看護師からケアマネへのキャリアアップで働き方はどう変わる?働き方事例を紹介
介護施設などで勤務する看護師のなかには、キャリアアップのために、ケアマネジャーの資格を取得する方がいます。
資格取得後これから働く人にとってはどのような働き方があるか気になるでしょう。
この記事では、看護師がケアマネを取得後、どのような働き方があるのかを解説します。
目次
看護師からケアマネになる人はどのくらい?
厚生労働省によると、第23回・2020年度のケアマネジャー受験者数は46,415人。合格者は8,200人で、合格率は17.7%でした。
2020年のケアマネ合格者のうち、看護師は1,389人で全体の16.9%。
ケアマネを受験するためには医師・看護師・薬剤師・介護士・作業療法士などの医療福祉職での実務経験が必要です。
介護士経験を生かしてケアマネを受験する方が最も多いのですが、看護師は医療従事者のなかで最も高い合格率になっています。
これは、看護師が病院などで勤務するなかでも、マネジメントの重要性を身近に感じるからだともいえます。
看護師がケアマネになると
1. 労働条件
看護師がその資格を生かして常勤・正社員で働くとなると夜勤やオンコールは必須です。
休日も土日祝日・正月・お盆の時期を選べず、家族と休みが合わせにくくなります。
また、残業がなしということはほとんどない状態でしょう。
こうした理由から、常勤ではなく、パートを選ぶ看護師は少なくありません。
しかし、ケアマネは夜勤がなく、土日祝日・正月は休日となることがほとんどです。
事業所にもよりますが、事務仕事の時間を調整すれば、残業時間はなしか、自分でコントロールできる場合も多いでしょう。
給与面に関しては事業所により幅があります。
看護師時代よりも下がったという方もいますが、同じぐらいという方も。
企業規模の大きな会社では給料が安定しており、看護師と同等の基本給を出している事業所もあります。
2. 仕事内容
看護師は、病棟では移乗や入浴介助などで肉体的な負担が多く、外来でも立ち仕事が中心の業務内容です。
年齢を重ねるにつれて肉体的なつらさが重く感じてくる方が多いのです。
一方、ケアマネは、利用者さんの介護計画の立案・会議など事務的な仕事が多い職種です。
身体的な負担の差は明らかでしょう。
ただ、身体的には楽になっても、仕事内容に物足りなさを感じるケアマネもおり、一度ケアマネを経験後に看護師に戻る方もいます。
ケアマネの資格を取ることで自分の適性を知ることもできるのです。
ケアマネの働き方➀認定調査員として働く
社会福祉協議会などに就職し、認定調査員として働く方法があります。
認定調査は、介護認定の過程に必要な仕事です。
市町村から依頼され、対象者のもとに出向き、ADLやコミュニケーション能力などを確認します。
利用者さんがどのような日常生活を送っているのかを自分の目で確認し、記録します。
ケアマネの働き方②介護保険施設で働く
特別養護老人ホーム・訪問介護事業所などで、主にケアプラン作成などを担当します。
施設を利用する方の介護計画を統括し、主治医やほかの職員との連携を図ります。
サービス担当者会議の開催・利用者さんとのコミュニケーションなど、一人ひとりの利用者さんと関わる実感が持てる職種です。
ケアマネの働き方③主任介護専門員として働く
ケアマネとしての実務経験が5年以上あり、研修を受講すれば主任介護支援専門員になれます。
地域包括支援センターには、主任介護支援専門員の配置義務があり、役割としては医療と福祉の橋渡しを行います。
また、地域のケアマネや介護職員に向けて講習などを行い、教育をする立場にあります。
社会福祉協議会の正職員となることもできます。
ケアマネの働き方④資格を持ったまま看護師として働く
ケアマネとして仕事を続けていくうちに、パソコンでの事務仕事に物足りなさを感じて看護師に戻る方もいます。
就職時にケアマネの資格を持っていると伝えておくと、新規の認定調査の患者さんがいる場合などに、ほかのスタッフから相談されることがあります。
病院も高齢者が多く来院されますから、介護について知識を持っていることで、自分が患者さんの役にたてる実感が持てます。
ただ残念なことですが、病院就職時にケアマネの資格を持っていると伝えても特に資格手当などはないことがほとんどです。
合うあわないがあるが仕事の可能性が広がる
看護師がケアマネをとるとどのような働き方があるかについてお伝えしました。
病院が忙しく、患者さんや利用者さんとじっくり向き合いたい方、夜勤をせずに常勤になりたい方には向いている資格といえます。
高齢社会が進むにつれてニーズは増えていく資格ですので、社会に求められる姿に興味がある方は受験をするのもおすすめです。
参考:
内閣府 主任介護支援専門員の概要(2021年7月26日引用)
厚生労働省 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント(2021年7月26日引用)
厚生労働省 第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(2021年7月26日引用)
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執筆者
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小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。
保有資格:看護師・介護支援専門員