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2019年度版!介護現場での外国人労働者の採用制度と活用方法を解説

介護現場の人材不足を解消する方法として、「外国人労働者の採用」が注目されています。
しかし、2017年度から毎年のように制度が変更・追加されて、なかなか採用に踏み切れない事業所も少なくないのではないでしょうか。
そこで、2019年4月より導入される新制度、外国人介護人材の採用制度の内容と制度の活用方法を解説します。

2019年4月より導入される新制度、外国人介護人材の採用制度の内容と制度の活用方法を解説

複雑な制度を整理!これまでの採用制度を紹介

2019年4月には在留資格に「特殊技能」が加わり、外国人の採用制度がより複雑になります。
まずは制度を理解するために、採用制度の違いをまとめます。

●経済連携協定(EPA)による受け入れ

経済連携協定(EPA)による受け入れ

インドネシア、フィリピン、ベトナムとのEPAに基づいて、介護福祉士の候補生を受け入れる制度で、2019年度で3500人を超える介護留学生が入国しています。
それぞれの国によって、要件が以下のように異なります。

インドネシア フィリピン ベトナム
要件 政府による介護士認定
または
看護学校(3年以上)卒業
4年制大学卒業後
政府による介護士認定
または
看護学校(4年)卒業
看護学校(3年以上)
過程修了
日本語能力 6カ月の研修
N5以上
6カ月の研修
N5以上
12カ月の研修
N3以上

これらの要件を満たし入国した後は、受け入れ施設で最長4年間就労・研修ができます。
その後、介護福祉士の国家試験を受験して合格すれば、在留資格「介護」の制度を活用して、就労を継続することが可能です。
不合格の場合は原則として帰国をしなければなりません。
ほかの制度より古く実績があるため、信頼性やEPAによる候補生を対象にして教育支援が充実していますが、試験不合格による帰国や教育や研修に対する費用負担が大きいというデメリットがあります。
ちなみに、要件の中にある日本語能力の基準は「以下の日本語能力試験認定」の目安に基づいています。

レベル 目安
N1 幅広い場面で使われる日本語が理解できる(新聞やニュースなども理解可能)
N2 日常的な場面だけでなく、より幅広い場面での日本語がある程度理解できる
(文章の理解や日常会話が普通の早さでできる)
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解ができる(日常会話ならほぼ理解可能)
N4 基本的な日本語なら理解できる(ゆっくりなら会話可能)
N5 基本的な日本語をある程度理解できる(挨拶や定型文なら理解できる)

●外国人技能実習制度による受け入れ

外国人技能実習制度による受け入れ

外国人を日本の企業や農家などで受け入れて、習得した技術を母国の発展に役立ててもらう制度です。
2017年11月に受け入れられる技能に「介護」が加わり、最長5年間の就労が可能となりました。
入国時にN4程度の日本語能力が必要で、1年後にはN3程度の日本語を習得することが要件です。
また、毎年実習を受講して在留期間の更新をする必要があり、3年目以降は実技試験の合格などの要件が必要になります。
EPAによる受け入れ同様に、技術移転を目的とした制度で、長期的な人材確保を目的とした制度ではありません。

●在留資格「介護」による受け入れ

在留資格「介護」による受け入れ

先に紹介した制度とは異なり、長期的な人材確保を目的とした制度です。
日本で学ぶ留学生やN2以上の高い日本語能力をもつ外国人を留学生として受け入れ、介護福祉士の養成校に2年間通うことで在留資格「介護」を取得できます。
在留資格「介護」は5年ごとに継続して更新が可能なため、在留期間の制限がありません。
介護福祉士の資格取得に関しては、養成施設の卒業年により以下のような違いがあります。

2017〜2021年度の卒業者 2022年度以降の卒業者
国家試験の必要性 免除 受験が必要
資格継続の要件 卒業後5年間介護実務に従事
または
国家試験に合格
介護福祉士の資格で
更新可能

留学生として施設に受け入れる場合、施設での業務はアルバイトとして1週間に28時間以内と決められており、それ以外の時間は養成校での資格取得に向けた学習が必要となります。
また、2018年12月の閣議決定では、これまで養成施設の修了しか想定されていなかった在留資格「介護」を、介護施設などで就労や研修を経て、国家試験の受験ができる「実務経験ルート」も認められる方針となりました。

2019年4月から始まる新たな制度「在留資格:特定技能」とは?

紹介したような制度が目まぐるしく追加されるなかで、2019年4月から新たな制度である在留資格「特定技能」の中に介護が含まれました。
そこで、この新制度の内容や活用方法を紹介します。

●特定技能は即戦力を採用する唯一の方法

特定技能として資格を得るためには、以下の要件が必要です。

目安となる基準
介護の専門性 ・介護技能評価試験で基準点の獲得
(2019年4月から国内外で開始されるCBT形式の試験)
・介護福祉士養成施設の修了
日本語のレベル ・日本語能力判定テストで基準点の獲得
(2019年4月から国内外で開始されるCBT形式の試験)
・日本語能力試験でN4以上の判定
・介護日本語評価試験で基準点の獲得
・介護福祉士養成施設の修了

これらの試験を合格した場合に、日本における介護業務に関して、一定の専門性や技術をもっており、即戦力として就労できる人材として認められます。
ほかの制度では入国後に一定の経験や資格の取得が必要なのに対して、特定技能による入国は即戦力として活躍できる人材を確保できるという特徴があります。
さらに、技能実習「介護」において、第2号技能実習を修了した実習生は、上記の資格と同等の能力が認められ、特定技能の資格を取得することができます。

●他制度との組み合わせた活用方法

特定技能での就労期間は5年間であり、この資格だけで施設で働き続けることはできません。
しかし、ほかの制度と組み合わせることで、特定技能の資格をより幅広く活用できます。

  • ○特定技能で入国後に介護福祉士試験を合格して在留資格「介護」で継続して就労
  • ○技能実習制度による第2号技能実習修了者を特定技能に移行して継続して就労

以上のように特定技能をほかの制度と組み合わせることで、より多くの外国人が就労できる仕組みになっています。
政府も省令の改正を進めており、特定技能により約6万人の外国人の介護人材確保を目標としています。

施設の規模や現状に合わせた制度の活用方法

新たな採用制度である在留資格「特定技能」を除いて、制度を活用しても育成や人員として配置できるまで期間が必要なため魅力を感じにくいのではないでしょうか。
そこで、実際に採用をするにあたってどのように制度を活用したらいいのか解説します。

●即戦力が必要な事業所は特定技能やEPAがおすすめ

事業所として即戦力が必要な場合は、新しい制度である特定技能で採用がおすすめです。
また、EPAは日本で留学の実績が多い東南アジア3カ国で、看護学校での修了実績や日本語レベルの制限があるので、介護現場での必要な基本的な知識を持っている人材確保におすすめです。
ただし、2年間の養成施設への通学や3年間の就労後の介護福祉士国家試験合格が必要になりますので、長く働いてもらうためには、資金的な援助や学習の補助をしていく必要があります。

●大規模事業所で人材育成ノウハウがあれば長期的なビジョンで制度を活用

人材育成のノウハウに自信があったり、資金的な援助が可能であったりする場合は、技能実習制度や在留資格「介護」で留学生を採用して、じっくり人材を育成する方法も可能です。
在留資格「特定技能」の新設により、技能実習生からの移行も可能になりました。
また、省令の改正により、実務経験で国家試験の受験資格が得られるため、日本人学生などと同様に、実務経験や実務者研修を受講して、介護福祉士の試験に合格すれば、長期的な人材確保につながります。

●小規模事業所での無理な外国人の採用は負担増加

現状の制度で外国人の留学生を採用するためには、資金や教育制度の充実が必要なため、小規模事業所には負担が大きくなります。
現状では介護老人保健施設など大規模な施設を有する法人が多くの留学生を採用しています。
そのため、介護福祉士の資格を取得して、長期的な就労が可能になる外国人労働者が増加していくのを待って、採用を考えることをオススメします。

制度を正しく理解して施設にあった外国人の介護人材を採用しよう

政府は2025年までに55万人の介護人材を確保する必要があるとしており、そのための方策として、外国人の採用を積極的に進めています。
そのため、年々制度も更新されており、採用をスムーズにするためには制度の正確な理解が必要です。
自分の施設の現状(採用における人材・資金的な余裕)を考えながら、長期的な視点で外国人の採用を検討しましょう。

参考:
法務省 介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針.(2019年3月14日引用)
厚生労働省 介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について.(2019年3月14日引用)

  • 執筆者

    蔵本雄二

  • 整形外科クリニックや介護保険施設などで理学療法として従事してきました。
    現在は県下でも有名な地域包括ケアシステムを実践している法人で理学療法士として勤務しています。
    そのため、施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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