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介護スタッフの定着に実効性がある業務改善~達成感を実感する介護業務の必要性

介護スタッフが職場に定着してくれるかどうか、不安を抱えている管理者や経営者は数多くおられます。
人材不足が叫ばれるなかで、ようやくスタッフを得られたのですから、長く勤めてほしいと思うのは当然のことでしょう。
そんな不安を解消するには、スタッフが仕事に対する意欲を持続できるような職場環境にする必要があります。
ここでは、介護スタッフがモチベーションを保持し働きつづける業務改革についてお伝えします。

ルーティンワークのなかでの達成感の必要性

介護職は人の役にたてる職業ですが、介護スタッフは年収が低い、仕事がたいへんだといわれ、それらを一番の離職原因として挙げる方は少なくありません。
しかし、お金でもなく仕事量でもなく、ただ「誰かの役に立ちたい」というやりがいを求めて介護職を目指す人はいます。
そうした志の高い人たちが、ほかの産業よりも高い確率で辞めていく原因が、賃金や業務内容だとは考えにくいと思いませんか。
本当は、どれだけ頑張っても正当な評価をもらえなかったり、改善されない労働環境だったりという「あきらめ」が、大きな原因となっているのではないでしょうか。
そんな状況では、スタッフも達成感を得ることができず、毎日の決められた仕事を繰り返し行うだけで、仕事に対するモチベーションも消失してしまうでしょう。
介護業務の基本は、利用者さんの生活をサポートしながら笑顔で触れあうことです。
それゆえ、どれだけ人手が足りず仕事量が多くなっても、笑顔を絶やさず日々の業務をこなしていくことを求められます。
また介護職は、実際に働く現場スタッフの間でも「キツイ仕事」であるとの認識はありますが、そのキツイ仕事をやり遂げてこそ、一人前の介護スタッフとして認められるといった雰囲気が、少なからずあります。
しかし、そうした日々の業務を、ただ淡々と行っていたのでは達成感を得ることは難しく、むしろ日を追うごとに、仕事自体が重荷となってしまう可能性もあるでしょう。
たとえば、一年目のスタッフは膨大な量の業務を覚えることから始めますが、日常のルーティンワークを覚えるだけも、かなりの労力が必要です。
そのルーティンワークを少しずつ覚えてくれば、状況に応じた主体的な仕事ができるようになり、それを遂行できれば達成感が得られ、自らの成長を実感することもできるでしょう。
ところが、この状況が長い間継続してしまうと、できることが当たり前になり、当初あった達成感も、いつのまにか消え去っていきます。
そうなると、ただルーティンワークを繰り返すだけの業務と化し、上述した「人の役に立ちたい」というスタッフのニーズは置き去りのまま、多忙な毎日が続くことになるのです。
そんな状況では、介護のベースとなる「笑顔での触れ合い」も難しくなり、利用者さんの心身状態にも少なからず影響を及ぼすでしょう。
ルーティンワークは、もちろん利用者さんの様子を考慮しながら改善されますが、結局忙しさが増大するだけで、スタッフのモチベーションアップにはつながりません。
こうした悪循環を変えるためには、「ルーティンワークを流れ作業にしない工夫」が必要です。

介護業務にはすべて意味があると気づかせる

介護の基本とされるものに、声かけがあります。
まずはルーティンワークのひとつ、この「声かけの意味」を考えてみたいと思います。
一年目の介護スタッフなら先輩に声かけが大事といわれ、その意味を理解しないまま利用者さんに声をかけているかもしれません。
しかし、この時点で声かけの意味をきちんと理解しておかないと、大切な業務であるという意識が薄れ、介助の際にも声かけを忘れがちになってしまいます。
ベテラン職員の声かけを観察してみると、「アセスメント」の意味合いがたくさん含まれていることに気がつきます。
「おはようございます」のひと言だけで、その後の反応から「耳は聞こえているか」「目は見えているか」「今日の体調はどうか」など、たくさんの情報を読み取っているのです。
いつもと同じように声かけして、返事がみられなければ、その利用者さんの異変を察知することもできます。
また、利用者さんの観点からこの声かけに注目すると、「存在の認知」を確認することができます。
存在の認知とは単純にいうと、「目のまえに利用者さんがいるから声をかける」という意味ですが、利用者さんからすると「自分を認めてもらっている行為」という重要なものになり、これが利用者さんの尊厳の保持にもつながってくるのです
逆に利用者さんがいるのに声をかけないということは、利用者さんの存在を認めない行為になってしまうということです。
このように、日常の業務をただのルーティンワークとして捉えてしまうと、その一つひとつに存在する業務の本当の意味が、わからなくなっていくのです。
どうしてその業務を行っているのか、どうしてその方法で介助を行っているか、ちょっとした動作のなかにも、必ず意味があります。
介護業務には、まったく無駄な行為は存在しないといえます。
その根拠を見つけることこそが、プロの介護スタッフへと成長できる重要なターニングポイントといえるのではないでしょうか。

PDCAサイクルのなかで業務を行うクセをつける

先ほどアセスメント能力について前述しましたが、介護現場では、いま自分が遂行している方法が本当に正しいのかどうかを、確認しながら業務を行っていく必要があります。
そのためにこのPDCAサイクル(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善))の活用は、極めて重要だといえるでしょう。
さきほどの声かけを例に、その効果をみていきましょう。

  • ●P(計画)「声かけ」の必要性を伝え、声かけの徹底を計画する
  • ●D(実行)声かけを実行する
  • ●C(評価)不足している点、逆に良かった点などの評価をする
  • ●A(改善)良い評価を受けた点、指摘されたことなどを踏まえ、P(計画)に立ち戻り改善を図る

このように、やるべき業務を明確にし、それを管理者とスタッフが共有しながら行っていくことで、日々の業務にメリハリをつけることができ、問題点の早期発見にもつなげることができます。
たとえば、サービス担当者会議を開催すると、現場にいる介護スタッフからその利用者さんの昔話や、聞いたことがなかった家族への思いなどを聞けるケースがあります。
利用者さんからすればただの雑談かもしれませんが、そのなに気ない会話のなかに、現場のケアに生かせる情報が含まれていることも少なくありません。
利用者さんの思い出話や好きな食べ物、行きたいところ、むかし従事していた仕事など多くの情報があれば、利用者さんにより快適な生活を送ってもらうためのケアや、その方向性などを決めやすくなります。
これは日頃から、スタッフがこまめに声かけを行ったことによって、利用者さんとの関係が深まり、得ることができた成果だといえるでしょう。
こうしたスタッフの「気づき」が現場全体の役に立ち、さらにそれは利用者さんを喜ばせることへとつながり、結果的にスタッフ自身の達成感へと結びつくのです。
PDCAは一方通行ではありません。
サイクルによってはじめて生かすことができます。
利用者さんと現場のスタッフが、より良いコミュニケーションをとるためには、管理者とスタッフの共通認識が欠かせません。
PDCAサイクルによって認識のズレをなくし、事業所全体で利用者さんのケアを考えれば、利用者さんの満足度を上げることができ、それは同時に、介護スタッフのモチベーションをアップする源となるのです。

まとめ

冒頭にもお伝えしましたが、年収が低い、忙しすぎるという理由だけで退職する職員は少なく、離職原因のひとつとされるスタッフの意欲の低下は、意外と身近なところから改善できるものです。
スタッフがいつまでもモチベーションを保持し業務を行っていくためには、日々のルーティンワークのなかに、達成感を生じさせることが大切です。
PDCAサイクルなどを活用して、業務の意味とその効果を再確認し、事業所全体で共有していくことをおススメいたします。

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