介護・高齢者施設が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

医療従事者向け 介護プラス

訪問看護における、看護職とリハビリ職の連携強化に必要なプロセス

地域包括ケアシステムの推進により、訪問看護のニーズが高まっています。
訪問看護サービスを提供する看護職とリハビリ職の協働、連携はますます重要になってくるでしょう。
本記事では、訪問看護における看護職・リハビリ職の連携の効果と具体的な連携方法について解説します。

訪問看護における看護職とリハビリ職の連携の必要性と効果

2018年の介護報酬改定において「訪問看護でリハビリのみを利用している方に対し、看護職員が定期的に訪問し、利用者さんの状態の適切な評価をすること」が示されました。
上記が示された背景には、

  • ○看護職とリハビリ職の連携強化によって、訪問看護の質を向上させる
  • ○訪問看護におけるリハビリの位置づけを再確認し、連携強化につなげる

などが考えられます。

●看護職とリハビリ職の連携で得られる効果

「訪問看護事業所における看護職員と理学療法士等のより良い連携のあり方に関する調査研究事業」が実施した実態調査によると、両職種が連携している利用者さんでは以下のような効果があるという結果がでています。

  • ○看護職員とリハビリ職が共通認識のもとに統一したサービスの提供ができる
  • ○利用者や家族のニーズに沿った目標設定ができる
  • ○利用者の身体機能に合わせたリハビリテーションを段階的に行うことができる
  • ○予防的な視点でリハビリテーションを行うことができる
  • ○医療ニーズが高くても安心してリハビリテーションができる

上記から、看護職とリハビリ職がお互いの視点を持って連携すれば、利用者さんを包括的にアセスメントでき、質の高いサービスを提供することができることは間違いありません。

●訪問看護ステーションから提供されるリハビリ職のサービスは「訪問看護」の一環である

在宅で利用できるリハビリテーションには2種類あります。

  • ○訪問看護ステーションからの「リハビリ職による訪問看護」
  • ○医療機関等に併設された「訪問リハビリテーション」

筆者は訪問看護師ですが、訪問看護に携わるスタッフの中にも「訪問看護におけるリハビリ職の位置づけ」が良くわからないという人がいました。
訪問看護を実施するのは、看護職(保健師、看護師、准看護師)リハビリ職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)です。
このうち、リハビリ職による訪問看護は介護保険法で「その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心にしたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけのものである」と定められています。
つまり、訪問看護ステーションにおいては看護職とリハビリ職はともに訪問看護サービスを提供するのであり、本来は当然連携しているべき関係性なのです。

具体的な連携のプロセスとポイント

厚生労働省によると、訪問看護ステーションから看護職とリハビリ職が訪問している利用者さんにおける連携について、以下のような結果が報告されています。

よくあると答えた割合
リハビリ職から看護職へ
(リハビリの状況に関する連絡)
60.9%
看護職からリハビリ職へ
(病状や医療的処置に関する連絡)
55.8%

「よくある」と答えた割合はどちらも55~60%であり、この調査結果をみると良い連携がとれているとは言い難い状況です。
看護職とリハビリ職、確かに単独でも仕事はできます。
しかし、在宅では看護職とリハビリ職の協働が不可欠であると筆者は感じています。
在宅では「治す」「歩かせる」が優先順位の高い目標ではありません。
「維持する」「継続する」ことのほうが大切なケースが多いのです。
ここからは、筆者がリハビリ職との連携のために実施していることをご紹介します。

●訪問看護利用開始まで

筆者が勤務するのは看護職、リハビリ職が各10名近く、ケアマネージャーが数名在籍する、比較的規模の大きいステーションです。
訪問看護の依頼を受けたら、それがリハビリのみの依頼であっても管理者(看護師)が対応します。
利用者さんの情報を収集し、状況によっては看護職員による訪問を提案することもあります。
以前はリハビリのみの依頼の場合は、リハビリ職の責任者が対応していたのですが、利用者さんの情報が看護職に伝わりにくい側面がありました。
利用開始前にリハビリ職の視点だけではなく、看護師の視点からもアセスメントすることで、サービス開始後のトラブル(リハビリのみでスタートしてすぐに看護職員の訪問が必要になった、など)が少なくなりました。

●利用者さんの情報共有

筆者は利用者さんの情報共有についていくつかの決まりごとを作っています。

  • ○こんなときには連絡が欲しいという具体的な項目を明記しておく
    (血圧が○○以上のとき、発熱しているときなど、利用者さんに応じて)
  • ○情報を独り占めしない
    (リハビリ職に不要と考えられる情報も提供する)
  • ○情報を提供してもらえないときはこちらから聞いてみる
  • ○訪問前に訪問記録を確認する(同一ステーションのリハビリ職の場合)
  • ○連絡ノートの活用

とにかく自身から発信することを心掛けています。
他職種との連携は、初めはお互いに警戒するものです。
しかし、積極的に発信していればいつの間にかチームワークができあがっていくと考えています。

●訪問看護計画書、報告書の作成

訪問看護計画書を作成する際は、利用者さんとご家族が自宅でどう過ごしたか、どんな希望があるか、なにに困っているかを確認します。
利用者さんとご家族がどうしたいかをリハビリ職と共有することで、同じ目標に向かって計画を作成することができます。
計画の内容は、看護師である筆者が利用者さんの状態をもとに案を出します。
その案に対し、リハビリ職が具体的な方法を加えて計画書を完成させます。

  • ○事例
    すり足で歩く高齢の利用者Aさんが、転倒して尻もちをついてしまった。立ち上がろうとして周囲につかまったが、立ち上がることが できなかった。

この場合筆者は、すり足で歩くことや、筋力低下による転倒リスクについて計画案を作成します。
リハビリ職は計画案に具体的なリハビリテーションメニューを追加します。
(「尻もちをついた状態から立ち上がれない」という情報をもとに、立ち上がりの動作指導も含める)

このような手順を踏むと、看護職とリハビリ職が連携した計画書を作成することができます。
同一でない訪問看護ステーションのリハビリ職の場合は、回覧しアドバイスを得ています。

同様に、報告書を作成する際も日程を決めてお互いの報告書を回覧し、確認しています。

管理者の役割は、看護職とリハビリ職が効果的に連携できるよう支援すること

法的に、訪問看護ステーションの管理者は原則として看護師です。
管理者は利用者さんの状態を把握し、適切な訪問看護が提供されるよう調整するとともに、訪問看護の質の向上に努めなければなりません。
そのためには、利用者さんを看護師の視点だけではなく、リハビリ職の視点からもアセスメントし、それぞれの職種が専門性を発揮できるような働きかけが必要です。
管理者自身がリハビリ職と連携してリハビリ職の視点を理解すること、その上で看護職とリハビリ職が効果的に連携するための「ステーションごとの仕組み」を構築していければよいのではないでしょうか。

看護職とリハビリ職、積極的なコミュニケーションでさらに連携強化

積極的なコミュニケーションは連携にも良い影響を与えます。
看護職とリハビリ職は視点が違うからこそ、違った意見や方法が生まれます。
自身とは違う意見から学ぶことは多いものです。
相手が利用者さんをどのように捉えているのかを知ることで、自身の視野も広がり、相手を尊重できるようになるでしょう。

関連記事:
訪問看護師が伝授!多職種間でも良好な関係を築くためのポイントは3つ

参考:
一般社団法人全国訪問看護事業協会(編):訪問看護事業所における看護職員と理学療法士等のより良い連携のための手引き.2018.
厚生労働省 訪問看護の報酬・基準について 2017年.(2018年7月27日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)