介護・高齢者施設が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

医療従事者向け 介護プラス

ヒトの課題

社会福祉法人やNPO法人におススメしたい法人後見~成年後見制度の重要性

介護保険制度と共にスタートした「成年後見制度」。
増え続ける認知症高齢者などの金銭管理や、介護保険制度などの契約のために必要な制度です。
利用する人は増えていますが、介護保険制度ほどは進んでいません。
ここでは、法人後見の取り組みを例にして、成年後見制度の重要性について考えてみたいと思います。

成年後見制度の現状について

厚生労働省のデータによりますと、介護保険制度において、要介護・要支援認定を受けている人は、2017年11月の時点で640万人を超えています。
しかし成年後見制度を利用している人は、2014年12月の時点で18万人にとどまっています。
国は介護保険制度を導入するにあたり、成年後見制度の導入を進めました。
これは、介護保険制度が「措置」から「契約」へと変わることで、判断能力の不十分な認知症高齢者などが、必要になる介護サービスを受けられなくなることを懸念したからです。
介護保険制度では、介護はサービスという位置づけになり、介護を受ける人が自分自身でサービスを決定しなければならないのです。
ちなみに内閣府が発表している認知症患者数を見てみると、2012年(平成24年)の時点で462万人を超えています。
すべての認知症の人に必要ではないのかもしれませんが、それでも成年後見制度の利用者数(18万人)が低いことがわかるのではないでしょうか。
この原因について、成年後見制度の問題点からみていきたいと思います。

成年後見制度の利用が増えない背景

認知症や判断能力の低下した高齢者などが増えるなか、成年後見はとても重要になる制度です。
それでも利用者数が伸びないのは、この制度に多くの問題点が潜んでいるからだと考えられます。
問題点はさまざまありますが、そのなかでも高齢者だけの世帯が増加していることが、問題のひとつとして挙げられます。
内閣府のデータによりますと、全世帯のうち高齢者がいる世帯は約半分とされています。
さらにそのなかで、高齢者夫婦だけの世帯や高齢者の独り暮らしは多く、子どもがいても同居は減少している状況です。
もちろん身寄りのない高齢者も増えており、実際に特別養護老人ホームなどでは、身寄りのない高齢者の入所が少なくありません。

日常生活には、さまざまな契約や支払いが必要になる場面が多くあります。

しかし高齢者だけの世帯ではたとえ認知症ではなくても、介護保険サービスの利用契約や、支払いの有無を判断することが難しい方が見受けられます。
2016年に消費者庁が発表したデータによると、悪徳業者による詐欺などの被害総額は年間約6.1兆円にのぼり、もしも被害にあわれた高齢者が成年後見制度を活用していたら、この数字も大幅に減らすことができたのではないかと思われます。
だからといって、すぐに成年後見制度を活用しようということにはならないのが現状です。
そもそも成年後見制度は本人や親族などが申請できる制度ですが、前述したように本人が認知症であったり、身寄りのない方などではなかなか申請まで至らず、結果的にはそれが活用を阻む大きな要因になっているといえるでしょう。
弁護士や司法書士などの専門家に申請を依頼するにしても、それにかかる費用負担の問題が発生します。
自己判断での申請が難しい場合や親族がいない場合は、市町村長によって申し立てを行うことも可能です。
しかし市町村長の申し立ては、市町村によってはとても件数が多いといわれており、自治体の財源や人員がまったく足りていない地域では、申し立て自体ができないということもあるのです。

求められる法人後見~法人後見のメリット「継続性」

成年後見制度は、通常親族が後見人として任命されることが多いですが、身寄りがない場合には、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家が成年後見人につくことになり、こうした専門職種による後見活動は多くなっています。
そんななか、いま注目されているのが「法人後見」です。
成年後見制度は、成年後見人等が必要な金銭管理や契約などを行います。
しかしデメリットとして、その成年後見人が諸事情によって後見活動ができなくなるという事態は考えておかなければなりません。
成年後見人は一個人ですから、たとえば病気になってしまったような場合、後見活動を続けることができなくなる可能性があります。
もちろんその場合は、家庭裁判所において別の後見人を任命することになるのですが、親族ではなく専門職である場合は、また一から信頼関係を築かなくてはなりません。
法人後見とは、社会福祉法人やNPO法人などの団体が成年後見人になって後見活動をすることをいいます。
法人は法のなかでは「人」として扱われますから、後見活動が可能となるのです。
法人後見のメリットは、法人内の職員であれば後見活動ができるということです。
担当職員が休みであったり、退職したとしても、法人内の別の職員が活動に当たることができます。
なじみのある法人であれば、とても安心して成年後見人等を任せられるものだと思います。

増えている法人後見~社会福祉法人、NPO法人の取り組み

成年後見制度を安心して受けられるものが「法人後見」であるといえます。
先ほども申しあげた通り、法人後見なら一度受任すれば継続して後見活動を行うことができます。
認知症高齢者など判断能力の低下した方などには、安心して大事な金銭の管理や契約行為を任せることができると思います。
また、なにか後見人によってすぐに対応しなければならないようなことがあった場合にも、「担当職員が休みだから」などの理由で対応が遅くなるようなこともありません。
たとえば急な体調不良で入院されたような場合、病院から入院申込書の記入を迫られる場合があります。
このような場合、担当ケアマネジャーなどでは記入することはできませんが、法人後見ならすぐに対応することが可能です。
実際、いま法人後見に取り組んでいるNPO法人はどんどん増えています。
また、社会福祉協議会や特別養護老人ホームなどの介護保険事業を運営する法人においても、法人後見に取り組んでいる例があります。
静岡県にある社会福祉法人・美芳会では、特別養護老人ホーム、ショートスティ、デイサービス、居宅介護支援事業所などを運営しながら、2009年より法人後見に取り組んでいます。

このように、積極的に法人後見に取り組む法人がひとつでも増えれば、制度を活用する人も増加し、逆に詐欺などの被害に遭う高齢者は減少していくことが望めるでしょう。

まとめ

成年後見制度は、高齢化が進む今日とても重要な制度であると考えられます。
しかし実際の申立件数はそれほど増えていない状況です。
これは需要がないのではなく、制度自体に問題があるように思います。
これからさらに必要となるケースは増えてくることは間違いありません。
法人としてもぜひ取り組んでいただきたい制度です。
地域に住む高齢者の安心にもつながっていきますから、その地域独自の地域包括ケアにもなるでしょう。

参考:
厚生労働省 介護保険事業状況報告の概要 2017年(平成29年)11月暫定版(2018年2月13日引用)
内閣府 成年後見制度の現状(2018年2月13日引用)
内閣府 3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(概要版)(2018年2月13日引用)
日本証券業協会 「消費者被害額は年間約6.1兆円!」(2018年2月13日引用)
全国社会福祉法人経営者協議会 成年後見人等受任事業~地域生活の安定を図る取り組み~(2018年2月13日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)