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2018(平成30)年度介護報酬改定はプラス改定の方向!

今まで介護報酬改定の審議が行われている社会保障審議会介護給付費分科会での審議内容の経過をお伝えします。

2018(平成30)年4月に介護保険制度改正を控えています。
2017(平成29)年4月から2018(平成30)年度介護報酬改定に向けた検討が始まりました。
8月には在宅サービス、施設サービスすべてのサービスの論点が示されました。
それ以降は過去の制度改正による効果を検証されています。その中で介護サービス事業者の経営実態調査の結果などが明らかにされ、制度改正に向けた具体的な議論が始まっています。
現在12月の時点では、今までの話し合いのとりまとめを行っています。
これから1月後半からは各介護サービスの報酬単位が明らかになってきます。
2月以降は、厚労省告示、解釈通知、Q&Aなどが順次出てくることになります。
では現在までの審議内容から、今後の制度改正によって介護サービスはどのように影響を受けることになるのかお伝えしたいと思います。

参考:厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会)

2018(平成30)年度 介護報酬改定率はプラス改定?

2018(平成30)年度の介護報酬改定では、早い段階からマイナス改定が必要であると財務省からの提言がありました。

介護保険を継続するうえで、国民に対してこれ以上介護保険料の負担を大きくすることは適切でないという事が理由です。
2017(平成29)年度には、処遇改善を目的とした臨時改定により1100億円程度の給付費を計上しています。
その事から、すでにプラス改定済みであるという意識も財務省にはあったのだと考えられます。
しかし今回は介護報酬改定率はプラスになるとの報道がありました。
今回の報酬改定は医療と介護、同時改定の予定となっています。早い段階で診療報酬改定の薬価部分において、1.3%程度の引き下げが行われる見通しとなり、今回の改定に必要な1300億円程度の国費圧縮の見通しがついたからだと言われています。

また前回の2015年での報酬改定では2.27%という大幅なマイナス改定となり、すべてのサービスの平均利益率が大幅に下がっていることも考慮されることになりました。
この薬価引き下げの影響により、介護報酬全体の上げ幅は1%程度の微増となる予定で進められています。

参考:
財務省(財政制度等審議会・財政制度分科会)
時事通信
厚生労働省(中央社会保険医療協議会)
厚生労働省(第137回社会保障審議会介護給付費分科会議事録)

介護報酬改定の具体的な内容について

全体的な介護報酬については、プラス改定で決着することで進められています。
しかし各サービスの報酬改定内容を具体的に見ていくと、なかなか厳しい算定内容となっていることがわかります。
今までの介護報酬改定で行われてきたとおり、報酬をプラスにするには厳格な算定内容をクリアし、加算を適切に取っていく必要があるのは間違いありません。
今回の報酬改訂では、減算が強化されるサービスもあります。
介護サービス事業所によっては、介護サービスに対するコンテンツを強化し加算の取得を強化しなければ、逆に報酬を下げてしまうことにも繋がりかねません。
では今回の介護報酬改定における具体的な内容を見ていきたいと思います。

特別養護老人ホーム・グループホームでの「看取り」の強化

国内では、2025年に団塊の世代が後期高齢者になりきる対策が講じられています。

2025年以降の医療費が急激に上昇しないように、出来る限り在宅や介護施設にて過ごすことができるような施策を今後も推進していくことになっていくでしょう。
その取り組みの中で、特養と認知症グループホームなどの介護施設の、看取りに対する報酬を手厚くするという報酬改定案が厚生労働省から出されています。

なるべく入院せずに介護施設で穏やかに過ごし、最期まで施設で暮らすという意味合いのほか、もしも入院したとしても、早期に退院して施設に戻ることができるという体制づくりの意味合いもあります。

今後の高齢者施設のあり方としては、看取りに対して積極的に取り組んでいく事は避けられない状況にあると言えます。
そのために介護施設と医療との連携のあり方などの方向性を持ち合わせておかないと、施設経営自体が厳しくなることは間違いありません。

参考:
厚生労働省 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(案)
厚生労働省 第156回社会保障審議会介護給付費分科会資料 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告(案)

大規模型のデイサービスは報酬減

デイサービス全体としては、利益率が高いという理由で、今回の制度改正では報酬減の対象になるだろうと言われてきました。
厚生労働省はリハビリに対する強化により、自立支援型の介護保険サービスを目指している傾向にあります。
その事から、預かり型のデイサービスについては介護保険の目的から外れているとして減算の対象として強く挙がっていました。
その中で大規模型のデイサービスについては報酬引き下げの方向で議論されています。
今後は預かり型デイサービスについては引き下げの方向でどんどん進んでいくものになるでしょう。
その中でも特に、長時間デイサービスの基本単価は引き下げの議論が進んでいくでしょう。
小規模のデイサービスであっても、リハビリに強化するなど加算を取得していく事ができないと、基本単価は下げられる方向に向いていく可能性があります。
そうなると更に経営は厳しくなっていく事と考えられます。

参考:
厚生労働省 2017(平成29)年介護事業経営実態調査結果の概要
厚生労働省 第156回社会保障審議会介護給付費分科会資料 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告(案)

訪問介護の「生活援助」は報酬減の方向

ヘルパーによる生活援助(家事援助)に対しても、報酬減の対象であると言われてきました。
これは家事に対する援助に、介護の高いスキルは必要ないといった考え方が根底にあることが原因だと考えられます。
新たな介護人材の確保の必要性から、介護資格の要件を緩和して生活援助のみの研修を創設する方向で進んでいます。

現在、ヘルパーとして働くためには介護職員初任者研修の研修修了や上位資格の取得が必要となっています。
この介護職員初任者研修では、130時間以上の研修を修了することが必要になっています。

このハードルを下げ、数十時間のみで終了できる入門的な研修を創設する事で、新たな介護人材を確保していこうとしています。
ただ、ヘルパーの生活援助においても、認知症ケアや急変時などの対応に必要なアセスメントの能力は必要になってきます。
新しい研修修了者がこれらの対応を行えるかが不明確です。
ケアの質を落とさないように介護サービス事業所においても独自の人材育成方針などが必要になると考えられます。

参考:
厚生労働省 第156回社会保障審議会介護給付費分科会資料 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告(案)

居宅介護支援の管理者要件、特定事業所加算の要件の見直しなど

今回の制度改正において、最も見直しが多いと言われているのが居宅介護支援になります。
ケアマネに関しては、ケアマネの質の低さが厚生労働省でもたびたび議論になっています。

ケアマネのスキル向上への取り組みが今回の制度改正に含まれるものになると考えられます。
その中で、管理者要件が主任ケアマネジャーに限定するというものがあります。

一定の経過期間を設ける事にはなるでしょうが、この流れは進んでいくように思われます。
主任ケアマネはケアマネの指導が役割のひとつでもあり、主任ケアマネの更新制度を導入する事で、主任ケアマネのスキルアップが図られています。
ケアマネ廃止論なども厚労省には根強くあることから、主任ケアマネに対するマネジメント力の強化はこれからも必要になるでしょう。
特定事業所加算の要件についても変更になる見通しです。

特に医療連携については、以前より強化が必要であると言われていた部分ですし、末期がんの人に対するマネジメントなども含め、これから制度改正の論点の中心となるでしょう。
ケアマネは利用者や家族からの意見をそのまま取り入れる「御用聞きケアマネ」の存在が問題になっています。
その対策を行わない限りは、ケアマネ廃止論はいつまで経っても無くなるものではありません。
主任ケアマネの配置や特定事業所加算の積極的な算定を行わないと、今後の居宅介護支援事業所の経営は行き詰ってくるものと考えられます。

参考:
厚生労働省 第154回社会保障審議会介護給付費分科会資料 資料3指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正等に関する事項について(案)
厚生労働省 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会

介護ロボット技術やAI技術の導入など

介護業界の最大の目標は、介護人材をいかに確保するかという部分であるのは間違いありません。
これから更に高齢化が進んでくるなか、介護人材は2025年までに数十万人足りないとも言われています。

その中で注目されているのが、介護ロボットの技術です。介護ロボットについては新たな介護の担い手として注目されている技術です。

今回の介護報酬改定にどのような影響があるかは定かではありませんが、今後間違いなく報酬に影響を与えるものになるのは間違いありません。
介護ロボットを導入した事業所に対して人員配置基準の緩和や、介護ロボット購入費の助成などはどんどん進んでいくものになるでしょう。

介護の担い手は人であるという固定概念を外して、ロボット技術に目を向ける事もこれからの介護経営には必要な視点であると考えられます。

参考:厚生労働省 介護人材の確保について
厚生労働省 2018(平成30)年度介護報酬改定に関する審議報告の概要(案)

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