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経営者の悩み

  • yukie

    公開日: 2018年11月29日

介護施設の経営戦略はどう立てる?SWOT分析を使ったやり方をガイド

日本は長寿国であり、高齢者の数は年々増えてきています。
しかし、制度や形態の変化が大きい業界でもありますし、経営している介護施設や高齢者向け住宅の未来はしっかりと守っていかなければなりません。
今回は、介護業界における経営のヒントを探るべく、ビジネスでよく使われるフレームワークである「SWOT(スウォット)分析」について解説していきます。

SWOT分析を使ったやり方

高齢化社会でも安心できない!介護施設の経営が傾くとき

高齢者を対象としたビジネスは、需要が拡大しているので常に潤っているというイメージをお持ちの方は多いです。
異業種から介護業界に参入する経営者もいますが、厳しい状況に直面している事業者も少なくありません。
介護業界における倒産の実態や経営が傾く理由について知っておきましょう。

●高齢者を対象とした事業の倒産状況

東京商工リサーチが2018年上半期に行った調査によると、「老人福祉・介護事業」の分類で、倒産件数が増加していることが示されています。
半年間で倒産した件数は45件(前年同期比で12.5%増加)であり、施設形態には訪問介護やデイサービス、有料老人ホーム、サ高住が含まれています。
倒産した事業者の内訳をみると、「従業員5名未満」が約6割を締め、さらに「設立5年以内」が約3割となっています。
特に、小さな事業所が高齢者福祉や介護の業界に参入した結果、他のライバル業者に淘汰されてしまうケースが多いのです。
ただ、小規模でなくても倒産している事例はあるため、油断することはできません。

●介護職員の不足、ライバル会社の存在…

介護業界では、職員の離職が多いことがよく知られています。
それを阻止する目的で賃金を上げることによって人件費がかさみ、施設を運営するうえで大きな負担となる場合があります。
施設の魅力の有無にかかわらず、介護職員が確保できないことによって、稼働率が100%に達しない施設もたくさんあるのです。
そもそもスタッフが確保できなければ、運営自体ができない状況に陥ってしまいます。
また、資金力のある会社が同じ地域でビジネスを始めれば、競争が激しくなってしまい、業績の不振につながることもあります。

高齢化社会において需要が途絶えることがないように思える介護業界ですが、経営となるとやはりそう簡単にはいかないものです。
倒産の理由はケースバイケースであり、事業所を取り巻く環境によって変わってきます。
いま置かれている環境の中で、どんなリスクがあるのか整理して経営にあたることが大切になります。

介護施設の経営にも使えるSWOT分析とは?

ビジネスにおいてよく使われるフレームワークである「SWOT分析」は、介護施設の経営にも活用できます。
思いつきだけで経営戦略を練るのではなく、事業所を取り巻く環境を整理したうえで必要な対策を考えることが可能となります。
次の4つの単語の頭文字をとったフレームワークとなっています。

  • ●S:強み(Strength)
  • ●W:弱み(Weakness)
  • ●O:機会(Opportunity)
  • ●T:脅威(Threat)

企業を取り巻く環境について、この4つの観点から分析することがSWOT分析の基本です。
介護施設に当てはめると、次のような視点で環境要因を整理していくことになります。

  • 「施設の強み、弱みは何か?」
  • 「施設にとってチャンスとなる機会はあるか?」
  • 「施設の未来をおびやかす脅威はあるか?」

SWOT分析によって、こうした要因を整理しながら、介護施設の経営戦略を立てることができます。
特に介護業界では制度や状況が変化しやすいため、SWOT分析でクリアにしていくことが大切です。

[具体例]介護施設を想定してSWOT分析してみよう

介護業界でSWOT分析をどのように活用していけるのか、具体例を2つご紹介します。
今回は、特別養護老人ホーム(特養)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を想定した具体例から、SWOT分析のイメージをつかんでいきましょう。

●例1:特別養護老人ホームの分析

特別養護老人ホームの分析

SWOT分析の結果から、要介護認定者の増加といったチャンスはあるものの、介護士の確保が課題になるということがわかります。
近年は介護ロボット、高機能ベッド、寝たまま利用できる浴槽などの機器が充実しているため、こうしたツールを使って職員の負担軽減を図ることも対策の一つです。
また、業者にホームページ作成を依頼して施設の魅力を発信し、利用者さんはもちろんのこと、従業員の確保に努めるという戦略を立てることもできます。

●例2:サービス付き高齢者向け住宅の分析

サービス付き高齢者向け住宅の分析

このモデルケースではターゲットを富裕層にしぼっているため、他の施設と差別化できるという大きな強みがあります。
ただ、サ高住で転倒や骨折などが生じたときに、「ここは施設ではないので」と責任を持たないことによるトラブルもあります。
リスクマネジメントを徹底していなければ悪評が広がる危険性もあるため、この弱みについては改善するべきでしょう。
また、将来的には自宅をベースに訪問看護・訪問リハビリを提供する流れとなる可能性もあるため、それとどう差別化していくのか検討していく必要があります。

社会や制度の変化を反映した経営戦略を!

介護施設や高齢者福祉を取り巻く環境は、時の流れとともにダイナミックに変わっていきます。
国の制度はもちろんのこと、ライバル会社の取り組みや社会的なニーズについても情報収集しながら、施設を取り巻く要因をクリアにしていきましょう。
特養や老健、有料老人ホーム、サ高住など、どのような施設形態であってもSWOT分析は使えるため、ぜひ挑戦してみてください。

参考:
東京商工リサーチ 2018年上半期「老人福祉・介護事業」の倒産状況(2018年11月27日引用)

  • yukie

    公開日: 2018年11月29日

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