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鍼灸師が機能訓練指導員に!?リハビリ職の生き残りをかけた闘いが今始まる!

リハビリ専門職(PT・OT)にとって、機能訓練指導員にはり師・きゅう師(鍼灸師)が参入することは憂慮すべき点です。
2018年の介護報酬改定後も、リハビリ専門職が生き残っていくための重要なポイントについて解説します。

介護保険分野のリハビリは席の奪い合い!?

デイサービスを例に挙げると、個別機能訓練加算を算定するためには機能訓練指導員の配置が必要です。
ここでは、鍼灸師の参入によって現場にどのような変化が起こるのかを考えてみます。

1)個別機能訓練加算は約半分の施設で算定されている

厚生労働省が2016年に実施した「リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究」によると、デイサービス全体では47.4%の事業所が個別機能訓練加算を算定しています。
ひとつの特徴として、大規模の事業所では個別機能訓練加算ⅠとⅡの両方を算定している割合が高く、生活の改善を見据えた機能訓練を実施している傾向にあります。

2)デイサービスでリハビリ専門職が占める割合はわずか17.6%

2018年1月現在、機能訓練指導員として配置が可能な職種は、

  • ●看護師
  • ●理学療法士
  • ●作業療法士
  • ●言語聴覚士
  • ●柔道整復師
  • ●あん摩マッサージ指圧師

の6職種となっています。
また、前述の調査結果によると、配置されている職種の割合は、看護職員65.6%、理学療法士11.5%、作業療法士6.1%、柔道整復師10.7%とされています。
全体を通してリハビリ専門職の占める割合は17.6%であり、デイサービスでの機能訓練においては十分に活躍できていないことがわかります。

3)機能訓練の質が担保できるか!?

小規模のデイサービスではリハビリ専門職の占める割合は低く、今後の活躍が期待されるといえるでしょう。
しかし、2018年の介護報酬改定で鍼灸師が参入することにより、現場には以下の影響が予想されます。

  • ●小規模事業所でリハビリ職の雇用が減る
  • ●個別の評価ができずに集団体操が中心となる
  • ●生活能力の向上が図れず、将来的に介護報酬の減額につながる

これらの理由により、デイサービスにおける機能訓練の質が低下することが懸念されます。

デイサービスでは意外と少ない、PT・OTの機能訓練指導員

ここでは、筆者の経験をもとに、実際の現場でリハビリ専門職がどういう位置づけをされているかを述べたいと思います。

1)個別機能訓練加算=リハビリ特化型に警鐘!?

医療機関から患者さんが退院される際、リハビリ専門職は運動継続の必要性を提案することが多く、カンファレンスなどでその旨をお伝えします。
しかし、リハビリ専門職は個別の評価に基づいた運動継続を考えていますが、ケアマネジャーさんはあくまでもリハビリの継続という視点でとらえることが多いです。
事業所を選定する際は、機能訓練指導員が配置されている+個別機能訓練加算を取得していることがポイントになります。
筆者が実際に経験したことですが、退院時にデイサービスの利用を提案した際に、

筆者「この患者さん(Aさん)は個別のメニューを組んでリハビリができる事業所がいいですね」
ケアマネ「大丈夫ですよ、指導員が在籍して個別機能訓練加算を取得されていますので」

というやりとりがありました。
その後、その患者さんと会う機会があったので、その後の様子を聞いてみると、

筆者「どうですか?リハビリ頑張っておられますか?」
Aさん「指導員の方がおられて、ストレッチをしてもらったり、何台かのマシンを順番に回って運動しています」

と返答されました。
筆者としては、個別の評価や目標設定に基づいた運動メニューを望んでいたのですが、一般的にはリハビリ=運動と位置づけられていることに気づかされました。

2)リハビリ専門職の存在意義は!?

上記の例からもわかるように、医療機関のリハビリ職やケアマネジャーさんは、デイサービスの機能訓練指導員がどの資格を所有しているかまではわかりません。
今後、鍼灸師が機能訓練指導員として参入してくると、特に小規模のデイサービスではリハビリ専門職の占める割合が低下することが懸念されます。
リハビリテーションとは、本来は社会復帰を目指したアプローチの総称ですが、いまの介護分野では機能訓練に限局したものと見なされる傾向にあります。
リハビリ専門職は、自分たちの存在意義がおびやかされていることに危機感を持たなければいけません。

リハビリ専門職として生き残るための3つの方法!

ここでは、デイサービスにおける機能訓練の質を担保することと、リハビリ専門職の存在意義を見いだす3つの方法についてご紹介します。

1)身体機能と環境に対しての評価を定着させる!

リハビリ専門職の武器は決して機能訓練のみではなく、生活能力や社会参加を前提とした評価であるといえます。
前述した調査結果においても、デイサービスのリハビリ専門職は今後の日常生活動作(ADL)に関しての目標設定ができている傾向にあります。
自立支援・重度化防止が介護分野のテーマに掲げられるなか、そこに貢献できるのは間違いなくリハビリ専門職の評価技術であるといえます。
事業所での評価項目の検討改善効果の検証生活や参加を見据えた機能訓練の提供、これこそがリハビリ専門職に求められる役割です。

2)介助方法や運動メニューなどを指導する立場であれ!

個別の評価や機能訓練が重要なのは前項でも触れましたが、実際は医療機関とは違って介護現場では1対多数のサービス提供になることも多いです。
ここで重要となるのは、介護職やほかの機能訓練指導員の方に評価の有用性を伝えていくことです。
機能訓練をはじめ、歩行練習や入浴介助、送迎時の乗降動作など、リハビリ専門職の視点で捉えた内容が、事業所全体に浸透するかが重要となります。
自分たちの専門性に固執するのではなく、むしろ共有していくことで専門職の存在意義を確立することができます。

3)医療と介護のリハビリをつなぐ架け橋となれ!

筆者の経験上、医療保険から介護保険のリハビリに移行する旨を提案すると、なかには難色を示す患者さんがおられます。

「介護保険でのリハビリは椅子に座ってする体操だと聞いた」
「病院みたいに広いリハビリ室や道具もないから…」

など、介護保険でのリハビリは病院にくらべて劣るという意識が少なからずあるようです。
しかし、退院後も同じリハビリ内容が求められるのではなく、介護分野においては生活能力の向上と社会参加に焦点が当てられます。
事業所内で身体機能や生活環境の評価を盤石なものとして、介護分野でのリハビリの目的を発信することが私たちの使命ではないでしょうか。

まとめ

鍼灸師の参入によって、デイサービスにおける機能訓練の質が疑問視されると同時に、
リハビリ専門職の存在意義が問われています。
良質なサービスを提供することはもちろんですが、自分たちの職域を確立していくためにも、今後私たちには現場の指導者としての役割が求められます。
一致団結!そして改革という名の旗を振りかざし、リハビリ専門職の未来を切り開く闘いに身を投じていきましょう!

参考:
厚生労働省 リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究.(2018年1月20日引用)

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