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介護職員の方もぜひ知っておいていただきたい、糖尿病における食事・内服・シックデイ管理についてまとめてみました!

生活習慣病の一つである、糖尿病。
病気の名前は知っているし、生活習慣が関係しているということは知っているけれど、具体的にどのような点に注意したらよいかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
今回は、介護スタッフの方にぜひ知っておいていただきたい、糖尿病における食事・内服・シックデイという概念について、ご紹介します。

糖尿病で食べてはいけないという食品はない

糖尿病と食事の関係を知るうえで、まず知っておいていただきたいこと。
それは、「糖尿病で食べてはいけないという食品はない」ということです。
よく、糖尿病になるともう好きなものは食べられない、食べられたとしてもかなり制限をしなくてはいけない、と考えている方がいます。
しかし、実際気をつけなければいけないのは、食事の制限ではなく、摂取カロリー、そして栄養バランスなのです。
施設で提供されている食事は、必要とされるカロリー内に収まるように栄養士が考えた、栄養バランスの取れたお食事です。
しかし、そのバランスは「すべての食事を残さずに食べたとき」に取れるものであり、特定の副食をまるまる残してしまえば、それは栄養バランスの取れた食事とはいえません。
よって、施設で提供される食事においては「糖尿病なので、これは控えていただく」ではなく、「栄養バランスの取れた食事を、まんべんなく食べていただけるようにする」と考えることが大切です。
たとえば食事のとき、お肉や揚げ物など好きなものばかりを先に食べてしまい、お野菜などのビタミンやミネラルが豊富な食べ物は毎回残してしまう、という糖尿病の方がいらっしゃったとします。
このとき、「お肉や揚げ物ばかり食べてしまうから」と食事内容の変更を考えるまえに、ぜひ食事をだすタイミングを考えてみてください。

筆者のお勧めは、1つのトレーにすべての食事を乗せて提供するのではなく、野菜など栄養バランスの取れたものから先に提供し、そちらをひととおり食べ終わってから好物のものをおだしする、という方法です。
野菜から食べるようにすれば血糖値の上昇も緩やかになりますし、バランスの良い食事をとるとそれだけで満腹感を得やすくなります。
もちろん食べ物を多く摂取すればその分摂取カロリーが上がるので血糖値も上がりますが、糖尿病では特に血糖値の上下動を最も避けるべきだと考えられているので、そうした観点では食べ方というのは非常に重要です。

糖尿病の方に対して食事内容の変更をいろいろと検討するまえに、まずはこの「まんべんなく食べていただく」を目指してみてはいかがでしょうか。

食前薬の内服忘れを見つけたら、勝手に飲ませずすぐに看護師へ報告を

糖尿病の方のなかには、食事のまえにお薬を飲む方がいます。
しかし、なかにはお食事が終わってから食前薬を飲んでいないことに気がつき、慌てて食後薬とともに内服していただいた、というケースもあるのではないでしょうか。
糖尿病のお薬には種類がたくさんあります。
そのため、同じ食事のまえに飲む糖尿病のお薬であっても、食事中に飲めば大丈夫なものや、食後1時間以内であれば気がついたときに内服して支障ないものがある一方で、食後に飲むことで血糖値が下がりすぎてしまい、ふらつきやめまいといった、低血糖による症状を引き起こしてしまう恐れがあるものもあります。
そのため、食前薬の内服忘れを見つけたら、まずは看護師へ報告し、その場で飲んでいただくべきか、次の食事時へ延期するかを、確認するようにしましょう。
また、食前に飲むお薬を飲み忘れないための工夫としてお勧めしたいのが、「食事のときの行動と薬の内服をセットにして、入居者さんへ覚えていただく」ということです。
たとえば、食事のときは誰でも必ず箸かスプーン・フォークを利用します。
そこで、食事の際に箸を持った時点でお薬を飲む、ということを習慣づけることで、スタッフ側以外にも、利用者さん側が薬の飲み忘れに気づくきっかけをつくることができます。

病気のときは、食事量よりも水分摂取量に注意

糖尿病は、食事内容によって血糖値が大きく上下する病気です。
人は風邪などの病気によるストレスを受けた際に、ストレスに対抗するためのホルモンが増えます。
そのホルモンによって、血糖値は上がる方向に向かいますが、糖尿病があると、血糖値を下げるインスリンというホルモンがうまく分泌できなかったり、分泌されても効きづらかったりするため、異常な高血糖になってしまうことがあるのです。
また、食事がとれないまま下痢やおう吐、発熱が続くことで血液の中にある水分量も減り、脱水症状を引き起こす恐れもあります。
そのため、感染症などで食事量が低下した場合でも、高血糖や脱水によって起こるさまざまな症状に注意する必要があります

このように、糖尿病の方が体調不良になってしまうことで、血糖値を下げる薬をコントロールしなければいけない状態のことを「シックデイ」と呼びます。
そのため、糖尿病を持つ利用者さんが体調不良となった場合には、まず看護師の指示を仰いだあと、シックデイに対して適切な対応を取るという心がけが大切です。
シックデイ時の対応の原則としては、

  • ・十分な水分摂取により、脱水を防ぐ
  • ・食欲がなくても絶食にはせず、日頃食べなれていて口当たりがよく、消化のよい食べ物(おかゆ、スープ、ジュース、アイスクリームなど)をできるだけ摂取するようにする

この2つがあげられます。
無理やりにでも食事をする必要があるというわけではありませんが、ご本人が食べなれていて口当たりがよく、消化のよい物をあらかじめ把握しておくことは、いざというときに対応しやすくなるので、事前にそうした情報も収集しておくようにしましょう。

まとめ

介護の現場において、利用者さんに一番近い距離にいるのは介護職の方々です。
よって、糖尿病を持つ利用者さんの体調の変化や食事量について、一番気づくことができるのも、また介護職の方々なのです。
今後はぜひ、糖尿病を持つ利用者さんの食事量や体調、薬についても気を配ってみてください。
そうすることが、利用者さんの安全と健康を守ることにつながるはずです。

関連記事:
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参考:
水野美華他:糖尿病指導力アップ回答集50:糖尿病ケア 2014年1月号:pp14-70
添田百合子他:糖尿病看護のハテナ・まちがい対策:糖尿病ケア 2013年5月号:pp12-64

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