訪問介護で軽度新型コロナウイルス感染者宅を訪問する!ケアの方法や注意したい点
新型コロナウイルスの流行が続くなかでも、訪問介護員は待っている利用者の家へ足を運び、サービスを提供します。
利用者が軽度の感染者なら自宅待機になり、家族とも隔離した生活をしなければなりません。
そんなときに、訪問介護員は重要な役割を果たします。
今回は、自宅待機の感染した利用者や、感染した家族の濃厚接触者である利用者宅への訪問介護の仕方をまとめているので参考になさってください。
目次
新型コロナ感染者や濃厚接触者の利用者宅に入る前に整える必要な物品
まず、新型コロナ感染者や濃厚接触者の利用者宅に訪問介護で入る前に、新型コロナの感染予防に必要なものをそろえておきましょう。
準備するもの | 備考 | |
---|---|---|
1 | 不織布の使い捨てマスク2枚 | 訪問前につけるマスクと訪問後につけるマスク |
2 | ガウン式使い捨て防護用エプロン2枚 または使い捨て防護服2枚 |
1枚は予備 |
3 | 防護キャップ2枚 (ケア後、髪を触らないなら不要) |
1枚は予備(シャワーキャップで代用可) |
4 | フェイスシールド1枚 | ケア後はアルコール綿で拭き取ること |
5 | 手袋4組 | 排泄物処理用に予備が必要 |
6 | 使い捨て足カバー1足分 | |
7 | 45Lのビニール袋数枚 | 廃棄物とカバンを入れるもの |
8 | 消毒用アルコール | 除菌ウエットティッシュが便利 |
9 | 殺菌用ハンドウォッシュ | |
10 | チャック付きビニール袋 | フェイスシールド用 |
使い捨てエプロンやフェイスシールドなど、訪問介護事業所が準備するものもありますが、感染から身を守るものなので細かいものは自分で準備しましょう。
感染者や濃厚接触者の利用者宅での訪問介護の仕方
訪問宅では、感染者や濃厚接触者がいる家だと周囲に知られないように配慮しながら、ウイルスを持ち帰らないように細心の注意が必要です。
●ケア前に行うこと
- 1)インターホンやドアノブを周囲の目に触れないように除菌ウエットティッシュで拭き取り、インターホンを押す
- 2)玄関内でビニール袋の上にカバンを置いて、使い捨てエプロン、キャップ、二重にした手袋を身に着ける(手袋は袖口の内側に1枚、袖口の外側に1枚をしてウイルスがエプロンの袖口から中に入らないようにする)
- 3)フェイスシールドをする
- 4)玄関にケア後の使い捨てエプロンなどを入れるビニール袋を広げる
- 5)カバンを置いたビニール袋に入れ、使い捨てスリッパを履いて訪問宅に入る
●ケアの入り方
訪問宅に入ってから、まず窓を開けて利用者の居室の換気を行います。
利用者や居室にいる同居家族には、マスク着用をお願いします。
利用者のバイタルチェックを行い、37.5度以上の熱や異常があれば事業所へ連絡します。
状態をサービス責任者とこまめに連絡を取って、重症化するようならすぐに救急を依頼します。
1)掃除・洗濯の生活援助
掃除機をかけるときは排気口からウイルスが飛散するので、排気口を窓のほうに向けて行います。
テーブルやドアノブなど、手が頻繁に触れる部分は除菌ウエットティッシュで拭きます。
除菌ウエットティッシュに添加されているアルコールは揮発性のため、ドアノブなどの金属はから拭きをして拭き取る必要がありませんが、ワックスがついた床は化学反応を起こしてしまい、床の光沢を損なってしまう可能性がありますので注意が必要です。
衣類やシーツ、カバーなどの洗濯は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)につけてから洗濯するか、洗濯してから熱湯に10分つけて消毒します。
漂白剤のキャップ1杯で25mLをはかれるので、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は0.05%になるように、洗濯物の量と洗濯機に表示される水量を見て洗濯槽に投入しましょう。
2)調理の生活援助
掃除した後に調理をするときは、手袋を新しいものに取り換え、使用済みの手袋は玄関のビニール袋に廃棄します。
まな板や包丁などの調理器具を熱湯消毒し、調理は手早く行い、時間をかけないようにしましょう。
食器は使い捨ての紙皿や紙コップを使うのが望ましいですが、いつも使っている食器を使うなら自動食器洗い機で洗うか、洗剤で丁寧に洗い、流水で十分にすすぎます。
3)おむつ交換やトイレ介助の身体介護
新型コロナウイルスが含まれた排泄物から感染する恐れがあるので、おむつ交換やトイレ介助をするときは、必ず使い捨てエプロンなどをしましょう。
トイレに排泄物を流すときは、ウイルスが飛ばないようにトイレのふたを閉めます。
おむつ交換の後、掃除などのケアを続けて行うときは、手袋や使い捨てエプロンを新しいものと交換し、使ったものは玄関に広げたビニール袋にウイルスが飛ばないよう静かに入れます。
手袋や使い捨てエプロンの使いまわしは避けましょう。
4)食事介助や口腔ケアの身体介護
利用者が座る食卓テーブルや椅子はアルコールで拭いて除菌します。
食事の前に利用者の手洗いをするか、利用者の手指をアルコールで消毒します。
食事介助は利用者の顔の真正面に座ることは避けて、飛沫を避けやすい場所(斜め後ろ)で介助します。
唾液が服につかないように、利用者の襟元にハンカチやエプロンをつけます。
利用者がむせたり咳をしたりするときには、ハンカチやエプロンで口の前を覆い、唾液が飛ばないように注意します。
コミュニケーションは身振りや手振りなど、会話を減らし利用者の唾が飛ばない工夫をしましょう。
5)入浴介助の仕方
新型コロナに感染している場合は、身体清拭での対応に変わります。
衣類や使ったタオルの洗濯は生活援助の方法と同様ですが、乾燥機を利用すると殺菌することができます。
利用者宅を出るときにすること
利用者にあいさつをして、居室を出ます。
玄関に広げたビニール袋に使用した使い捨てエプロンなどや、カバンを入れていたビニール袋も入れ、口をしっかりと縛ります。
感染ごみのビニール袋を持ち帰るか利用者宅で捨てるかは、各事業所のやり方に従いましょう。
持ち帰った(あるいは利用者宅で)ビニール袋は、二重にしてごみペールに入れ、自治体の燃えるごみに出します。
ごみの出し方は、下の環境省の「新型コロナウイルスなどの感染症対策のためのご家庭でのごみの捨て方」をご参考ください。
●使い捨てエプロンなどの脱衣の仕方
- 1)両手をアルコール消毒する
- 2)フェイスシールドのゴム部分を持ち、顔にシールド部分がつかないように外してアルコールで消毒し、持参したチャック付きビニール袋に入れる
- 3)両手をアルコールで再度消毒し、外側にはめている手袋を外して広げたビニール袋に入れる
- 4)両手をアルコール消毒し、使い捨てエプロンの結び目を外して、裏返しに脱いでビニール袋に入れる
- 5)キャップの頭頂部を持って外し、ビニール袋に入れる
- 6)両手をアルコール消毒する
- 7)足カバーを脱いでビニール袋に入れ靴を履く
- 8)マスクを外しビニール袋に入れ、カバンのビニール袋を外して入れる
- 9)ビニール袋の中の空気を静かに抜き、口をしっかりと縛ってから、感染物を入れたビニール袋を二重にして持ち帰る(あるいは利用者宅で破棄する)
時間があるなら、家に帰って全身にシャワーを浴び、着替えてから次の利用者宅を訪問することが望ましいです。
着替えた衣類はすぐに洗濯してウイルスを洗い流しましょう。
新型コロナ感染回避とウイルスを媒介しない対策を万全にしよう
訪問介護では自分の感染予防だけでなく、ウイルスを次の利用者宅へ持ち込まないよう細心の注意を払わなくてはなりません。
保健所の指示に従い、訪問する必要なケアかどうかの判断は、事業所やケアマネジャーに委ねられています。
訪問介護員は、利用者や家族への配慮をしながらウイルスを媒介しないように感染対策を万全にしましょう。
新型コロナウイルスに関する下記の記事もご覧ください。
介護施設での新型コロナウイルス感染対策!利用できる補助金・貸付事業まとめ
高齢者が新型コロナウイルスに感染したら…?予防法や対処をわかりやすく解説
高齢者施設で新型コロナウイルスの感染者がでたら?施設での緊急対策はこうする
参考:
環境省 新型コロナウイルスなどの感染症対策のためのご家庭でのごみの捨て方(2020年9月9日引用)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について(2020年9月9日引用)
厚生労働省 訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策!(2020年9月9日引用)
船橋市訪問介護事業者連絡会 新型コロナウイルス濃厚接触者等 訪問介護サービス対応マニュアル(2020年9月9日引用)
厚生労働省 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)(2020年9月9日引用)
関連情報:
リハビリ・介護施設の施設基準や診療報酬・介護報酬(2023年4月30日引用)