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介護サービス事業所で取り入れたい職員の評価制度~介護プロフェッショナルキャリア段位制度の導入について

介護人材が不足しているなか、特に中小の介護サービス事業所においては、離職率を下げ、定着率を上げるための仕組みづくりが必要になります。
ここでは、その取り組みのきっかけにしてほしい「介護プロフェッショナルキャリア段位制度(以下 キャリア段位制度)」についてお伝えします。

キャリア段位制度とは~介護職員の能力を客観的に評価できる制度

介護職員は今まで、国家資格として介護福祉士があり、この介護福祉士を取得することが介護のプロとして目指すべきものでした。
ただこの介護福祉士国家資格を取得している職員であっても、経験や知識によってスキルの差は大きいものとなっています。
この介護福祉士国家試験をはじめとする資格制度のなかには、その職員が現場でどのような業務を行うことができるのか、どのような専門知識を持っていて、どのように現場に応用することができるのかという視点が欠けていました。
そのために介護福祉士ファーストステップ研修といった、介護福祉士のスキルを高める研修が導入されてきました。
介護福祉士ファーストステップを受講する介護職員はたいへん多くなっていますが、今度はこのようなスキルの高い職員とそうではない職員との客観的な評価が必要になってきたのです。
それがキャリア段位制度です。
キャリア段位制度は、エントリーレベルからプロレベルまで7段階で評価され、レベル4以上の介護職員をアセッサー(評価者)として認定します。
このアセッサーは、介護施設や介護サービス事業所内において、介護職員のスキルアップを支援していく中心的な役割を担うことになります。
キャリア段位制度の導入は少しずつ浸透しつつありますが、まだまだメジャーな制度とまではなっていません。
しかし、人事考課制度にもこのシステムを組み込んで、介護職員の能力を客観的に測る指標としていくことは有用だといえるでしょう。
厚生労働省でも、このキャリア段位制度の導入を推進しています。
また、職員が転職する際においても、ジョブカードや履歴書に記載することができ、スキルの高さをアピールできるものとなっています。

中小の介護サービス事業所に取り組んでほしい「介護職員がモチベーションを持ち続けるための仕組みづくり」

冒頭でも申しあげましたが、介護業界は大変な人材難で、今後も人材不足は続いていくものと考えられます。
介護職員の不足を補うために、国においても介護職員の処遇改善や雇用の推進、またEPA(経済連携協定)による外国人介護士の受け入れなどを行っています。
そのような情勢のなかで、介護施設や介護サービス事業所においては、職員の雇用だけに頼るのではなく、離職者を減らし職員の定着率向上に取り組まなければなりません。
どの事業所も、職員の雇用や職員教育、人事考課制度などを取り入れたりしながら、安定した運営を目指して努力しています。
しかし、深刻な人材不足の影響を受けている事業所では、管理者やサービス提供責任者までもが現場に入るといった状況で、職員教育にまで手がまわらないという現状があります。
これを打破するため、いつまでもこのような自転車操業を続けていくのではなく、まずは既存のスタッフらに「辞めたいと思わせない職場」を目指していくことが大切です。
そのために最初に取り組むべき課題として、介護職員がいつまでもモチベーションを持ち続けるための仕組みづくりが挙げられるでしょう。
介護職員の職場に対する希望をデータで見てみると、「今の勤務先で働き続けたい」という返答は57.5%しかがありません。
また離職した理由において上位のもののなかには、「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため」との返答が多くなっています。
多くの中小の介護サービス事業所での離職は、介護職員に対する過度な負担が一つの原因であると考えられます。
ただ単に「忙しい」「賃金が安い」という離職理由ではなく、忙しすぎる状況が改善できなかったり、その状況で頑張っても評価につながらないという状況が離職を生んでいるのです。
スキルアップしようとする職員については、能力を客観的に測る指標が必要です。
その根拠を示すものとしてキャリア段位制度を導入し、さらに人事考課制度と連動することで、目に見える形でスキルアップを図れることになり、職員の業務に対するモチベーションが改善されると考えられます。

キャリア段位制度の導入事例

事業所によっては、人事考課においての客観的な指標として、積極的にキャリア段位制度を導入しています。
その成功事例をご紹介します。
社会福祉法人Aは、職員数が増えるなかで人事考課制度をスタートさせました。
そもそも人事考課制度は、どのような基準で能力を測るのかを明確にし、職員がそれに基づいた目標を立てて達成できるという、いわば「評価プロセスの可視化」を行うものです。
社会福祉法人Aの職員は、直属の上司と定期的に面談するなかで、自分自身の目標や課題が明確になり、その達成を試みることでモチベーションが向上しました。
ただ介護職員のスキルを客観的に測ることはなかなか難しく、その仕組みづくりが必要であることが浮き彫りになりました。
そこで、始まったばかりのキャリア段位制度をさらにとり入れ、レベル4以上のアセッサーを中心に、法人独自の「介護技術の認定システム」をつくることにしたのです。
このシステムによって、一般の職員は「介護技術の認定」に取り組むことが目標の一つになり、職員全体のモチベーションアップに大きく貢献したのです。
さらにこの介護技術の認定についても、人事考課制度に結びつけ、スキルアップが報酬や役職のアップにつながることを明確に示しました。
この法人では、介護福祉士養成校から実習生の受け入れなども行っており、とても指導がいいとして、養成校からの受け入れ人数も増えています。
受け入れた実習生が、職員の雇用に結びつくことも少なくなく、結果安定した人材確保へとつながっています。
また離職率においても、2016年の全国平均である16.7%を大きく下回っています。
管理者やリーダークラスの職員からは、ケアの質が上がった、職員同士の人間関係も良くなったと、相乗効果があることも報告されています。

まとめ

今回は、キャリア段位制度についてお伝えしました。
国が行う取り組みは、その内容をしっかりと理解し、うまく活用していくことが大切です。
特に、人材不足によって人材教育ができないという悪循環をなくすためには、こうした制度を積極的に取り入れていくべきだと考えます。
自分が努力したことが正当に評価され、報酬や待遇といった目に見える形で還元されるようになれば、業務に対する意欲は自然と向上していくものだと思います。

なお人事考課制度の取り組みについてはこちらの記事(介護職員同士の人間関係での離職対策~離職を減らすための人事考課制度の活用)にて詳しくお伝えしておりますのでぜひご覧ください。

参考:
厚生労働省「介護職員資質向上促進事業」介護プロフェッショナルキャリア段位制度(2018年2月22日引用)
一般社団法人シルバーサービス振興会 介護プロフェッショナルキャリア段位制度(2018年2月22日引用)
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 介護福祉士ファーストステップ研修ガイドライン(2018年2月22日引用)
公益社団 国際厚生事業団 EPA外国人看護師・介護福祉士受入れのあらまし(2018年2月22日引用)

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