介護・高齢者施設が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

医療従事者向け 介護プラス

高齢者の半数以上が在宅で最期を迎えたい!在宅看取りをするには?

住み慣れた自宅で最期を迎えたいと思っている人が多いですが、在宅で最期を迎えるには家族の負担が大きく、医療面での不安も大きいです。
そのため、日本では入院して最期を迎える人が9割に上ります。
ここでは、在宅での看取りの現状や課題、家族として心がけることなどを取り上げますので参考にしていただければと思います。

「自宅で最期を迎えたい」家族ができること。

日本の看取りの現状と課題

日本の看取りの現状と課題

最期の時を住み慣れた自宅で迎えたいと思うのは自然なことです。
人生の最期の時を家族と一緒に過ごしたいと思う反面、一方で負担をかけたくないと考える方がほとんどです。

●高齢者や医療福祉従事者の意識調査より

厚生労働省の「終末期医療に関する調査」では、国民の意識の中で「終末期を自宅でできる限り療養したい」と思う人が2008年では63.3%を占めました。
医療福祉従事者の中では在宅看取りができると答えた人が、医師が26%、看護師37%、介護士19%と、一般の人の6%よりかなり上回っています。

●看取りの現状

看取りの現状

看取りは、2015年に介護保険法の改正により、在宅医療や介護サービスで支えていけるように制度として施行されました。
2015年の在宅支援病院の数は、従来型が622件、連携強化型が307件、強化型が145件で、在宅療養支援診療所は従来型が11,624件、連携強化型が2,593件、強化型が345件です。
年々、在宅看取りを行う病院や診療所が増えてはいても全体の約5%ほどしかありません。
訪問看護ステーションは、2000年~2015年までの5年間で約12,000件から17,000件と1.4倍に増えており、在宅看取りの連携体制が常に整っている訪問看護ステーションが半数以上を占めています。

●在宅看取りの支援内容

利用者に対する在宅看取り支援の流れは、次のように行われます。

1)在宅看取りの開始

在宅看取りの開始

医師あるいは訪問看護師が本人や家族に看取りを開始することを説明し、訪問診療や往診、訪問看護において加算がとられるため自己負担が増えることも説明します。

2)医師からの在宅医療についての説明

医師からの在宅医療についての説明

病状が悪化した場合、看取りを本人と家族が望んでいるなら、延命治療は本人の苦痛が増すことであることを医師が訪問看護師の立ち合いのもとに説明し、家族からの理解を得ることが必要です。

3)介護保険の申請と居宅介護支援専門員(ケアマネジャー)の決定

介護保険の申請と居宅介護支援専門員(ケアマネジャー)の決定

介護保険を受給していないなら、早めに申請してケアに入れる環境を整えます。

4)看取りケアは多職種の連携で行われる

看取りケアは多職種の連携で行われる

本人や家族の意思により、看取りケアが始まります。
医療保険の対象者には、訪問診療や往診、訪問看護が医療的な療養を行います。
介護保険の対象者には、居宅介護支援専門員が計画を立てて、訪問診療や訪問看護、訪問介護などが受けられるようにそれぞれの事業所に連絡します。

5)家族への支援も行われる

家族への支援も行われる

家族の負担を配慮し、専門職種へ相談しやすい状況を整えます。
さらに、本人や家族の意思や希望を確認し、対応します。

6)最期を迎える

家族より、連絡を受けると、医師が死亡確認を行います。
看護士が死後硬直が始まる前にエンゼルケア(清拭やガーゼによるつめものなど)を行います。

●看取りの課題

1)看取り介護ができる体制が整っている訪問介護事業所が少ない

訪問介護サービス事業所では、看取り介護ができる体制が整っている事業所が少なく、訪問介護員は医療的なケアができないため、看取りケアを断る事業所もあります。

2)24時間の医療チーム体制が取りにくい

訪問看護ステーションは24時間体制のところが増えていますが、訪問診療や訪問介護ステーションでは24時間体制が整っている病院や事業所は少なく、24時間の医療チーム体制がとりにくいという課題があります。

3)緩和ケアなどの高度な医療技術が必要である

終末期の緩和ケアには、モルヒネの投与や中心静脈栄養、皮下輸液、輸血などの高度な医療技術が必要です。
そのため、質の高い在宅医療や訪問看護を確保しなくてはなりません。

4)家族の介護負担が大きい

終末期は家族による利用者への介護は欠かせません。
本人の様子を一番よくみているのは家族なので、介護力がなければ在宅での看取りが難しいと判断されます。

家族が在宅で看取るために心がけること

家族が在宅で看取るためには介護負担も大きいため、ある程度の覚悟と介護力が必要です。
次のような在宅看取りのポイントを心がけておくといいでしょう。

居宅介護支援専門員(ケアマネージャー)に本人と家族の意思を伝える

居宅介護支援専門員に、在宅で看取ることが本人と家族の意思であることを伝えておくことが必要です。
そして、在宅での看取り体制が整えられるかどうかも話し合っておいたほうがいいでしょう。

24時間体制の医療と看護、介護を受け入れる

終末期ケアの状況によって、24時間体制でケアに入る場合もあります。
夜もケアが行われることに抵抗がある家族の方もおられますが、終末期ケアでは24時間体制で家に訪問することを受け入れる覚悟がいります。
さらに、訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問歯科、薬剤師など多職種が自宅を訪問することもあらかじめ認識しておきましょう。

家族が専門職と協力しながら終末期の介護ができる

一番長く一緒にいられるのは家族です。
家族が痰の吸引などの医療的なことを担う場合もあります。
そのため、介護力があることも在宅で看取るために必要なことです。

最期を安らかに迎えられる雰囲気にする

本人が好きな音楽をかけたり、本を読んだり、写真を見せたりなど、思い出になるようなときを過ごして、穏やかな雰囲気にしてあげましょう。

終末期患者のターミナルケアの診療費用や介護費用を準備する

終末期のケアには加算が算定されるため、診療費や介護費用が高くなります。
診療費用には次の加算がつけられます。

1)訪問診療(対象者は末期の悪性腫瘍とはかぎらない)

 在宅ターミナルケア加算(例:在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院の病床がある場合は6,000点、病床がない場合は5,000点)
   死亡日および死亡日前の14日以内に2回以上の往診または訪問診療を行う
 看取り加算(3,000点)
  往診や訪問診療で在宅で患者を看取った場合
 死亡診断加算(200点)
  死亡診断した場合に加算が算定される

2)訪問看護(対象者は末期の悪性腫瘍とはかぎらない)

 在宅ターミナルケア加算(2,000点)        
 訪問看護ターミナルケア療養費(20,000点)
  死亡日および死亡日前の14日以内に2回以上の訪問看護・支援を実施し、ターミナルケアの支援体制などを家族に説明した上でターミナルケアを行う

介護保険の場合は次の加算がつけられます。
 ターミナルケア加算(2,000点)
  死亡日および死亡日前の14日以内に2回以上の訪問看護・支援を実施し、ターミナルケアの支援体制などを家族に説明した上でターミナルケアを行う。

ターミナル加算を算定する場合に、医療保険と介護保険の両方を使っている場合は、最後に使用した保険制度で算定されます。

3)居宅介護支援(末期の悪性腫瘍のみ)

 ターミナルケアマネジメント加算(400点)
  24時間連絡できる体制と居宅介護支援できる体制をとり、死亡日および死亡日前14日以内に2回以上利用者の居宅を訪問し、心身の状況を記録して主治医や居宅サービス事業所に連絡する

ただし、訪問診療と訪問看護は厚生労働大臣の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえた話し合いや関係者と連携をとらなくてはいけないとされています。

本人と意思疎通ができる間に終末期について話し合っておくことが大切

高齢の家族を抱えていると、最期を迎える場所について悩みます。
本人の意思と家族の介護負担などを考えて、意思疎通ができる間にどうするかを話し合っておくことが大切です。
本人と家族が在宅看取りを強く望む場合は、医師や在宅介護支援専門員に相談して、看取り体制を整えることができます。
看取りに関する次の記事も参考になさってください。

「家族のような絆で最期を看取る 東京都青梅市介護老人福祉施設成蹊園」
「介護職も知っておきたい、エビデンスに基づくエンゼルケア~ご遺体に必要なスキンケア」

参考:
厚生労働省 看取り 参考資料.(2019年6月6日引用)
在宅での看取りに関する手引き.(2019年6月6日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)