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ヒトの課題

連携を取ってくれない介護施設の看護師へ、施設運営者や介護士はどう対応すればよい?

介護施設で働く看護師のなかには、他職種と連携をとらずに看護業務のみを行う方がいます。
そういった方が施設にいることは、施設職員全体のチームワークを乱すことにつながりかねません。
そこで今回は、看護師である筆者が、施設が一丸となって働くために、連携をとらない看護師へどうアプローチをしていくかを解説します。

看護師はなぜ、他職種と連携を取ろうとしないのか?

介護施設運営者の悩みとして「看護師が介護職との連携をとらずに困っている」が2回にわたって取り上げられているほど、看護師が施設内で浮いた存在になっているケースはよく見られます。
ではなぜ看護師は、介護施設内で孤立してしまうのでしょうか。
病院では、看護師以外にも医師や薬剤師など多くの医療系の資格を持っている人たちが働いており、医療業務について一人の看護師が独断で行う、ということはまずありません。
しかし介護施設では「医療業務に関することは看護師のみが把握している」といった状況のところが多いといえます。
そのため、他職種の人が看護師に対して意見がしづらい、という空気になっていることが、一つの原因として考えられるのです。
また、介護施設を運営するにあたっては介護士はもちろんのこと、法律によって看護師を配置する義務が発生します。
しかしどの施設も、募集をかけても看護師がなかなか集まらないのが現状となっており、施設運営者にとって看護師は、職員のなかでも特に辞めてほしくない存在です。
そうなるとたとえ施設運営者であっても、看護師に対して意見や反論がしにくい状況がつくられてしまのです。
医療業務を行えるのは自分しかいないこと。
そして、施設運営者からも強く注意を受けにくいこと。
こうした2つの状況が重なることで、すべての看護師ではないものの、なかには
「利用者さんの健康を守れるのは私だけ」
と気負ってしまったり、
「私に対して意見できる人は誰もいない」
といった勘違いをしてしまい、周囲と連携を取らずにふるまってしまってしまうケースが出てくるのだと推測されます。

連携をとらないことは、そもそも法律違反!?

上述したように、介護施設は法律によって看護師を配置することが義務づけられています。
一方で、施設管理者は介護保険法によって「従業員に対する適切なサービス提供方法等の指導」が義務づけられています。
伊藤(2015)はこうした状況について、看護師が管理者の指導に従わないのは、介護保険法および就業規則違反に該当する、と指摘しています。
同時に看護師として働く側に対しては、看護師が周囲と連携を取らないことは、法律(看護師等の人材確保の促進に関する法律)のもとで働く者として不適切だ、とも指摘しています。
介護保険法下においては、介護士も看護師も資格の違いに関係なく、従業員であり、施設職員の一員です。
そして、これらの法律が定められているのは、なにより利用者さんの安全を守るためだといえるでしょう。
これに従えば、「他職種と連携を取らない」ということは、利用者さんの生活にも影響を与えると解釈することができ、施設全体で解決に向けて動く必要があるといえるのです。

対立するのではなく、チームの一員として

「看護師も施設職員の一員であり連携は不可欠」
そう法律で定められているとはいっても、実際に介護職員側から看護師に対して「法律で決まっているのだから、職員の一員としてもっと他職種と連携してください」と伝えたところで、効果は期待できません。
そこでまずは、利用者さんへの影響という観点から看護師へアプローチすることをお勧めします。
まるで施設の責任者のようにふるまう方は、往々にして周囲に配慮した行動をとることができません。
それは職員だけに限らず、利用者さんに対しても同様です。
実際に筆者が派遣職員として配属された施設の看護師も、介護士と看護師は違うという考えから、看護業務のみを行うことが正しい、と考えていました。
そしてその看護師は、たとえ利用者さんがトイレへ行きたいと訴えても、
「いま忙しいので介護士に言ってください」
というような状況でした。
このように、看護業務だけをすればよい、という考えが結果として利用者さんに悪い影響を与えてしまっているのです。
よって連携を図ってもらうための対策は、看護師自身の立ち振る舞いをどう正すか、という方向ではなく、
「利用者さんのためにより良い環境を整えるにはどうすればよいのか」
という観点から、まずは情報を集めていくようにします。
そして集まった情報をもとに、施設長などの上司に当たる人が直接看護師と話をし、
「利用者さんにこのような影響が出ているので、業務改善してほしい」
と伝え、その後も継続して指導を行っていくのです。
このアプローチ方法を根気強く繰り返し、少しずつ看護師側の意識を変えていくように働きかけるのが良いと考えます。

●実は看護師側も悩んでいる?

介護士が看護師との連携について悩んでいるように、看護師もまた、介護士との連携に悩んでいるケースも多くあります。
実際に筆者も施設看護師として働いている間、介護士の方へどう医療業務の内容を伝えればよいのか、悩むことが多くありました。
専門用語を使ってしまうと、相手には伝わらない。
しかし内容をかみ砕きすぎてしまうと、相手が不快になってしまう。
ではどのように説明すればよいのだろうと考えている間に、時間が過ぎ、結局十分に伝えられないまま次の仕事になってしまった、ということは少なくありませんでした。
看護師側も連携方法に悩み、タイミングがつかめないまま孤立してしまうことも多いのです。
「看護師が連携をとろうとしない」と感じたら、ぜひ一度看護師に話しかけてみてください
それが良いきっかけになり、意外なほどスムーズに良好な関係が築けるかもしれません。

まとめ

看護師である筆者も、同じ施設看護師として
「看護師というだけで、そんなに偉いの?」
と思ってしまうような立ち居振る舞いをしていた方を、何人も見てきました。
職場内での人間関係で苦労することは多いですが、連携することによって職員全体の雰囲気が良くなれば、それは利用者さんにも良い介護を提供することになるのです。
ぜひ単独で改善しようとせず、施設全体で看護師に対するアプローチを試みてください。
それが、解決の第一歩となるはずです。

参考:
伊藤亜記:専門職のお悩み解決!相談室 第4回:医療と介護Next:メディカ出版:2015年1巻4号
伊藤亜記:専門職のお悩み解決!相談室 第5回:医療と介護Next:メディカ出版:2015年1巻5号

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