高齢者施設の入居者とコミュニケーションを円滑にするには!こんな話題には気をつけたい
業務が忙しいと入居者と話をする時間がないと感じることがありませんか。
話をすることと、コミュニケーションを取ることは意味が少し違います。
信頼関係を築く円滑なコミュニケーションの取り方や、トラブルになりやすい話題をありがちな場面から紹介します。
円滑なコミュニケーションとは
高齢者施設での業務の流れの中で、入居者とのコミュニケーションを取れないと感じることがありませんか。
コミュニケーションとは、ただ話をするだけでなく、入居者の気持ちをくみ取り意思の疎通を図ることです。
円滑なコミュニケーションは、病気やつらいことがあっても安心して施設での生活を送れる手段になります。
施設で介護を受けている高齢者は立場が弱くなりがちですが、看護職員や介護職員などと対等の立場です。
職員が一方的に話すのではなく、入居者の話をよく傾聴し、身振り手振りの非言語コミュニケーションも交えて話すことが大切です。
ただ、認知症の高齢者の方は、意思の疎通が取りにくく対応が難しいです。
何度も同じことを尋ねたり、話がかみ合わなかったりすることで、コミュニケーションが取れないと感じる場合もあるでしょう。
こちらの意図が理解できずに、誤解を生む結果になることもあります。
大きな声や荒げた声だと、怒られているような錯覚に陥るので、拒否反応が出てしまいます。
そんなときでも、冷静な声で優しく話すことが入居者の不安感を和らげます。
たとえ話が妄想だとしても、否定するのではなく、話に合わせて相づちを打つことも円滑なコミュニケーションに大切で信頼関係を築きます。
耳が聞こえにくい方とのコミュニケーションでは、聞こえる声の大きさで話をしましょう。また、こちらの話に適当に相づちだけを打っているのか、それとも話を理解しているのかを見分けることも必要です。
入居者とトラブルになりやすい話題
入居者とコミュニケーションを取ることで信頼関係を築けますが、話題によってはトラブルに発展することもあります。
次の話題になったときは注意してコミュニケーションを取りましょう。
●ほかの入居者の話題
入居者が、ほかの入居者がいないときに、その人の悪口を言ってきたときは同調しないようにしましょう。
同調すると、悪口を本人が言っていたにもかかわらず、「あの職員があなたの悪口を言っていたよ」と言って、逆に職員のほうが悪口を言われる結果になりかねません。
ほかの入居者に関しての相談や苦情は、話の内容をケアマネジャーや生活相談員にそのまま伝えましょう。
●ほかの施設職員の話題
部屋を訪室したときに、ほかの職員の態度を不満に思って話をするかもしれません。
内容によっては、直接その職員へ言う必要があるかもしれませんが、ほかの職員の話には深く関与しないようにします。
関与したり同調したりすれば、その職員との関係が気まずくなる可能性があります。
●ほかの入居者に物を盗られたという話題
高齢になると、物盗られ妄想の方が多いです。
コップや服などを盗んだと言われて、職員が盗ったとターゲットになる場合や入居者がターゲットになることがあります。
物盗られ妄想がある方には、衣類の準備などは入居者がいない時間に行い、見ているところでは触らないように気をつけましょう。
場面ごとのコミュニケーションの取り方
ストレートなコミュニケーションだと、誤解を招いたり気分を害されたりする結果になる場合があります。
施設内で遭遇しやすい場面でのコミュニケーションの取り方を紹介します。
●コールで同じことを頻回に尋ねる入居者とのコミュニケーション
認知症になると、同じことを繰り返し尋ねられます。
そのような人は不安感が強いためにコールを鳴らすので、コールで対応できることなら同じことでも繰り返して伝えます。
コールの内容によって、訪室する必要のあることと必要でないことを見極めます。
たとえば、「ちょっと来て」と呼ばれた場合は、内容を確認してからすぐに訪室する必要がないなら「今、ほかの入居者が嘔吐されたのできれいにして後10分で行きますからお待ちくださいね」とか「10時に伺いますのでもう少しお待ちください」と時間を指定します。
すると、不安感がある入居者は安心します。
時間がくるまではコール対応のみでほかの入居者の対応ができます。
●物を盗られたと言われている入居者とのコミュニケーション
物を盗られたと言われているなら、「そんなことは誰もしません」と否定すると疑念を抱かせたままになります。
盗られたと言われているものを「探しましょう」と言って、探せる方なら見守りしながら入居者に探していただきます。
自分で探すことが難しいなら、一緒にタンスやベッドの布団の中などを探しましょう。
●入浴をしないと言われている入居者とのコミュニケーション
健康であるにもかかわらず、入浴が嫌いで「お風呂には入らない」と言われている入居者に、「お風呂に行きましょう」と言っても動かれません。
「下の階で用事があるので行きましょう」とか「用事が済んだらお茶にしましょう」と話すと動かれます。
「お風呂に入らないと臭い」とか「体が汚い」という否定的な言葉は、プライドを傷つけられたと感じ心を閉ざしてしまいます。
コミュニケーションを取るときは、入居者が気分を害する否定的な言葉を用いないことが鉄則です。
●レクリエーション参加を促すコミュニケーション
レクリエーションを嫌がる入居者を無理に参加させるのではなく、参加したいという気持ちになってから参加してもらうことがベストです。
人と一緒にいることが嫌な入居者がレクリエーションに参加することは、勇気がいり苦痛の時間になります。
「今日は歌を歌うので参加しませんか」と尋ねて、少しずつ参加を促し無理強いはしません。
自分が得意な歌やものづくりだと参加する可能性があります。
参加するごとに、「歌がお上手ですね。聞きほれました」「絵を描くのがうまいですね」など、得意分野をほめて「また聞きたいです。」「次回も○○さんの絵を見せてくださいね」と次回の参加を促すような言葉がけをします。
円滑なコミュニケーションで入居者と良い関係を築こう
コミュニケーションは、入居者との信頼関係を築く上でとても大切です。
入居者の話に傾聴し、身振りも交えて話をしましょう。
気をつけたいのはほかの入居者や職員の悪口で、そのときは同調しないことです。
ほかの場面では、否定的なコミュニケーションはせず、良さをほめて行動に促せるような声掛けが大切です。
円滑なコミュニケーションを取ることで、入居者と信頼関係を築きましょう。