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生活期リハビリテーションはやりがいがあるの?現役理学療法士が魅力を紹介

生活期では急性期や回復期にくらべて、利用者さんの身体機能の回復度合いが少なく、やりがいがあるのか不安に思われる方も多いかもしれません。
しかし、生活期はほかの病期にはない魅力もたくさんあり、非常にやりがいがあります。
今回は生活期で働く経験を踏まえて、生活期リハビリテーション(以下生活期リハビリ)の魅力をご紹介します。

来週退院か…これからどうしよう

利用者さんの生活に密着した個別性の高い関わりができる

利用者さんの生活に密着した個別性の高い関わりができる

生活期リハビリの一番の魅力は利用者さんの生活に密着しながらアプローチができる点です。
具体例を交えながら詳しく説明します。

●実際に生活している現場でのアプローチができる

急性期や回復期でも生活場面を想定したアプローチを実施します。
しかし、リアルタイムに生活している現場でリハビリをしたり、その場面を詳しく知った上でのリハビリができたりするのが生活期の魅力です。
野球で例えるならば、病院でのリハビリはキャンプやオープン戦といったシーズンに入る前のシミュレーションの場です。
一方、在宅でのリハビリはまさに本番真っただ中ということになります。
これは施設で生活している利用者さんにとっても同じです。
施設が実際に生活している場であるならば、そこでの環境や介護スタッフの状況を把握してアプローチします。
今まさに利用者さんが生活する上で困っていること、やりたいことに直に関われることは、難しさもありますが、非常にやりがいを感じます。

●個別性の高い関わりができる

急性期や回復期にくらべて生活期では利用者さん自身の能力はもちろんICFでいう「個人因子」や「環境因子」の影響を強く受けます。
そのため一人ひとりの生活する状況に合わせたオーダーメードの関わりができるというやりがいがあります。

以下の二つの例を見れば一目瞭然です。

  1. 1.自宅はバリアフリー完備で同居している娘の介護が常に受けられるAさん
  2. 2.バリアフリー住宅ではなく一人暮らしかつ山間部に住むBさん
  3. 3.バリアフリー住宅ではないが介護サービスが豊富な地域で一人暮らしをするCさん

同じ心身機能やADL能力を持った利用者さんでも、上記のように生活する環境や同居する家族構成、家族の介護力などが異なれば、生活する現場で必要なアプローチは大きく異なってきます。
AさんにくらべBさんやCさんは一人暮らしでバリアフリー住宅ではないため、リハビリ専門職として在宅環境の調整やほかの介護サービスとの連携がより必要になるかもしれません。
また、BさんはCさんと違い山間部で受けられる介護サービスが限られるといった点で、より多くのサポートを必要とするかもしれません。
このように、個々のケースに合わせた支援をすることができるという魅力が生活期リハビリにはあります。

●生活行為や社会参加に関するアプローチができる

生活期リハビリでは家事や趣味といった生活行為に直接アプローチすることができます。
また、「近所の集まりに参加したい」、「習い事を続けたい」といった社会参加に対して関わることもできます。
目標とする生活行為や社会参加に関する情報を把握した上で必要なリハビリをするだけではなく、実際の現場に直接赴いて、必要な動作や作業の練習をするといったアプローチは生活期リハビリならではの醍醐味です。

●福祉用具や家屋環境へのアプローチができる

回復期などからの退院後に福祉用具の選定や家屋環境の調整をすることは少なくないでしょう。
しかし、実際に利用者さんが自宅に帰られた後で生じる問題に対するアプローチは生活期リハビリでしかできません。
入院などをするような病気や障害がなくても利用者さんの心身機能やADL、生活環境は日々変化します。
その変化に柔軟かつ迅速に対応していくことが必要なので大変なこともありますが、早めに適切な対応ができて利用者さんの生活の質を高めることができたときは、この上ない喜びにつながります。

利用者さんの一生に深く関わることができる

利用者さんの一生に深く関わることができる

生活期リハビリでもリハビリでの目標を達成すればリハビリは終了になります。
しかし、生活期リハビリでは一人の利用者さんの一生に深く、長く関わることも少なくありません。
筆者も生活期リハビリの現場で10年以上働いていますが、在宅生活をするために訪問リハビリをされていた利用者さんの看取り支援まで行った経験もあります。
この時、利用者さんが元気で在宅で好きなことをしていたことを直接目で見ていたからこそ、看取り支援で利用者さんの気持ちに寄り添うことができたと感じます。
急性期のように関わる患者さんが目まぐるしく変わっていく現場ではなく、一人の患者さんに深くじっくりと関わりを持ちたいという希望がある方には、生活期リハビリはピッタリなはずです。

医療・介護それぞれの専門職と協働ができる

医療・介護それぞれの専門職と協働ができる

生活期リハビリでは医師や歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などといった医療スタッフはもちろん介護福祉士や介護支援専門員、福祉用具専門相談員といった介護の専門職との連携も密に行います。
どのような協働が魅力に感じるか具体例を交えながらお伝えします。

●生活を深く知る介護福祉士との連携

利用者さんにもっとも身近な立場で支援する介護福祉士と連携することで、性格や生活歴といったパーソナル部分をより深く知ることができる場合も多いです。
そうすれば、リハビリをする場合にコミュニケーションが円滑になったり、目標設定がより具体的になったりします。
最近では生活機能向上連携加算の算定が可能となり、訪問介護や通所介護などさまざまな現場で介護福祉士と連携することが評価されています。

※生活機能向上連携加算については「【生活機能向上連携加算】通所介護の算定でわかったメリット・デメリット」で紹介しています。

●生活をより良くする介護支援専門員との連携

リハビリ専門職が行ったアセスメントやアプローチを関わったときだけの効果にしないためには介護支援専門員との密な連携が必須です。
介護支援専門員にしっかり専門職として見解やアプローチの結果を伝え、ほかに支援しているスタッフや事業所とのパイプ役となってもらうことで、リハビリ職の関わりに相乗効果を得ることができます。
以上のように生活リハビリで多くの専門職と連携して協働することは、利用者さんの生活をより良くしていくことにつながるため、とてもやりがいや楽しさを感じることができます。
また、リハビリ専門職にはない知識や幅広い視点を身につけることにもつながります。

一人ひとりの生活を身近で支える生活期リハビリは魅力がいっぱい

生活期リハビリは利用者さんの生活に深く関わり、生きがいや楽しみのある生活を継続するために支援をします。
そのために、一人ひとりの利用者さんに密着した関わりを、さまざまな専門職と協働しながら行える魅力があります。
もちろん医療や介護に関して幅広い知識や技術を必要としますし、多くの人と常に関わるためコミュニケーションスキルも高くないと難しいこともあります。
しかし、それを補ってあまりあるだけの魅力が生活期にはあると感じますので、興味のある方は生活期への就労も検討してみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。

    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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