「介護士と距離がある」と感じる看護師ほど、積極的に介護士と会話すべき!
介護施設で働いていて、介護士の方との間に距離を感じたことはありませんか?
筆者も介護現場で働くにあたり、どうすればこの距離が縮まるのか悩んだものです。
しかし、実はこの距離感は看護師側のアプローチによって改善が期待できるのです!
今回は、介護士さんとの距離を改善したい看護師さんへ、そのヒントをご提案したいと思います!
目次
介護士と看護師の壁ができる原因は、「資格に対する認識の違いから」
介護士と看護師の間に壁ができる原因、それはいったい何なのでしょうか。
その原因の一つとして、「それぞれの資格に対する認識の違い」があります。
看護師として介護施設で働く方のなかには、介護士の資格は看護師よりも簡単にとれる、下の資格と考えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、これは大きな間違いです。
厚生労働省では、介護福祉士を
「専門的知識及び技術を持って、日常生活を営むのに支障があるものにつき、心身の状況に応じた介護を行い、その物及びその介護者に対して、介護に関する指導を行うことを業とするもの」
と定義しています。
介護福祉士は、介護系の学校に通うことで取得する方法のほかに、3年以上の実務経験または福祉系の高校を卒業し、国家試験に合格することで資格を取得することができる、いわば介護のスペシャリストです。
そもそも、看護師の仕事は「医師の補助」および「療養上のお世話」であり、介護についてはあくまでも介護士の方々の方が専門です。
それなのに、看護師という理由だけで介護福祉士を含めた介護士に対して、看護師よりも下の資格を持つ職員として接してしまえば、距離ができることは当然です。
職場の介護職員が全員介護福祉士の資格を取得しているわけではありませんが、介護士として働くにあたって、多くの方がこの介護福祉士を目指していることは事実です。
介護福祉士を含む介護士は、介護のスペシャリストである。
このことをよく踏まえたうえで、関係改善のためのヒントを探っていきます。
看護師が感じていることを、介護士も感じている
看護師として施設で働くなかで、「なんで介護士さんはここに気がついてくれないんだろう」と思ってしまうことはありませんか?
「看護師だったら当然なのに、介護士さんはそれすらわからないなんて」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これは同様に、介護士さん側も感じていることといえます。
たとえば、看護師が少ない時間帯に、多くの方のバイタル測定を行わなければならず、時間に追われて余裕がなかったとします。
そんななか、介護士さんが「この人のバイタル、測り終わりましたか?」と聞いてきたら、看護師のあなたはどう感じるでしょうか。
「なんでこの忙しいときにわざわざ指定するの?測った人から順にお風呂へ誘導すればいいじゃない!介護士は、看護師の忙しさをなにもわかってくれないんだから」と思ってしまいませんか?
しかし、実はこんなところでお互いの距離を広げてしまう小さな「誤解」が生まれているのです。
介護士さんは「この人は一番風呂が特にお好きな方だから、なるべく早くお風呂に入っていただけるよう、調整したい」という考えのもと指定しただけであって、決して看護師の状況を理解せずに聞いているわけではないのです。
このように、看護師と介護士それぞれが「自分はこういう考えのもとで仕事をしているのに」という個々の価値観に基づいて行動した結果、それが伝わらず不満が重なり、どんどん距離ができてしまうことが考えられるのです。
では、どうすればお互いの考えを共有し、尊重し合いながら、同じ職員として働くことができるのでしょうか。
「察してほしい」ではなく、自分からどんどん「伝えていく」ことが大切
先ほどの例をもう一度考えてみましょう。
看護師は、一人で多くの利用者さんのバイタルを測定しなくてはいけません。
一方、介護士は特定の利用者さんを早くお風呂に入れてあげたい、と考えています。
よって、介護士さんが看護師に声をかけたとき、こちらから自分の状況を「声に出して伝える」ことが大切です。
先ほどの例ならば、声をかけられたら、
「その方はまだ測れていません。今日は〇時までにあと〇人のバイタルを測定しなければいけないので立て込んでいます。次回からは、どなたを先にお風呂にご案内するのかを伝えてもらえますか?」
このように回答します。
そうすることで、介護士さんも
「そうか、看護師さんはそんなに仕事がたくさんあるのか。だったら次から早く声をかけよう」
というように、新たな対策を取ることができるのです。
この方法は、コミュニケーションの専門家が勧めている方法です。
同じ看護師資格を持つ者同士であっても、病院内におけるコミュニケーションは難しいものですが、資格が違いさらに担当している業務が違うならば、なおさらコミュニケーションの難易度は上がります。
察してくれるのを待つのではなく、自分からどんどん声にだして伝えていくことで、介護士の職員に対しても看護師の状況や仕事について理解を得ることができ、距離を縮めることも可能となるのです。
いつもの声掛けに、ひと言プラスしてみよう
自分から気持ちや状況を伝えることと同時に実行したいのが、「声掛けにひと言プラスすること」です。
たとえばあいさつのときには、あいさつ以外にもうひと言、言葉をプラスします。
「おはようございます。今日は寒いですが、体調はいかがですか?」
「こんにちは!あれ?髪形変えました?とても似合っていますよ!」
このように、普段の会話のなかに業務以外のひと言をプラスすることで、相手との距離をより縮めることができるのです。
このひと言が会話を生むきっかけとなり、お互いが自分の気持ちを「伝え合う」ことで、距離をどんどん縮めることができるのです。
まとめ
筆者自身、何回あいさつをしても良い反応がなく、「距離がある」と感じていた介護職の方がいました。
その方に対し、大雪の日に「おはようございます!今日は寒いですね。お足元に気をつけてください」と声をかけたところ、「寒いですね。あなたも体調に気をつけて」と声をかけてもらうことができ、それ以降は良好なコミュニケーションが取れるようになりました。
あなたもぜひ、自分から気持ちを伝え、プラスひと言を心がけてみてくださいね!
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参考:
厚生労働省 ページ4:介護福祉士の概要について
下枝三知与:たった一言で評価アップ!医療現場の「おもてなし」会話術:秀和システム:東京:2017