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介護職員が離職原因である夜勤の負担!夜勤業務のマネジメントで負担軽減

介護職員の業務の中で、心身に負担がかかるものといえば「夜勤業務」があります。
夜勤業務により生活リズムが乱れ、体調を崩す恐れがあるのです。
夜勤業務のつらさが離職にもつながりますから、必ず業務のマネジメントを行わねばなりません。
夜勤業務の現状と取り組むべき課題についてみていきたいと思います。

夜勤業務のマネジメントの必要性

介護職員の夜勤業務は、1労働日夜勤もしくは2労働日夜勤という交代勤務によって行われています。
いずれにしても夜勤というものは、睡魔と闘いながら行っているのは間違いありません。
また夜勤に配置されている介護職員は日勤とくらべるとはるかに少なく、1ユニットに1人、もしくは2ユニットに1人ということもあると思います。
夜勤だからかかる手間は少ないということはなく、場合によっては昼夜逆転の利用者の対応などに追われることもしばしばです。
夜間に転倒事故が発生するリスクも大きいことから、業務に対するストレスは相当大きくなるといえるでしょう。
さらに介護業界は人材不足に陥っています。
もしも人材不足を補うために夜勤者の1人に派遣職員などを活用している場合、正規の職員は夜勤中に頼ることができる職員がいないことになり、ストレスはさらに増大します。
夜勤に通常よりも多く入っている職員もいるでしょう。
業務中、仮眠も取らずに頑張り続けてしまう介護職員も少なくありません。
そのような業務を続けていると、夜勤者は疲弊してしまい、離職につながってしまうことは間違いありません。
「夜勤だから日中ほど手間のかかることはないだろう」
「夜勤手当を支給しているのだから大丈夫だろう」
「仮眠時間を設定しているから疲れは取れるだろう」
と軽く考えるのではなく、職員に対するマネジメントをしっかりと行わねばなりません。
もちろん法定で決められた健康診断の必要性はありますが、それ以外にも業務内容、業務のあり方などを常に点検しなければ、夜勤業務の実態をつかむことはできません。
知らない間に職員が疲弊して、退職してしまうことも現実に起きてしまうのです。
管理者としては、定期的に自ら夜勤業務に入るなどして、状態を確認することが必要でしょう。

夜勤業務できちんと仮眠を取れているか

私たちは朝起きて、夜眠るというサイクルで生活をしています。
これをサーカディアンリズムといいます。
交代勤務の介護職員であれば利用者が眠っている間に業務をしなければなりません。
それがサーカディアンリズムを崩してしまうことになり、大きなストレスになるといえます。
それでも夜勤は必要ですから、いかにこのストレスを軽減させるかが夜勤業務の要になってくるといえます。
夜勤業務では「仮眠時間」を設定しているところがほとんどだと思います。
仮眠時間にしっかりと仮眠が取れているかどうか確認する必要があります。
なかには、仮眠時間に日頃できない事務仕事をしたり、たまっている日勤の業務をしたりという職員がいます。
このようなことが日常的に起きていると、仮眠時間には「この業務をしなければならない」といった暗黙のルールができてしまいます。
仮眠時間には眠れない、あるいは寝だめをしてきたから大丈夫と、業務をしてしまう職員がいます。
しかしこれでは、夜勤中に常に緊張状態をつくり出してしまうことになり、さらにサーカディアンリズムを崩してしまうきっかけになってしまいます。
日本看護協会が夜勤者のために発表している資料によりますと、仮眠をうまく取ることで夜勤中の疲労感を軽減できるだけではなく、夜勤後の疲労感も軽減できるとしています。
仮に夜勤中に1時間仮眠を取ると、夜勤前に3時間寝だめをしたときに相当する疲労回復が得られるようです。
しっかりと睡眠を取ることがベストではありますが、横になってリラックスするだけでも効果があるといわれています。
もしも仮眠中の業務が暗に行われているのならば、すぐに是正しなければなりません。
夜勤途中で必ず連続した仮眠時間を確保できるように、業務改善を行う必要があります。
仮眠できるスペースがないという介護施設もありますが、きちんと整備しておかねばなりません。
「仮眠を取る」という体制づくりを行うことが大事なのです。

業務内容の改善の必要性

夜間の業務負担というものは、日勤における業務とくらべてもはるかに大きいものといえるでしょう。
そのために、夜勤で休憩が取れないような事態が起きたときには、すぐに何らかの対応を取ることが必要です。
たとえば、昼夜逆転している利用者の対応に追われるような場合です。
日中は穏やかでも夜間になると、認知症の周辺症状が出現するようなケースは少なくないでしょう。
夜間せん妄などが出やすい利用者もおられることでしょう。
どのような対応をしたらその利用者に夜間に落ち着いて過ごしていただくことができるのか、カンファレンスなどをすぐに行うようにしましょう。
すぐに効果を得られるかどうかは分かりませんが、トライ&エラーを繰り返していく中で、その利用者にとってベストな対応ができるようになりますし、またその対応が現場で働く職員の安心につながります。
夜勤者が言い出すまで待っているのではなく、先手を打って業務の改善に当たることが大事だといえるでしょう。

職員に対する睡眠指導も

夜勤中の仮眠の重要性についてお伝えしましたが、夜勤明けの過ごし方においてもサーカディアンリズムを意識して過ごす必要があります。
そのために、介護施設を運営している法人によっては、介護職員など夜勤をする職員に向けて、睡眠指導を行っているところがあります。
夜勤明けで眠るのはもったいないと、そのまま仮眠もなしに外出する職員もいます。
しかし、できる限り普段の生活においても、生活リズムを崩さないようにして過ごす必要があります。
介護職員は、夜勤だけではなく、普段の生活でもこのような調整や管理を自分自身で行うことが大切だといえるでしょう。
実際、夜勤を含めた業務によって体調を崩すリスクもありますから、このような取り組みを行うことで、夜勤の負担軽減はできるのではないでしょうか。

まとめ

夜勤を含めた勤務を行う介護職員は「いつまで夜勤ができるだろう」と不安を感じている人が少なくありません。
若い職員であっても、やはり夜眠らずに介護業務を行う中で心身に対する負担を感じているのです。
管理者が介護職員の負担を意識し、対応しなければ介護現場の疲弊はなくなるものではありません。
逆にいえば、夜勤への取り組みを行うことが、働きやすい職場にするきっかけになると思います。

参考:
日本看護協会 労働政策部 夜勤中の仮眠を取りましょう~夜勤とうまくつきあうために(2018年2月5日引用)

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