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排泄・入浴も支援できる!?開発が進む介護ロボット技術で現場はどう変わるのか

介護の仕事は、肉体的にも精神的にもつらいと感じる方が多く、現場では人材の確保が難しくなるケースも少なくありません。
過去には外国人の受け入れなどさまざまな取り組みが進められてきましたが、「未来投資戦略2017」のなかでは「科学的介護」について触れられています。
開発が進む介護ロボットが導入されることで、現場にどのような影響があるのかを考えていきましょう。

これからの時代は「科学的介護」を活用する方向に

2017年に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、ロボット介護機器の開発について触れられています。
ロボットやセンサーを活用した科学的介護の導入にあたり、効果実証を進めていくという内容が記述されています。
テクノロジーは飛躍的に発展し続け、ロボットの導入はもはや夢の話ではなく、現実味を帯びてきているのです
政府はロボットやセンサーを導入することによって、次の2つの目的を達成しようとしています。

  • ●利用者の自立支援による生活の質の維持・向上
  • ●介護者の負担軽減

つまり、ロボットやセンサーの導入は、介護施設の従業員を含む介護者が使用するだけではなく、利用者本人の自立支援という目的でも進められているのです。
また、この戦略においては、現場のニーズをくみ取ることができるよう、コーディネーターを配置しながら進行されています。
介護に関わる方の負担が少なくなる日も、そう遠くないかもしれません。

排泄・入浴を支援できる介護用ロボットが登場!?

介護施設などでは、すでに夜間の起き上がりや立ち上がり、徘徊などを検知するために、さまざまなタイプのセンサーを導入していることでしょう。
センサーにはなじみがあっても、「介護ロボット」となると具体的にどのように活用されていくものなのか、イメージがわかない方も多いのではないでしょうか?
「介護ロボット」といっても、一般的にイメージするロボットのように必ずしも顔や手足があるわけではなく、その形態や機能はさまざまです。
具体的にどのような技術が介護現場に導入されようとしているのか、先取りして確認していきましょう。
2017年に改訂された厚生労働省の「ロボット技術の介護利用における重点分野」に関する資料では、合計6つの重点分野が設置されています。
この重点分野は適宜見直されるものですが、今回は2017年10月の改訂によってまとめられた情報に基づき、今後導入される見込みのテクノロジーについて解説していきます。

1) 移乗介助で使えるパワーアシスト機器

移乗介助は、介護に携わる人にとって大きな負担となるものの一つです。
繰り返し行っていると腰痛が発生することも多く、介護者にとっては大きな負担となっています。
介護施設でも、在宅介護でも、腰痛でお悩みの方は多いのです。
ロボット技術の導入では、介助者のパワーアシスト、つまり力を補助するための機器開発が検討されています。
抱え上げ動作などでは、いくらコツをつかんでも力が必要になり、こうした場面で生じる負担の軽減が期待されています。

2) 移動支援機器で歩行・外出をサポート

移動支援機器では、高齢者などの外出・荷物の運搬・屋内移動・立ち座りなどをサポートすることが見込まれています。
2017年10月には、ロボット技術を活用した、装着型の機器で歩行の補助、転倒予防などを行っていくプランも追加されました。
屋内外での移動が自立するかどうかは、生活全体の自立度にも大きく影響を及ぼすため、こちらも期待が高まります。

3) ロボット技術で排泄の支援も

排泄に関することは自分でやりたいと思う方が多いので、リハビリなどでもアプローチの優先度が高くなることはしばしばです。
やはり排泄はデリケートなものなので、自分で行いたいと思う方が多くなるのは自然なことです。
ロボット技術では、排泄のタイミングを予測してトイレへ誘導したり、トイレ内で下衣着脱などの動作を支援したりする機器の開発を目指しています。
排泄が自立すると、介護者の負担も大きく減るのではないでしょうか。

4) 見守り・コミュニケーションにも応用

介護施設や在宅介護において用いる、転倒検知センサーなどはこちらに含まれます。
また、見守りだけでなく、コミュニケーションにおいてもロボット技術は活用される見込みです。
ロボット技術を活用して、こうした生活支援機器の開発が計画されているのです。

5) 入浴でも一連の動作を支援

入浴介助も、介護者にとっては大きな負担となります。
介護施設などでも、大きな業務の一つとして位置づけられるのではないでしょうか?
ロボット技術によって、浴槽に出入りするときの動作を支援する機器の開発も予定されており、こちらも使い勝手がよければ介護現場で歓迎されるツールとなりうるでしょう。

6) 介護業務もロボットの力で効率化

見守り、移動支援、排泄支援など、介護業務に関する情報を集め、その情報を蓄積していくロボット技術の開発が検討されています。
具体的な使い方については明記されていませんが、これらの情報を支援に応用することを目的とした機器の開発が着々と進められているのです。

このように、介護に関するさまざまなニーズに応えるべく、テクノロジーの開発が検討されています。
一部のメーカーだけが開発にあたっているのではなく、厚生労働省が中心となって介護にテクノロジーを活用しようとしている状況なのです。
現場のニーズに応えてくれるツールが普及すると、介護に携わる方の負担が大きく軽減されることが期待できます。

介護にロボット導入!現場はどう変わるのか?

介護用のロボット開発・導入がうまくいくと、介護者の負担を減らし、ご本人の自立度を高めることができるでしょう。
もしかしたら、介護の仕事が「きつい」というイメージも払拭され、介護現場にも人材が多く集まるようになるかもしれません。
長年、介護現場ではマンパワーの問題が叫ばれ続けていますし、テクノロジーの導入はこの問題を解決する一つの手段となりうるでしょう。
ただ、テクノロジーの導入が成功するかどうかは、「本当に現場のニーズに合っているか」ということに左右されるものです。
たとえば、移乗を支援するために使うパワーアシスト技術を開発したとしても、機器の装着に時間がかかるのであれば、実際には使われない可能性もあります。
また、入浴支援のロボットなども、介護施設の予算で購入できる価格の範囲でなければなりません。
現場のニーズ・国内外の成功例などを参考にしながら、より利便性の高いツールの開発が進められることを期待します。

まとめ

介護現場では人手不足が叫ばれ続けていますが、やはり心身ともに負荷が大きい仕事というイメージは拭いきれていません。
厚生労働省が先導して開発を進めている介護ロボットをはじめ、さまざまなテクノロジーの力で、現場で働く方の負担を軽減することが期待されています。
開発・効果実証・導入のステップが完了するまでには時間がかかりますが、介護現場の負担軽減に向けた取り組みは、すでに始まっているのです。

参考:
未来投資戦略2017(2018年1月24日引用)
厚生労働省 ロボット技術の介護利用における重点分野(2018年1月24日引用)

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