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介護現場での燃え尽きを防ぐ~離職を減らすマネジメント

介護人材が不足しているといわれており、これからの高齢化に向けて大きな問題となっています。
新しい介護人材が獲得できないなかで、離職が進んでしまい、現場に人材不足感が漂っている事業所も少なくありません。
ここでは介護職員の離職理由に多い「燃え尽き」を防ぐ方法について述べていきます。

介護職員は負担感が多くあり疲弊している

介護職員の離職率は少しずつ改善していますが、それでも2016年では16.7%を記録しています。
これは全産業平均である11.4%とくらべると、高いことがわかると思います。
離職率が高い理由はさまざまですが、まずは参考までに介護労働安定センターの調査結果を見てみたいと思います。
調査では介護の仕事に対する不満として、「人手が足りない」「仕事内容のわりに賃金が低い」「有給休暇が取りにくい」「身体的負担が大きい」が上位となっています。
ちなみに介護の仕事を選んだ理由は「働きがいのある仕事だと思ったから」が圧倒的な一位となっています。
働きがいがある、人の役に立ちたいと思って始めた仕事であっても、予想外に多い負担がネックになっている様子が、不満内容からわかるのではないでしょうか。
このデータを読み解くと、単純に給料が低いとか仕事が大変だからという理由が不満になっているわけではないということがわかります。
こうした不満に運営側が気づかず、放置している状態こそが「負担感」であり、職員の離職につながるといえるでしょう。

燃え尽きパターンに多い理由~多忙すぎて利用者さんに関わる時間がない

介護職員から、「業務が多忙すぎて利用者さんに関わる時間がない」という声を聞くことは少なくありません。
介護職を選んだ理由のなかで一番多いものは「働きがいのある仕事だと思ったから」でしたが、採用面接などで話をしてみると「お年寄りが好きだから」という理由を聞くことが多くあります。
実際に面接のなかで、そんな求職者の志望理由を聞いた管理者も少なくないでしょう。
介護事業所には、利用者さんと関わることを強く望んで入職してくる職員が多くいます。
介護サービスの資料やホームページを見ると、利用者さんと楽しそうに関わる職員の姿などが載っており、これらを見て入職を決意する職員もいるでしょう。
しかしいざ仕事を始めてみると、利用者さんと関わる時間よりも、大量の雑務に費やす時間の方が長く、その業務量にがく然として燃え尽きてしまう人が少なくないのです。
これは、介護サービス事業所が掲げている理念や目的と、現場の実情が違いすぎるからこそ生まれる「ギャップ」だといえます。
先ほど、介護職員の仕事に対する不満を挙げましたが、これらはすべて雑務による負担の多さが原因だといえます。
つまり「介護」の仕事自体にギャップが生じたわけではなく、それ以外の業務に比重が高く設定されていることにがく然とした結果だといえるでしょう。
ここで挙げられている負担感は、「利用者さんのために働きたい」という職員たちからのメッセージであると受け止める必要があるように思います。
介護事業所の仕事内容は多岐に渡り、利用者さんの生活を支援するためには欠かせない雑務が多いことも事実です。
しかし現場からすると、利用者さんに直結しない業務をこなすことに、意義を見いだせない職員が多いことも事実でしょう。
「何のためにこの仕事をしているのだろう」
「誰のためにこの仕事をしているのだろう」
そんな思いが介護職員を燃え尽きさせてしまい、結果的に離職へと導いてしまうのだと考えられるのです。

燃え尽きないために必要な考え方~問題解決力

介護職員が燃え尽きないようにするには、管理者やリーダーが先導して、問題解決能力を身につける必要があります。
介護現場には多くの利用者さんが生活しており、日々その状況は変化しています。
今行っている業務や支援内容においても、状況にそぐわないことがでてくるでしょう。
そんななかでは、現場だけで解決できないような問題も起きてくるので、管理者がトップダウンで業務改善を行わねばならないこともあります。
また現場の意見を聴取しながら、一番いい改善方法を模索していくことも必要になります。
ここでなにもせずに放置しているような現場であるならば、職員たちは「いっても無駄」「どうせ改善されない」などあきらめてしまい、管理者にとってせっかくの改善のチャンスをつぶしてしまうことになるのです。

もちろん運営側がこんな状態では、利用者さんに対しても良いケアを行うことはできません。
問題点をすべて完璧にクリアすることは難しいかもしれませんが、少しでもいい方向に持っていくことは可能だと思います。
そのためには、日々のサービスのなかからその問題点を見つけ、共有する必要があるといえます。
一番いい方法は日々の記録をしっかりと確認することです。
問題が発生すると記録が残り、もしその問題が繰り返し記録されているようなら、その問題については解決すべき最優先課題であると認識できるでしょう。
どんなにささいなことでも記録することを周知し、その記録は必ず現場職員全員が確認するようにします。
そして具体的な課題の抽出については、委員会活動や研修などにおいてシミュレーションを行います。
簡単な事例検討などからスタートして、現場で応用できるようにしていきます。

今現場でなにが起こっているのか~現場を把握する能力の必要性

特に現場のリーダーや管理者は、現場でなにが起こっているのか、その課題をいち早く見つけることが必要になります。
問題がある現場では、職員たちは常に強い緊張感を強いられていることを理解しなくてはいけません。
現場職員はストレスを抱えながら業務についていますので、そのままだと燃え尽きてしまう可能性があります。
この状況をいち早く察知し、迅速に行動できる能力があれば、速やかな問題解決につながり、現場の負担感や疲弊感も最小限に抑えることができます。

職員たちからの信頼を得ることにもつながるでしょう。
そのためには、管理者や現場のリーダーがしっかりと現場を把握できるようにしておかねばなりません。
そして管理者は、現場のリスクマネジメント術についても、必ず持ち合わせておく必要があるといえるでしょう。

現場で問題が起きたときにどうするか?という「ダメージコントロール」が適切にできると、問題が起きないようにするにはどうしたらいいのかという「リスクコントロール」につながります。
過去に起きた事例を法則化していくと、必ずリスク分散ができるようになるものです。
そのためには、やはり現場の記録が肝要であるといえます。
そこから問題を発見し、解決する糸口を見つけることができるのです。

まとめ

職員の離職を防ぐためには、利用者さんに直接関われる仕事ができるように、業務改善を繰り返し行わねばなりません。
管理者が現場に目を向けることで、職員たちに「改善される現場」という期待感が生まれ、モチベーションアップにもつながっていくのです。

それが介護職員の最大の不満である「負担感」を減らすことになるでしょう。
本来の「介護職」を業務とし、職員たちが生き生きと働けるように、管理者は早期の課題の抽出と解決に取り組む、これこそが離職を減らすマネジメントなのです。

参考:
公益財団法人 介護労働安定センター 2016年度(平成28年度)介護労働実態調査結果(2018年2月2日引用)
厚生労働省 2016年(平成28年)雇用動向調査結果の概況(2018年2月2日引用)

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