介護記録の重要性を知ろう!介護職なら知っておきたい介護記録の種類4選+1を解説
介護職員としてのキャリアを続けていると、必ずといって良いほどに避けられないものがあります。それが「看取り」です。今回はより、介護職員が入居者さんの最期をきちんと看取るために知っておきたい看取り時期を知らせる4つの兆しについて解説します。
介護記録は介護職を助ける強力な味方!
介護職は、入所者さんの介助をすることがお仕事ですが、実は他にもう1つ、大切な仕事があります。それが「介護記録」です。
しかし、この記録を書くことが苦手な介護職が多いのです。
ただ、この介護記録はきちんと書いておくと万が一の事態に、何らかの形で損害賠償請求などで訴えを起こされるなどの大きな問題に発展した時に、あなたや周囲を守ってくれる何よりも強い「証拠」になります。
場合によっては、それで決着がつくほど重要な証拠として採用されることもある、大切なものです。
それを十分理解すると、記録を書かずにはいられないのではないでしょうか。
この記録に関しては、方法などを含めてヘルパー養成校や介護福祉士の養成校などでもほとんど授業で扱わないまま現場に投入されるケースが多いため苦手意識をもつ介護職も多いのです。
ただし、先ほども触れた通り記録をするということも重要な「介護職の仕事」であると意識する必要があります。
では記録にはどのような種類(書式)があるのでしょう。
今回は知っておきたい介護記録のうち基本的なものを4つ選抜してご紹介し、さらに最近認知されはじめている「介護の現場で生まれた、新たな介護記録」をプラスワンとして紹介していきます。
介護日誌
施設の介護職は早番・日勤・遅番・夜勤の勤務と当然休みもあるシフト制なので、全員が集まることは困難です。その際に、それぞれの交代の際に情報交換ツール、もしくは申し送りのためのツールとして介護日誌が必要になってくるのです。夜勤者から日勤者へ、日勤者から夜勤者へその時間で起きたことを「簡潔」に記録し、いわばバトンとして渡すことで申し送りをするわけです。それが、介護日誌です。
その中には看護師の申し送りも入ってくるので、看護の専門用語も調べると理解がしやすいでしょう。介護職の方は、最初は用語の使い方を間違えてしまったりして現場を混乱させる可能性もあるので、無理に専門用語を使う必要はありません。
その言葉の持つ意味だけ知っていれば十分です。
介護日誌は24時間続く介護の現場での「伝言板」です。当日の催し物や、スタッフ全員が対応すること(源泉徴収の提出)など、職員間の申し送りにも活用する業務日誌でもあります。入所者さんの件で何かあれば記載しますが、それも簡潔に記載します。詳細はケース記録に書くため、詳しく書く必要はありません。最低限、この介護日誌だけは記入する習慣をできる限り早くつけるようにしましょう。
ケース記録
ケース記録は病院でいうカルテです。これに関しては先ほどの介護日誌とは異なり、細かく記録する必要があります。各利用者さんの食事量や排便の有無とその量、入所者さんの行動・言動などを記載します。
しかし、これが苦手だという介護職の方が多いのではないでしょうか。理由は簡単で、学校などでこのケース記録についてはほとんど書き方を習わないからです。つまり、実際に働く現場でその書き方を覚えていくことになるわけです。
ただ、このケース記録、最初から上手には書くにはいささか難しいものがあります。
最初は先輩などの真似でもよいと思いますが、コツとしては
5W1H
(What:何が)
(When:いつ)
(Who:誰が)
(Where:どこで)
(Why:なぜ)
(How:どのように)
を意識すると書きやすく、かつ簡潔に書くことができます。
最初のうちは、あまり難しいことを書こうとしなくても大丈夫ですので、上記を意識して記録をつけてみるところから始めましょう。
また、記録は自分だけのものではありません。看護師・介護職全員のための記録です。
そのため、誰が見てもわかるように記録をつけることがとても大切になってきます。
長ければいいというわけではなく、読み手に伝わることが最優先です。
温度版
温度版は入所者さん個々人の表で、内容は最高血圧、最低血圧、排便・排尿の回数や便や尿の色、状態・ 睡眠時間、食事摂取量、入浴の有無、体温、脈などを記載するシートです。(バイタルチェック表、経過記録と呼ぶ場合もあります。
表なので誰が見ても一目瞭然で把握できますし、当然介護職も把握していなければなりません。
基本的には看護師が記入することが多いですが、介護職も排泄や食事量などを記載することになります。先ほど紹介したケース記録と共に把握し、その日の業務に活かすという使い方が求められます。ただ見て、読んで、わかった!では、意味がないのです。
事故報告書
事故報告書はヒヤリハットやインシデント、アクシデントを含め「何かあったら即記録」が求められる、とても重要な書類の1つです。
この記録には
◯事故状況を明らかにすること
◯同様の事故を防止する対策をたてること
◯事故発生時の対応が適切であったか振り返ること
◯家族や行政に正確な情報を報告・連絡し事故の再発防止につなげること
を記載することが求められ、これらは事故報告書を記載する上でとても重要になってきます。
書くタイミングは、事故発生後すみやかに書くことが大切です。なぜなら、時間が経つと記憶があいまいになってしまうからです。
介護の現場では、1つの事故が起きた後、同様の事故が続くことがあります。
改善・予防につなげるためにも、緊張感があり、記憶がしっかりしているうちに記録することがとても重要です。
作成のポイントは以下のようになります。
◯事故発生か収束までの経過について時系列にまとめる
◯事故後、継続した対応がある場合(病院搬送など)には同様に時系列で記録
◯先ほど述べた5W1Hを意識しながら、事実を正確に書く
ちなみにヒヤリハットは、事故にはならなかったけれども、事故になりかけで「ひやり」としたときに記載します。
記載内容は事故報告書と同様で構いません。事故報告書は事故が起きてしまった後に書くものですが、ヒヤリハットは未然に防げたことも記載します。そのため、介護職全員で共通の認識をもてるようになり「その場面は注意しよう」と対応ができるので、ヒヤリハットはとても重要です。
ヒヤリハットとは元々、飛行機のニアミスを予防するのに開発されたものです。飛行機のニアミスは死傷者の出る事故に直結する危険な状況なので、介護職が「ひやり」としてヒヤリハットを記載することがあれば、それだけ危なかったということを認識する必要があります。
そして、重要な事がもう1つあります。
事故報告書などは、事故を起こしたり「ひやり」とした介護職を責める道具ではありません。
次の事故再発防止や、事故の内容・時間帯・事故の当事者である入所者への対応をデータ化し、次に活かすための記録です。そのため、犯罪者のような気持ちで書く必要はないのです。
にやりほっと
ヒヤリハットのポジティブ版として株式会社 社会生活科学運営が始めた独自の記録に「にやりほっと」があり、そのユニークさが注目されています。
一般的に使われる「ヒヤリハット記録」は、事故につながる場面を共有して、リスクマネジメントを行うものですが、リスクを重視するあまり、マイナス思考(ネガティブ)になりがちとの声もありました。
「にやりほっと」はその逆転の発想で、入所者さんのプラス面(できることや生活歴)に着目しようという、現場の介護職のアイデアから生まれたものとなっているのが特徴です。
可能な限りこういった情報も記録しておくと、後々仕事の面で役に立つ日が来るのではないでしょうか。