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2018年度介護保険制度改正のポイント まずは介護保険の方向性を把握しましょう

2018年4月、介護保険制度は5回目の改正が施行されました。
複雑で分かりにくい介護保険制度ですが、その歩んできた歴史をたどり、方向性を把握すると今回の改正ポイントがみえてくるでしょう。

2018年までの介護保険制度改正と介護報酬改定

まずは、これまでの介護保険制度の改正と、介護報酬改定について以下の表から振り返ってみましょう。

介護保険法改正の歴史(施行は翌年)

2000年 4月介護保険法施行
2006年 2005年改正(2006年4月施行)
予防重視型システム導入
施設給付の見直し
2009年 2008年改正(2009年5月施行)
・介護サービス事業者の法令遵守等の整備など
2012年 2011年改正(2012年4月施行)
地域包括ケアシステムの実現
・介護職員等によるたんの吸引など
2015年
医療介護総合確保法
2014年改正(2015年4月施行)
地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化
・予防給付を地域支援事業に移行
・特別養護老人ホームの入所要件
・低所得者の保険料軽減を拡充
・一定以上所得のある利用者の自己負担を2割へなど
2018年
地域包括ケアシステム強化法
2017年改正(2018年4月施行)
地域包括ケア推進
制度の持続可能性の確保

介護保険制度は当初、おおむね5年ごとに制度の見直しを行う予定でした。
ところが、2014年、2017年の改正はわずか3年という短いスパンで行われています。
この2つの改正の特徴は、介護保険法だけでなく医療法、社会福祉法、障害者総合支援法などいくつもの法律にまたがることです。
きたる2025年問題を見据え、介護と医療の連携を強化し、まとめて改革を急ぎたいものと推察できます。

介護報酬改定

2003年4月 -2.30%
2005年4月 -1.9%
2006年4月 -0.5%
2009年4月 +3.0%
2012年4月 +1.2%
2014年4月 +0.63%
2015年4月 -2.27%
2017年4月 +1.14%
2018年4月 +0.54%

2018年の改定はマイナスが予測されていましたが、わずかなプラス改定にとどまりました。

後期高齢者の医療費は全体の約40%!

以下は、厚生労働省発表の「医療費の動向」から、2014年から2016年までの総計に占める75歳以上の医療費の割合を抜き出したものです。

医療費の推移     (単位:兆円)

総計 75歳以上
2014年 40.0
(100%)
14.5
36.3%
2015年 41.5
(100%)
15.2
36.6%
2016年 41.3
(100%)
15.3
37.2%

表をみると、75歳以上の医療費が総計の40%にとどく勢いであることが分かります。
後期高齢者では、複数の慢性疾患を保有し、病気と共存しながら生活する人が多くなります。
また、重症化しやすく回復が遅い、入院が長引くという傾向も強く、医療費が増加するのは必然だといえるでしょう。
しかし、今後のさらなる高齢化を考えれば、後期高齢者医療費をどう抑えるかは避けられない課題です。
そこで、病院の入院機能を急性期の対応に限定、さらに高度にし、「医療的管理を必要としつつも状態の安定した高齢者は病院外で」という考えから、受け皿となる介護サービスが整備されることになったのです。

〇改正のポイント

「医療と介護の一体化」=介護医療院の創設や、地域での看取りの強化や重度利用者支援など

要介護認定者が急増中。「要介護者にしない」ための対策を急げ!

介護保険制度開始以降、要介護認定者は著しく増加しています。
初期は要支援、要介護1など軽度要介護者の増加が目立ち、そのため2006年は予防をテーマに制度改正が行われました。
2006年制度改正後、軽度要介護者数の伸びは緩やかになりましたが、要介護認定者数全体としては増加し続けています。
2000年に218万人だった要介護認定者数は、2018年2月には639.6万人まで増加しており(介護保険事業状況報告より)、今後団塊の世代、団塊の世代ジュニアが年齢を重ねていくことを考えれば、今後の増加も避けられません。
膨らむ介護給付費を抑えるには、適切な介護給付を行うことはもちろん、「要介護者を増やさない」対策が重要です。

〇改正のポイント

「自立支援、重度化防止」=保険者の自立支援、重度化防止の取り組みに対しインセンティブを付与、生活機能向上連携加算の拡大、ADL維持等加算の誕生など

生活機能向上連携加算の拡大についての詳細はこちら(【生活機能向上連携加算】通所介護の算定でわかったメリット・デメリット)でご覧ください。

団塊の世代が後期高齢者に。介護のニーズ増大は必至、財源は大丈夫?(2025年問題)

2018年5月、厚生労働省は第1号保険料の全国平均が5869円であると公表しました。
制度が始まった18年前が2911円でしたから、およそ倍の水準です。
厚労省は保険料があがる要因を以下の2点であるとしています。

  • ○高齢化で介護サービスの利用者が増えたこと
  • ○介護職員の待遇改善のため

第1次ベビーブーム世代(1947~1949年生まれ)いわゆる団塊の世代は、2025年にはすべての人が75歳以上の後期高齢者になります。
今後も保険料の上昇が続くことは間違いなく、膨らむ財源を支えられるのか、制度の存続自体が危ぶまれています。

〇改正のポイント

「介護保険制度持続の可能性」の確保=65歳以上でより所得が高い人は3割利用者負担へ、40~64歳では総報酬割の導入(介護保険料)、訪問介護の生活援助の報酬引き下げ、福祉用具貸与、住宅改修の見直しなど

高齢者が増えて若い人が減る「支え手」不足をどう解消するか?(2040年問題)

総務省によると日本の生産年齢人口は1995年、総人口も2008年をピークに減少し続けています。
しかし、高齢者人口は増加を続けており、団塊の世代ジュニアが高齢者となる2040年には、65歳以上が4000万人とピークに達します。
「支え手」不足は明らかであり、介護人材をどう確保するか、しくみを整えていかなければなりません。

〇改正のポイント

「介護人材確保」、「人材の有効活用」=新研修制度の誕生、訪問介護の生活援助の人員基準緩和、介護ロボット、ICTの活用、共生型サービスの誕生など

介護現場のこれから

介護保険制度は、「介護が必要な高齢者を社会全体で支える」という目的のもとにスタートし、短い間隔で改正をしながら、高齢者を取り巻く状況にあわせて変化してきました。
介護現場としては、基準が頻繁に変わることで「理解しきれない」というのが本音でしょう。
しかし、2025年、2040年問題を考えれば今後も変化を繰り返していくことは間違いなく、事業所も制度の変化にあわせたマネジメントが求められるのではないでしょうか。

参考:
厚生労働省 平成28年度(2016年度)医療費の動向(2018年5月28日引用)
厚生労働省 介護保険事業状況報告の概要 平成30年(2019年)2月暫定版(2018年5月28日引用)
厚生労働省 第7期計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービスの見込み量等について(2018年5月28日引用)
総務省 人口減少社会の課題と将来推計(2018年5月28日引用)

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