に進み、深刻な問題となっていますが、まずはその実態についてみていきましょう。

●介護事業所の3分の2で働き手が不足

介護の仕事は「きつい」「汚い」「危険」という「3K」のイメージが強くなっています。
介護労働安定センターが実施した介護労働実態調査(2017年度)では、「介護職員が大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した割合が66.6%という結果になっています。
まさに3分の2の事業所で、介護に携わる人材が不足している状況が浮かび上がったことになります。
理由として離職率が高いことを挙げた事業所は18.4%でしたが、採用が困難であると回答した事業所は88.5%に達しているのです。
もちろん離職を防ぐための取り組みも必要ですが、それ以前に介護の仕事をする新たな人材を確保できないことがネックになっています。

●法人の規模によっては人材を融通できる

介護施設で働く従業員に「施設の介護士は足りていますか?」と尋ねると、多くの人から「NO」という答えが返ってきます。
しかし、複数の施設を運営している法人の場合、施設間で職員の配置を検討する余地があり、人手不足に対応できているケースもあります。
ただ、人手が足りない状況には変わりなく、負担が蓄積され、心身に不調をきたしてしまうスタッフも多いといいます。

人手不足で経営が傾くケースも!介護施設の待機者数とベッドの空き

人手不足で経営が傾くケースも!介護施設の待機者数とベッドの空き

介護業界における人手不足の問題は、利用者さんに質の高いサービスを提供することはおろか、経営においても打撃となる可能性があります
人手不足の状態で利用者さんを受け入れられない状況になれば、当然のことながら収益も下がってしまいます。
介護施設における待機者数やベッドの空き状況について、状況を知っておきましょう。

●介護施設の入所待機者は多い

介護が必要な高齢者が増加している今、特別養護老人ホーム(以下、特養)では、入居待機者が非常に多くなっています。
2015年4月から、特養に新規入所できる条件が要介護3以上になったことを受け、それ以前とくらべると待機者の数は減少しました。
また、サービス付き高齢者向け住宅が急増したことからも、利用者さんがそちらに流れたという側面はあります。
しかし、厚生労働省が2017年に発表した特養の入居申込者の数は29.5万人であり、依然として多くの方が待機している状況になっています。

●ベッドの空きが目立つ介護施設も…

人手不足が理由で、利用者さんの受け入れを制限せざるをえない状況になり、ベッドの空きがある施設も増えています。
厚生労働省から委託されたシンクタンクの調査(2017年)で、ベッドに空きのある特養が13.5%であることが示されています。
待機者が多い状況のなか、1割を超える施設でベッドの空きがあることが実情なのです。
人手不足という問題のために赤字経営になる例もあり、利用者さんがサービスを受けられない状況にもつながる可能性があります。

介護施設で離職を防ぎ、ヒトを確保!働きやすさの改善に向けて

人手不足を解消するために施設側が取り組んでいくべきことも多いです。
賃金の低さ、労働時間の長さ、休暇の取りにくさに対して、業務の効率化や働きやすい環境の整備を考えていくことが大切です。
業務を効率化して働きやすさを考えることで、離職の防止につながるのはもちろん、新たに人材を集める上でも「魅力のある施設」と感じてもらいやすいです。

●まずは経営者の意識改革を!

まずは経営者の意識改革を!

経営者のなかには、「人材がいなくなれば利用者さんの受け入れに制限が生じるのに、仕事をやめるなんて…」といったように、離職する従業員に責任を転嫁する人もいます。
多くの経営者は、人材確保や離職防止の難しさを痛感しており、すでに何らかの対策を始めている方もいます。
そして、業務効率化や働きやすさの改善の必要性については、「もうわかっている」「ウチはすでに工夫して取り組んでいる」と感じている方も多いでしょう。
しかし、それは経営者の主観にすぎず、現場では従業員が消耗していることもあります。
なにか一つ取り組みを行って終わりではなく、それが本当によい循環をもたらしたのか、従業員の主観として変わった点はあるのか、責任を持って見極める必要があります。
「ウチは大丈夫」と過信しないよう、意識を変えることは非常に大切です。
現場の声を第一に、必要があれば従業員からのヒアリングも行い、客観的に状況を把握していきましょう。

●業務から「ムダ」を見つけ出して効率化

業務から「ムダ」を見つけ出して効率化

介護業務の負担を効率化するために、普段行う一連の業務を観察し、「ムダ」を洗い出す方法があります。
児玉ら(参考文献<1>)は研究として介護士の仕事を観察したところ、対象となった施設では、どの利用者さんのオムツ交換などのケアが終わったのか把握しにくい状況になっていることがわかりました。
第三者が客観的に見て効率が悪いと判断できることはあるものなので、ムダをじっくり分析し、改善してみてください。

●介護記録の負担を軽減する

介護記録の負担を軽減する

医師の場合は診察をしながらカルテを書きますが、介護記録はどうしても手が空いたときにまとめて書くという場合が多いです。
担当が増えると記録にかかる時間も増え、残業にもつながってしまうため、この業務をいかに効率化できるかは、一つの重要なポイントになります。
手書きをやめ、パソコン入力にする施設も増えていますが、そのほうが時短になるのであれば積極的に検討しましょう。
また、「食事」「トラブル」など場面別によく使うテンプレートを用意しておき、それを参考にしながらスムーズに書けるようにすることも方法です。

●休暇や休憩を取りやすい環境に

休暇や休憩を取りやすい環境に

介護現場では食事介助をしながら自分の食事も済ませ、昼休みのうちに記録を書くという人も多く、実質的な休憩時間が少ないことが多いです。
一般的なサラリーマンが昼に45分〜1時間程度の休憩を取れることにくらべても、休憩時間が少ないと「賃金に見合わない」という発想につながっていきます
こうした状況では不満が募るため、まずは経営者が問題意識を持つことが大切です。
休暇の取りやすさを実現するためにも、配置する人員の数を見直す、交代要員を確保するなど、できる対策はあります。
先述した業務のムダを探す取り組みによって、少しでも休憩時間を捻出できるように努めることも方法です。

施設の取り組みをPRして採用につなげよう

要介護認定される高齢者が右肩上がりで増えている今、人材の採用や離職防止に向けた取り組みは必要不可欠です。
外国人労働者の採用や介護ロボットの導入なども検討され、介護業界のあり方は変わろうとしてきていますが、独自にできる対策をすることも大切です。
業務効率化や働きやすさのために施設で行っている取り組みは、ホームページや求人広告にも記載し、人材を確保していきましょう。

参考:
参考文献<1>
児玉彩, 佐藤弘喜:介護施設における介護士の業務の観察調査. 日本デザイン学会 デザイン学研究:14-15, 2018.
介護労働安定センター 平成29年度「介護労働実態調査」の結果〜介護人材の不足感は4年連続増加〜.(2018年12月12日引用)
厚生労働省 特別養護老人ホームの入居申込者の状況.(2018年12月12日引用)
産経ニュース 入居待ち50万人なのに特養の1割「ベッドに空き」職員不足などで.(2018年12月12日引用)

  • yukie

    公開日: 2018年12月26日

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